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あめ

僕にはあめが必要だ。

あめは好きではないが嫌いでもない。
こちら側から特別望む訳ではなかったけどふと思えば、いつだって何か思いが強い日にはあめが僕の側にあった。

今まで何となくしか思ってこなかった。ふとじっくりなんか見てこなかった。

何かとぼぉーっとしてしまう世界で、よくよくあめを見れば何故だか感情は収まり、また昂っていく事に気づいた。今まで僕はそこまで真剣には考えてこなかった。だが真剣に必要とする人も世界にはいるのも知っている。

ただそこにあるのはあめ。

あの水分に僕は何処か自分から離れた空間に誘われる。そして、いつでも包みこまれる。そして、何処と無く幸せな気分にさせるんだ・・・・そんな気がする。

詳しく言うならば、世界のすべてが静まりかえるみたいになってそこの音だけが僕の芯に流れる。それに浸ると心が落ち着くんだ。鼻の周りに漂う香りは心をリセットし穏やかにどこか幸せに向かって行く。

辛い時には空に向かって口を大きく開け体内にあめを落とす。
そして、日頃の渇ききってしまった心に潤いを満たし流れるあめは僕を癒してくれる。

それに見た目も美しいではないか。透明で薄い色を纏い、したたかに輝きを放つ。造り出される工程も極限まで伸ばされ伸ばされ実に神秘的である。

そのあめの玉は何かにぶつかれば割れてぱっと散らばりキラキラと踊る。まるで宝石のようだ。

嫌いな人もけっこういる。どちらにしろその人の気分を変えさせる力がある。それは凄い事じゃないか。僕は正直、何とも思わない時も勿論ある。憂鬱になる時だってある。

あの水分がねとねとまとわりつくのがため息に変わる。思考と一致してしまう。そう、気分による。しかし振り返ればやっぱりいつもそばにあった。
どこか愛くるしい。ぼくにとっては幸運なものなのかもしれない。

あめを見ると君は何を思うだろうか?


今の僕の気分はというと着ているTシャツの腹回りを前に引っ張り伸ばし、そこにたくさんためたい気分さ。
まぁ、そんな事したら変人扱いだからしないでおくけど。僕は人と違う事は知っている。

そのくらい、あめに触れたい気分。今日この頃。どんな感情かは自分だけが知っていればいい。

あめは僕にとって、とてもとても甘い。思い出がたくさんあるのだ。誰にもわからないだろうけど。


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