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ゼルジーとリシアン

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2021年2月の記事一覧

15.川遊び

「そうか、そんなことになっていたんだね」ロファニーはリシアンから、ウィスターの森がなくなるという話を聞いて重々しくうなずいた。「道路ができると、この辺りもきっと騒がしくなるだろうね。静かな雰囲気が好きだったんだがなあ」
「おれは、ちっとぐらい賑やかなほうがいいな。それに、店がたくさんできて便利になるじゃねえか」こう歓迎するのはベリオスだ。町へ出るにも、父のクルマで送っていってもらわなければならない

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16.影の国

〔「ここが『影の国』なのね」ゼルジーは気味悪そうに辺りを見回す。すべてが色のない世界だった。真っ白な空の下、灰色の大地がどこまでも平坦に広がっている。遮るものなど何もなく、ただ影だけがゆらゆらとうごめいていた。
「『木もれ日の王国』の裏側なのだ」金のローブの男、ロファニーが言う。「よくごらん。森も城も、すべてが影となって染みついているだろう?」
 確かに、見覚えのある景色だった。城や噴水から湧き上

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17.ルールに変更なし

 ゼルジー達は、ニレの木の下に集まって座っていた。セミの鳴き声が次第にやかましくなり、じわじわと暑さが増していく、そんな午前だった。
「わたし達、どうして勝てなかったんだろう?」ゼルジーがぽつりと洩らす。
「ロファニー兄さん、言ったよね。魔王ロードンは、1度にすべての種類の魔法なんか、防げないって。でも、ぼくらは、同時に魔法を放ったのにさ」パルナンはロファニーを見た。
 黙ったままのロファニーに代

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18.夏休みの終わり

 気がつけば、明日で夏休みも終わり。子ども達にとって、長いようであっという間だった。
 パルナンは、朝から虫かごをぶら下げて森へ出かけようとしていた。
「あら、パル」ゼルジーは声をかける。「その虫かご、いっぱいじゃない。空のはなかったの?」
「虫かごならほかにもあったよ。今日はこれを持っていくんだ」
「でも、それじゃいくらも捕れないじゃない。なんで、それを持っていくわけ?」
「捕りに行くんじゃない

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