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シュールな短編小説

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ファンタジー、そして時にはシュールな短編集。
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2020年9月の記事一覧

深夜、恐怖映画いきなり始まる!

 深夜、退屈なバラエティ番組を観ていると突然画面が変わり、映画評論家が登場した。 「はい…

むぅにぃ
3年前

トロール先生

 始業のチャイムが鳴ったので、席に着いて先生が来るのを待つ。  けれど先生の代わりに、図…

むぅにぃ
3年前
9

寅さん再び

 教授から、鉱物研究室へ来るようにとの連絡があった。何事だろうと、大急ぎで駆けつける。 …

むぅにぃ
3年前
2

銀行強盗を企てる

 友人の桑田孝夫がにこにこしながらやってきた。 「どうしたの、何かいいことでもあった?」…

むぅにぃ
3年前

タクシーを急がせる

 わたしはかなり焦っていた。1分でも早く、羽田に行かなくてはならないのだ。  いったんは…

むぅにぃ
3年前
1

神田川にシロナガスクジラが現れる!

 お茶の水の喫茶店でチーズ・ケーキを食べ、ブレンドを飲み終わる。このまま帰ってしまうのが…

むぅにぃ
3年前
3

「過去」の住むマンモス団地

 ある晩、友人の桑田孝夫とマンモス団地へ出かけた。  敷地をぐるりと高い塀が取り囲んでいる。あまりにも高くて、外からは中の様子がまるでわからない。 「守衛はあそこだな」と桑田が言った。塀の一部を穿ったような小さな門があり、内側からは黄ばんだ光がこぼれている。 「行こうか」わたし達は門へと向かった。 「こんばんは」桑田は固く閉ざされた門の鉄格子越しから呼びかけた。  詰め所に座る制服姿の老人が顔をあげる。 「入るのかね?」  わたしと桑田は黙ってうなずいた。門が面倒くさそう

切符

 田端駅の改札を出ようとすると、 「ピンポーン、係員にお知らせ下さい」とアラームが鳴った…

むぅにぃ
3年前

新しくできたパン屋

 近所にパン工房がオープンしたので、さっそく行ってみた。  フランスパンや食パンと並んで…

むぅにぃ
3年前

和菓子屋にて

 貯金も使い果たし、ここ数日は水で飢えをしのいでいる。 「もう、だめかも。最期はせめて、…

むぅにぃ
3年前
10

相撲部屋の看板娘

 相撲部屋の看板娘はアドバルーンそっくりな体つきだ。住み込みの力士達も、みんなボールのよ…

むぅにぃ
3年前
4

ポイントカードで魔法を使ってみる

 コンビニで、ハンバーグ弁当とペット・ボトルのお茶を買う。 「ポイント・カードはお持ちで…

むぅにぃ
3年前
1

押し入れから外をのぞく

 目が醒めた。あんまり暗いので、まだ夜なのかなと思ったが、そうではない。  ここは押し入…

むぅにぃ
3年前
3

まだ刀を携えている時代

 武家屋敷を思わせるなまこ壁の川沿いを、わたしはのんびりと歩いている。  道行く者は男も女も鎧兜に刀を下げていた。もっとも、鎧にせよ刀にせよ、時代劇でお馴染みの代物とはちょっと違う。例えば若者の鎧は裏原宿系の、カラフルでポップなものばかり。  兜の前立ては、アルファベットで「LOVE」とか「JAPAN」といったオーソドックスなものだったり、ブランドのロゴをそのままあしらったものなど様々だ。  胴にiPadを埋め込んでいる者も多く、twitterなどのソーシャル・サービスの文