2024年2月の記事一覧
罪と罰【オリジナルSS】
罪と罰
日付が変わる少し前、妙にさっぱりした顔で彼は帰ってきた。
「ただいま〜。あ、起きてた?」
「もう寝るところだったけど…今日は早かったんだね。」
「さすがに毎週部長になんか付き合ってらんないよ。」
彼は緩めたネクタイを外し、冷蔵庫から炭酸水を取り出す。いつもならすぐにシャワーに入ってしまうのに、今日は早く帰ってきたから?私も寝るのをやめて、もう少し起きていることにした。
「酔って
かみともにいまして【オリジナルSS】
かみともにいまして
母と逃げるように越してきたこの町には、真新しい教会があった。近所の人は訝しがって近づかないほうがいいと新参者の私たちに告げていたが、ある時郵便受けに入っていた子ども会の知らせに、私は小学生ながら興味を持った。母はそこに行くことを許してはくれなくて、でもどうしても行ってみたくて、母が仕事で留守にしている隙に教会へ向かった。まだ木の匂いがするその教会にいたのは、背の大きな神父さん