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オランダ国立バレエ「ライモンダ」 (作品予習&生鑑賞の感想)★バレエ界の超大物新スターを発見してしまったかも?! | アムステルダム音楽旅

クラシック音楽コンサートやオペラの鑑賞のついでに、たまにバレエも観るのだが、いまだに楽しみ方がまだよく分からない。舞台は美しく飾られているし、音楽も素敵で、超絶技巧の踊りも凄いねと思う。何か見落としている面白味を、いつか知ることができたらいいな。まだ道半ばである。(鑑賞のヒント等ありますでしょうか?)

というわけで、バレエチケットを買うときは、とりあえず音楽目当てとなってしまう。今回は、自分にとってあまり馴染みのないアレクサンドル・グラズノフ(ロシア 1865-1936)が作曲した音楽なので、鑑賞幅を広げるためにも、ぜひ聴いてみたいと思った。


作品予習 | (音源)ボリショイ劇場、ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団 |(映像)マリインスキー劇場、他

音楽を知ることが第1の鑑賞目的だが、物語にも気になる部分がある。

美しい娘ライモンダには婚約者ジャンがいる。彼の出征中に、ライモンダの前に異国の王子が現れ求愛する。ジャンが帰還して異国の王子と決闘してジャンが勝つ。ライモンダとジャンが結婚する。よくあるシンプルなストーリー。

だが、ライモンダの気持ちが異国の王子とジャンの間で揺れ動くという解釈もあるという。自分が鑑賞するバレエではどのように描かれるだろうか、非常に気になる!(落ち着けスズキ!)

というのも、ざっと音楽を聴いてみたところで、私は異国の王子が登場する異国情緒あるカッコイイ音楽が気に入ったので、ライモンダも異国の王子に惚れてしまうのではと、勝手な妄想をしたのだった!(笑)

抜粋版には入っていないので、あまり有名ではない部分かもしれないが、せっかく気に入ったのでここに挿入しておく。
ライモンダより 第二幕 Entry of Abderakhman

どうだろう?好奇心あふれる女の子ならうっかり興味を持ってしまいそうな、異国のちょっと危険で色っぽい素敵な王子様とやらが登場しそうな音楽だと思いませんか??

音源は最初にIDAGIOでロイヤル・スコティッシュ管弦楽団(ネーメ・ヤルヴィ指揮)の抜粋版を何度か鑑賞してから、同じくIDAGIOでボリショイ劇場1961年のフルバージョンを鑑賞した。(音源だけなら、CMが鬱陶しいYouTubeよりIDAGIO無料版がおすすめ。30秒の宣伝音声が入るが、穏やかな音声なのでYouTube広告CMのように不快ではない!)

舞台セットや踊りを通じて物語の流れも把握しておきたいので映像を探した。1999年以前のソ連・ロシアの映像アーカイブを提供するState Television and Radio Fund (Gosteleradiofond) のYouTubeチャンネルにあるマリインスキー劇場1980年の映像を観た。(異国の王子の頭の突起がチョンマゲに見えてしまう・・・)


生鑑賞 | オランダ国立オペラ&バレエ

Dutch National Opera & Ballet | 2023年12月 | 筆者撮影


2023年12月22日
Dutch National Opera & Ballet
RAYMONDA
Choreography: Marius Petipa
Production and additional choreography: Rachel Beaujean
Set and costume design: Jérôme Kaplan
Lighting design: James F. Ingalls

Music: Alexander Glazunov – Raymonda (1898)

Musical accompaniment: Dutch Ballet Orchestra conducted by Vello Pähn

Raymonda: Anna Tsygankova
Abd al-Rahman: Giorgi Potskhishvili
Jean de Brienne: Jacopo Tissi

Dutch National Opera & Ballet | 2023年12月 | 筆者撮影
Dutch National Opera & Ballet | 2023年12月 | 筆者撮影
Dutch National Opera & Ballet | 2023年12月 | 筆者撮影

やはり座席の列が長い。この長い列の端から端まで、2日前にパパゲーノはわざわざ通り抜けたのだ。。

長い列のど真ん中に座りたくない私は端の席を選ぶことが多い。端の席を選んだので当然かもしれないが、舞台が一部見えなかった(涙)毎度お馴染みのパターン。

オランダ国立オペラ&バレエというと、コロナ禍で観た過去の上演作品のストリーミング映像のイメージから、やや奇抜でやや過激な演出をやるところというイメージを持ってしまっていたのだが、それは誤解だったのかもしれない。今回のアムステルダム旅で鑑賞したオペラは普通に誰でも楽しめる演出だったし、このバレエは正統な美しい舞台セット、衣装、踊りだった。

Dutch National Opera & Ballet | 2023年12月 | 筆者撮影

「ライモンダ」の短い宣伝動画がある。私が鑑賞したのもこの舞台セット。
美術館に飾られた名画のように美しい。ただし、ダンサーたちはこの映像とは別の人たちだった。

個人的に鑑賞前から注目した「異国の王子」だが、期待を超える凛々しいダンサーだった!(やったー!笑)

婚約者ジャンも美しい体格と踊りで拍手喝采だったので、これを超える対戦相手が出るはずないなと思っていたのだが、超える相手がちゃんと出てくるとは!

踊りの難易度は素人には分からないのだが、「異国の王子」はなんだか難しそうな技を見事に決め続け、高くジャンプして、客席は大盛り上がり。私はオペラグラスも持っていたのだが、肉眼で見ても格段に美しい。他のダンサーたちも申し分なく美しいのに、格上に見える。

気になるライモンダの乙女心だが、少なくとも私の目には、完全に「異国の王子」に惚れ込んでいたように見えた。きっとライモンダの目はハートだった。そりゃそうだ!婚約者ジャンが戻ってきて、男2人が睨み合うと、「やめて!仲良くして!」と言わんばかりにライモンダが間に割り込む。

前述の通り、舞台が一部見えなかったので、見えない部分で何があったかは分からないのだが、おそらく「決闘」で異国の王子は倒れたが、死んだわけではなく、ライモンダが駆けつけて起こして介抱してあげたのでは?(私に見えるところでは、取り残された婚約者ジャンがショックそうに立っている。) 改宗(?)したという演出なのか、異国の王子はほとんどの場面で他の人たちと同じような白い衣装だったように記憶している(登場した時だけ異国の衣装?)。

これまでのアムステルダムでの音楽鑑賞では、終演後はお客さんは効率よくサッと立ち上がり、熱い拍手をして、サッと帰る。何度もカーテンコールしないアムステルダムのお客さんたちなのに、このバレエでは何度かカーテンコールした。興奮ぶりが伝わる。(いや、もしかしたら、オランダの皆さんは、クラシックコンサートではあまりカーテンコールしないが、バレエではカーテンコールを長くやるのかも?)


そして、この記事を書きながら、今更だが異国の王子を演じたダンサーを調べてみた。オランダ国立オペラ&バレエのサイトによると、Giorgi Potskhishviliは、「・・・シヴィリ」というその名前が示す通りジョージア(私はいまだにグルジアと言いたいのだが)出身。2023年に亡くなった祖父はジョージアの伝統的なダンスを上演する劇場を設立した。Giorgiご両親はそこで出会ったそうだ。(サイトに「ライモンダ」の写真もある。)

皆さんはジョージアの伝統的なダンスをご存じだろうか?私は一時期、ジョージアを含むコーカサス地方に興味津々で少し調べたことがある。その中で知ったダンスも刺激的だった。例えば、剣を持った危険で激しい男性たちのダンス。おじいさんがジョージア伝統ダンスの第一人者だったとなると、Giorgi Potskhishviliの能力の高さも納得だ。

【参考:ジョージアのダンス】
後半が激しいです。。(おじいさんが設立した劇場ではありません)

Giorgi Potskhishviliは、VISA問題も解決して、やっとオランダ国立バレエで学べるようになった時に新型コロナウイルス問題が発生。舞台で活躍するようになったのは最近のようだ。

いくつか動画を観てみたが、一つ下に載せておくので、よかったらご覧いただきたい。

映像で見ても、目が釘付けになってしまう。
バレエ鑑賞素人なのに、思いがけず、偶然にも超大型新人を発見してしまった!

バレエファンの友人がいれば自慢したい!
でも、私の周囲にバレエファンはいない・・・

【追記】
特に名前は記載されていないのだが、これ↓も彼ですね。圧倒的な存在感・・・
オランダ国立バレエ



音楽旅2022年12月
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