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ぼくのPoetry gallery

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かつて野に棲んだ詩鬼の残骸をここに記すという悪い趣味です。
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2020年4月の記事一覧

かつての詩66「歯ぎしり」

「歯ぎしり」

魂を奥歯で噛み締めて
凍てつく夜を耐え抜いた

悲しみは前歯で噛み切りなさい
誰かがぼくに囁いたのは
溢れかえる休止出来ない薄情さ
とても切なく
なぜか腹立たしく
ぼくは一人の肌触りを知る

魂を奥歯で噛み締めよ
悪魔はロから引き出そうと
悲しい夜に潜んでいる
いいかい ぼくが歯ぎしりする夜は
悪魔と一戦まじえているのさ

Masanao Kata©️ 2011
Anywhere

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かつての詩65「永遠の皮肉」

「永遠の皮肉」

猫の背を撫で思うのは
ガリバー旅行記にあった馬の国の話
ピエー ル・ブールの猿の惑星でも良いんだが
馬が人間並みの知性を持って生活する国があって
そこでは人間が野生の猿のような扱いを受けていたっけ
ともすれば
僕らが可愛がる動物たちも
立場を置き換えれば酷い話さ
年老いた男は馬に捨てられ保健所で殺処分
鹿に飼われる中年女は優しい家族に可愛がられ
子供たちは猿の動物実験に痛め付けら

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