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万年筆の徒歩旅行

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万年筆くらぶ会誌『フェンテ』に投稿した雑感を順不同で転載するアーカイブ。 万年筆を筆記具より文化的な視点で話そうかと思っています。 マガジンタイトルは、中原中也の詩「自滅」から。
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#読書

その7:万年筆は何処まで書ける?

その7:万年筆は何処まで書ける?

人は一生の中でどれだけの文字を書くのだろうか。
そんな疑問をふと抱いたが、残念ながらさすがにそれには個体差があるし、まして言語や文化等の環境の差も左右するだろう。こればかりは統計の取りようがない話。
では、読み書きの“読み”ではどうだ。
文科省や民間機関の調査を組み合わせて数字を出すところでは、人の一生(10~80歳の期間で)の読書量は平均で約1,950冊ほどだそう。単行本一冊あたりの文字数が約1

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その3:ミステリーと万年筆

その3:ミステリーと万年筆

アメリカのミステリ作家コーネル・ウールリッチ(またの名をウィリアム・アイリッシュ)の作品に『万年筆』というものがある。
御存知の方もいるでしょうが、1945年に書かれた短編小説で、早川書房のポケットミステリ648『ぎろちん』という短編集に収められている。1964年には岡本喜八監督によるミュージカル映画『ああ爆弾』の原作にもなり、今では紙の本は絶版となっているが、古本市場か電子書籍なら今でも購入は可

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