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第4章<診断する>誰が人材開発の加速化のためのフィードバックを提供するか?

1.フィードバックを提供する

あなたは人材開発の加速化の推進に責任を持つ立場として、自身がフィードバックコーチを務めるか、または、内部あるいは外部のコーチに参画してもらわなければならないだろう。フィードバックコーチは、リーダーのキャリアの中で、最も重要で、記念すべき瞬間のひとつを迎えさせる責任を負っている。しかし、プレッシャーを感じる必要はない。

フィードバックの提供を脅威に感じることもあろう。身構えたりすることもある。特に成功しているリーダーは、肯定的な評価に慣れているのでなおさらだろう。その人は組織の中で、あるいは業界内でも、とても尊敬されているかもしれない。

また、リーダーシップに関わるフィードバックは、四半期ごとの報告を除けば受けたことがほとんどない人かもしれない。そのような人を成長させられるレベルにまで、高い信頼を得られているのは誰か?そして、フィードバックコーチはそういった熟練したプロに対して、どのようにして価値を与えられるのか?


答えはこうだ。フィードバックの提供者は、仕事の仕方をアドバイスする必要はない。人材開発の加速化におけるフィードバックコーチの役割は、学習者が次の職務での成否を決めるのは何かを予測して、他者との話し合いの準備を支援することである。

人材開発の加速化のためのフィードバックは、リーダーが立ち止まってリーダーシップ行動の基準について、特に将来の職務で自分がどのように変わらなければならないかを考える最初の機会だ。リーダーが失敗する確率が高いのは、いくら過去の業績が良かったとしても、リーダーとしての大きな移行期で生き残る保証はまったくないことを示している。

このためフィードバックは、これから直面する状況に対してどのように行動して準備するか、明確な絵を学習者の頭の中に描いたときに価値が産まれるのだ。

フィードバックコーチは、新しいリーダーが、曲がり角の先の状況を理解した上で、多くの人に降りかかる失敗を回避できるよう支援する。そのために、話し合いがさまざまな方向に向くことに備えておかなければならない。異なるタイプの人に対しても目的を持ったスタイル・アプローチが重要だ。フィードバックのある部分を受け入れがたいことがあり、現職において重要なはずのコンピテンシーの結果が悪いときは、特にそうである。

例えば、営業担当リーダーは「戦略的影響力」が弱みと判断されるのを受け入れ難いだろうし、研究開発責任者は、「革新の推進」に低い点がつけば、ばつの悪い思いをするだろう。心配性の参加者には、強みと弱みをバランス良く伝える必要がある。一方、過剰な自信や傲慢さを見せる参加者には、批判的なフィードバックをしっかり聞かせるために、より単刀直入に伝える必要があるかもしれない。

フィードバックコーチは、人事部門に任せるか、あるいはそのラインの幹部の中から募ってもよいし、メンターとして指名されている人でもよい。フィードバックを提供する知識とスキルを身につけた社内の専門家を利用する組織もある。代わりに、多くの組織は、訓練されたプロのコーチがそろっている外部のコンサルタント会社を選ぶ。

人数の多寡はともかく、コーチ陣を選んで展開する際には、最低限の期待値を定めてそれに準拠していくことが、質を維持するのに役立つだろう。フィードバックコーチには、信頼性、ビジネスの見識、リーダーシップの専門知識の他に、以下の能力を期待したい。

・異なるアセスメントツール(アクセラレーション・センター、多面診断、性格診断、モチベーション診断など)による結果を理解し、統合していくことができる。

・リーダーのビジネス状況を探り、起こり得る状況に対する行動傾向に関する示唆を与える(例:「あなたは、他社が変化に適切に対応できるよう支援する機会があっても、それを見過ごす傾向がありましたね。このことは、ご自身でとても重要だとおっしゃっていた『効率を高める』という能力にはどんな影響を与えるでしょう?」)

・能力開発上の重要なテーマや傾向を示す中で、反論を予測し、克服できる。

・フィードバックを受けた参加者が「興味深いですね」と言っていた程度の状態から、「ヘー!そんなふうに考えたことなかった!」などと、価値を感じて思わず言葉を発するようなやり方で洞察を提示し、前向きな影響力をリーダーに与えるチャンスを認識し、利用できる。

人事部門も、コーチと参加者の組み合わせはしっかりと意図を持って行わなければならない。コーチ候補に関して考慮すべき主な点は下記の通りである。

・参加者と比較して、年功が上であること、ビジネスの知識があること、経験があること。
・参加者の業界、職務、組織文化、地域などでの経験があること。
・参加者の性格ややり方に合っていること。
・多様性のニュアンスにも論点(文化、性別、人種)にも配慮できること。
・参加者の上司から信頼を得られそうであること。
・開発が必要とされる能力や具体的なスキル課題について経験があること。

2.学習者が上司やメンターと会う準備を整える

フィードバック・セッションが終わると、学習者は能力開発上の準備段階における優先事項に焦点を合わせなければならない。フィードバックコーチは、面談のテーマを振り返り、学習者が力を入れるべき箇所について焦点を当てながらその取り組みを支援する。

またコーチは、参加者が自分の能力開発プロフィール(および優先事項)を上司やメンターにどのように伝えるかも支援しなければならない。そしてもうひとつ大事なことだが、セッションの最後にこういった準備をする時間を設けておく必要がある。

第5章では、参加者とその上司がその後のフォローアップ・ミーティングで、いかにして能力開発上の優先事項を明確にして、さらに練り上げていくかを説明する。

3.フィードバックの手法

人材開発の加速化のリーダーであるあなた自身が、学習者に(少なくともその全員に)直接フィードバックを提供することはないだろう。しかし、あなたは、成長に向けた動機づけに、フィードバックコーチ全員が一貫して取り組んでそれをうまく成し遂げてほしいと考えているはずだ。

4.なぜ、単純に強みを活用しないのか?

「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす』などの本は、自分の強みを活用し、すべてに関して優れている人などいないという事実を受け入れるよう説いている。著者であるバッキンガム氏の、「強み革命」を始めようという提案は確かに魅力的だ。人は、自分が得意なことや好きなことをもっとしたいと考えるものだ。

だが、経営幹部の阻害要因に関する研究によると、強みの濫用は阻害要因の引き金になりやすいことが判明している。例えば、業務推進に優れ、常に実施に重点を置いていると評価を受けてきた人は、変革の過程で顧客の期待と組織の複雑さの変化に伴い、臨機応変さや同僚の参画が必要になっているにもかかわらず、古い方法に固執しがちだ。リーダーとしては、結果志向および完璧主義という性向と、時代に対する寛容さおよび変革期に必要な共感のバランスをうまく取れるようにならなければならない。

リーダー以外の一部のポジションでは、担当業務を変え、強みを活かして、弱い分野を回避することも可能かもしれない。例えば、顧客への販売は得意だが販売分析が苦手だとしたら、自分は販売に専念して、分析は別の人に任せることもできる。

だがリーダー、特に経営幹部などになると、そのような役割回避戦略は使えなくなる。リーダーシップや経営幹部のコンピテンシーの多くは委譲が難しく、有能なリーダーは、求められるコンピテンシーのすべてを折に触れて使わなければならない。例えば、あなたは、部下が成功するようにコーチングを行わなければならない。

あなたが前任者達から引き継いだ仕事のひとつは、自社内にリーダー人材を作っていくことだからだ。また、大局を見て戦略的に考える能力が、ビジネス上の優先課題の実践に重要であることは容易に理解できよう。組織が求めるリーダーとは、リーダーシップや経営幹部のコンピテンシーに最低限求められる能力を持っていることはもちろん、それ以外にもできるだけ多くの強みを持っている人だ。つまり、あなたは大きな成長の機会と自分の強みを併せ持つことを目標とするべきなのだ。

5.おすすめ人材アセスメントソリューション

①コンサルティングソリューション

②オンラインシミュレーションアセスメント&アセスメントシステム

③オンライントレーニング&ディベロップメント

6.DDIとは

DDIは、世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業です。1970年の設立以来、この分野の先駆者として、リーダーのアセスメントや能力開発を専門としてきました。顧客の多くは、『フォーチュン500』に名を連ねる世界有数の多国籍企業や、『働きがいのある会社ベスト100』に選ばれている世界の優良企業です。
DDIでは、組織全体におよぶリーダーの採用、昇進昇格、能力開発手法に変革をもたらす支援をすることで、すべての階層において事業戦略を理解し、実行し、困難な課題に対処できるリーダーの輩出に貢献しています。
DDIのサービスは、現地事務所や提携先を通じて、多言語で93カ国に提供されています。また、同社の研究開発投資は業界平均の2倍であり、長年にわたる実績と科学的根拠に基づいた最新の手法を駆使して、組織の課題を解決しています。

◆DDI社の4つの専門分野

DDI社は、4つの専門分野を中心に、長年の実績と科学的根拠に裏付けられたソリューションと、より深い洞察を提供し、優れた成果を生み出しています。

7.会社概要

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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