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アクセラレーション・プール(Acceleration Pool)|AP方式による次世代リーダーの発掘と集中的育成~後継者計画(サクセッションプラン)の第1歩へ

1.概要

MSCのパートナー企業DDIが世界各地の中規模企業と大規模企業に行った調査によると、圧倒的多数が、部長クラス以上のポジションの70~80%を社内の候補者でまかないたいと考えています。

但し、現実には、なかなかそれが上手くいっていない企業は多いようです(Bernthal, Rioux & wellins,1999)。

ここ数年間、企業はダウンサイジングに努めてきたため、経営幹部の予備軍である中級管理職は社内にほとんど残っていません

そしてさらに問題なのは、その残った中級管理職の多くが、 21世紀に会社を経営していくために必要な能力と仕事の経験を十分に備えていないことです。

このように、直ちに昇格させられる人材が不足している原因の大半は、旧来の後任者計画制度が上手く機能していないことにあります。

2.後任者計画(サクセッションプラン)制度

旧来の後任者計画の仕組みでは、経営幹部や中級管理職が自ら自分自身や直属の部下の後任者を見極め、昇格させる準備が整う時期の見込みを立てます。そして、人事部門が、その結果をもとに、それぞれのポジションの後任者と昇格可能時期をまとめた文書や表を作成し、後任者がいないポジションが見つかると、会議を開いて、そこを埋めるにはどうしたらよいかが話し合われます

このプロセスは、膨大な時間を要するわりに得るものが少ないです。アメリカのある大企業では、後任者計画関連の書類の作成と会議に、年間、延べ25万時間もの経営幹部の時間が費やされていたことが明らかになっています。

概して、企業は、これだけの時間を投じただけのものを得られていません。それは、後任者計画制度では、経営幹部が自分の後任者を探すことが中心となるため、会社の将来に向けての経営戦略と上手く連動していないことが多いからです。

つまり、経営幹部が探しているのは、今自分がやっている仕事を引き継がせる人材なのです。しかし、会社は、これまでとはまったく異なる知識やスキルを経営幹部に要求するような新たな戦略を実施しようとしているかもしれませんし、あるいはこれまで経営幹部がやってきた仕事自体を廃止しようとしているかもしれません。

さらに、後任者計画制度では、後任予定者を選んで昇格させることが主たる目的となって、能力開発にはほとんど目が向けられません。そして何よりも最悪なのは、実際には後任者の決定が、ほとんど後任育成制度とは無関係のところで行われているという現実です。

自社の後任者計画制度の効果を調査した企業の大半が、ポジションに空きができたときに制度で指名されていた後任予定者を登用したケースは30%以下であると報告しています。つまり、多くの企業が、使いもしない制度に経営幹部の貴重な時問の多くを投じているのです。

3.アクセラレーション・プール|AP(Acceleration Pool)方式とは

そこでわれわれは、将来の経営幹部となる人材を育成するための別の方法を提案しています。それは、「アクセラレーション・プール(Acceleration Pool、AP)=短期育成グループ」方式と呼ばれる、旧来の後任者計画とはまったく異なるやり方です。

AP方式では、経営幹部それぞれが自分の後任予定者を1~2人指定するのではなく、経営幹部のポジション全般に対して複数の後継者候補を選び、候補者集団として育成します。

その名が示すように、APのメンバーは、さまざまな能力開発機会が与えられ、短期間で速やかに育成されます。APのメンバーには、現有能力レベルを超える難しい仕事やタスクフォースへの任命など、最大限の学習ができて、しかも社内で最も注目されているような場が与えられます。また、専任のメンターがつき、さまざまな研修を受けるとともに、大学の経営者育成コースや社内のアクション・ラーニングなどの特別な学習機会に参加します。

さらに、フィードバックやコーチングを受ける機会も増やされます。そして経営幹部は、人事/人材開発部門の協力を得ながら、 APメンバーの能力開発の進み具合や昇格への準備度を積極的にチェックします。

AP方式では、経営幹部は、経営トップのポジションを除けば、誰をどのポジションの後任者にするかを決める必要がなくなります。毎年、後任者計画関連の文書を作成して提出するという煩わしい作業から解放され、候補者のスキルと知識の強化という、まさに将来のリーダーの育成により多くの時問をあてることができるようになります

APの規模は、経営幹部のポジション数や、それらのポジションへの後任者をどの程度の候補者の中から選びたいか、どの程度のスピードで会社が成長しているかによって決まります。図表2-1は、従業員数1000~5000人の規模の中型企業が一般経営管理職のポジション全般の候補者を育成するというケースを想定した場合のAPの例です。

図表2-1に示した基本的なAPには多くのバリエーションがあります。例えば大型企業の場合は、専門職の一般社員から初級管理職の階層にいる候補者を対象とするものと、中級管理職の階層にいる候補者を対象とするものの2つのAPをもつということもあり得えます(図表2-2参照)。

APの数は会社の組織構造によっても異なってきます。例えば製造業の場合は、工場のトップ幹部候補者のためのAPと、本社機能の幹部ポジションを目指す中級管理職層の候補者のためのAPを設けることになるかもしれません。また、社内子会社や事業部制を敷いている大型企業の場合は、それぞれの子会社や事業部ごとにそこの経営幹部のポジションを対象としたAPを設置し、さらに会社全体の経営幹部のポジションを対象とした全社用のAPを置くことが多いです(図表2-3参照)。

4.AP方式はどのように機能するか


それではここで、 AP方式がどのように機能するかを説明しましょう。

第1段階 将来性のある人材を推薦し、確認する
第2段階 能力開発ニーズを診断する
第3段階 ニーズに適した能力開発計画を立てる
第4段階 能力開発計画を実施し、成果を文書化する
第5段階 能力開発の進捗度と新たな能力開発方法の検討

具体的なステップは下記のようになります。

🔶第1段階 将来性のある人材を推薦し、確認する🔶

部門や事業部がAPメンバー候補者を推薦する

人材開発委員会が候補者を見直し、最終的なAPメンバー候補者を選定する

APに入ることのメリットとデメリットを最終候補者に説明し、APへの参加の有無を決定させる

🔶第2段階 能力開発ニーズを診断する🔶

アクセラレーション・センターを通じて、強みと能力開発ニーズを診断する▼
診断結果をフィードバックし、能力開発の優先項目を決定する

🔶第3段階 ニーズに適した能力開発計画を立てる🔶

人材開発委員会がAPメンバーに与える任務や研修、エグゼクティブ・コーチングを決定し、経過と結果をチェックする

診断結果を踏まえて、現在や今後の仕事の中での能力開発目標を設定する

APメンバーが上司やメンターの支援を得て、能力開発計画を作成する

🔶第4段階 能力開発計画を実施し、成果を文書化する🔶

APメンバーが研修やエグゼクティブ・コーチングを通じて必要なスキルや知識を身につける

APメンバーが習得したスキルや知識を実際の仕事の場で活用する

APメンバーが習得したスキルや知識を実際の仕事の場で活用結果を測定し、報告する

APメンバーがキャリア開発ポートフォリオを作成し、上司やメンターと共に能力開発の進捗状況を振り返り、新たな能力開発目標を設定する

🔶第5段階 能力開発の進捗度と新たな能力開発方法の検討🔶

人材開発委員会がAPメンバーの能力開発の進捗状況を監査し、次に与える新たな任務を決定する

5.おすすめソリューション

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント


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