2022カタールW杯試合分析 大会5日目

大会期間中に、期末考査→コロナ感染→三者懇談→年度末作業とバタバタしていましたが、ここから巻き返します。

視聴制限もあるので、観れなくなるのが一番つらい。


さ、気を取り直して。

グループG スイスvsカメルーン


スイスは堅守のイメージ。モナコで南野の相方エンボロに注目。



カメルーンはアフリカのライオンみたいに言われるけど、試合前のイメージが湧かない。


試合前の予想通り、スイスは大会初戦もあってか固い入り。ミドルブロックを敷いてしっかりとカウンターを狙う。そのために前線で時間を作り出せるエンボロ起用か。

対してカメルーンは4-3-3のベーシックなビルドアップだが、WGがスイス両SBの脇でピン留め。
空いたスペースをSBに使ってほしいからか、アンカーがCB間に落ちて、ボールをピックアップ。

その際にスイスの両SHがカメルーンの両SBについていくと、カメルーンCBやIHのスペースが空くので、前半はボール保持のカメルーンに、カウンター狙いのスイスという構図。

ただ、スイスもポジティブトランジションでスピードアップせずに、しっかりとボールを保持し自分たちのペースを掴もうとしていたので、試合全体としてはゆっくりとした流れで動いていた。

試合のカギになるのはセットプレーか、と思っていた矢先。
後半にスイスが先制。

エンボロはDFラインの背後に抜け出すタイプでないため、相手も前向きに守備をしやすいが、そこを2タッチ以下で左サイドに相手を密集させて、逆サイドに展開→クロス→エンボロ得点、とポゼッションの手本となるような得点シーンであった。

TVなどではエンボロの生い立ちも含めてこのゴールが注目されているが、サッカー通なら組み立ての部分からにも注目してほしい。

先制してからは、得点差もありカメルーンはプレスに行かざるを得ない状況が生まれたので、スイスペースになり、自陣に引き込みながら、相手の背後を取れるようになっていった。

MVPはエンボロ。前半はスイスのカウンターの起点に。後半は得点を含め、サイドからの展開におけるゴール前での脅威になり続けた。

まさにスイスのゲームプランはエンボロありきか?とも思えた。


グループH ウルグアイvs韓国



ウルグアイは攻撃陣が豪華、、、


アジアの虎といわれる韓国。この試合では噛みつくようなシーンはなかった、、、

この試合は全体的に攻守の移り変わりが速く、非常に見応えのある試合だった。

お互いにミドルブロックからのショートカウンター発動を狙っている印象であったが、ウルグアイのボール保持時間が長く、韓国は我慢の時間も多かった。

ウルグアイはビルドアップの際、3-5-2に変形し、中盤の形はアンカータイプ。そうすることで、韓国の中盤3人をピン留めできるし、トップ下がウルグアイCBにプレスに行こうものなら、そこが浮いてしまうので、韓国はなかなかプレスのスイッチが入れられない状態に。

韓国もウルグアイのミスからのボール奪取をダイレクトにゴール方向に狙うのではなく、守備の時間で我慢していた部分を攻撃にぶつけようと、保持する場面もみられた。

その際韓国の2VOはCB-SBでのピックアップでSBを高い位置に取らせて、クロスからゴール前に迫る場面はあった。

ウルグアイはどちらかというと韓国の守備ブロックを崩しきれず、ボールを持たされている状態が多く、WBへのサイドチェンジで一気に打開を図るも、韓国の素早いスライド、粘り強い守備に苦戦している様子であった。

MVPはウルグアイのバルベルデ。有名どころではあるが、拮抗した試合展開を打開しようとする場面が何度かみられ、得意の推進力のあるドリブルから、相手が出てこなければ、ミドルシュートを放つなど、相手の状況に合わせてチームにアクセントを加えていた。


グループH ポルトガルvsガーナ



今までに見たことの無いフォーメーションの表記


ガーナは粘り強い守備からI・ウィリアムズにボールを供給できるか。

ガーナは5-4-1のブロックからカウンターを狙いたいが、ポルトガルの豪華メンバーのビルドアップになかなかうまくプレスがはまっていなかった。

ポルトガルは相手が1FWのため後方で安定してボールを保持できるが、どのようにして前進していくかが問題となる。
アンカーを置きながらもIHがCB-SB間に落ちることでSBのWG化を起こし、相手のWBを最終ラインでピン留め。より相手を動かしながら打開を図るが、どこかボールを持たされている印象も。
ただルベン・ディアスのビハインドサポートが非常に速く深いため、焦って楔を入れて待ち構えているガーナDFにひっかけない限り、ボールは失わないと考える。

ガーナは1FW脇のスペースに対して誰がプレスにいくのかが曖昧な部分があり、またラインが高いため、なかなかボールが奪えないが、ポルトガルのロングボールを誘い、対応し、2ndボールの回収で打開を図る。

前半の中頃からガーナは5-3-2に変更し、曖昧だった部分のプレスを明確にした。その反面、IHが相手SBに中央のパスコースを消しながらプレスに行くため、体力の消耗が激しくなり、どこまでもつか分からない。
そのため、後半になるとスライドが追い付かず、ガーナはファウルも増えてきた。

ポルトガルの先制点のPKを生み出したシーンは、5バックの泣き所である縦ズレを起こされたWB裏のスペースである。

前述したポルトガルのビルドアップでは、IHがCB-SB間でボールを受けた際、ガーナのプレスが来なかった時にはポルトガル2FWのダイアゴナルランが何度も見られていた。それプレーが布石となり生まれたPK。

ロナウドが5大会連続ゴールとなる得点を記録すると、終始ポルトガルペースでゲームは終わった。

MVPはロナウド。ゴールが注目されているが、3点目のカウンターの際、80分にも関わらず、切り替えがとてつもなく早くDFを引き付けるランがしっかりとできていた。
あの時間帯に点差もありながら、ベテランがランナーになれることはチームを鼓舞する要因となることだろう。


グループG ブラジルvsセルビア



大会優勝候補。どのポジションにも隙が無い。


日本人お馴染みのストイコビッチが監督を務める。


大会優勝候補のブラジルであるが、結論から述べると、格の違いを見せつけた試合となった。

5-4-1のブロック敷くセルビアは中盤の4人が横並びではなく、ボックスの形になっている場面があり、中央に位置するネイマールにやらせないための守備配置なのかと思ってしまうほど、サイドにボールを誘導していた。

ブラジルはVOのピックアップはカゼミーロが担当し、敢えてセルビア中盤のBOXブロックを固定してるように思えた。
相方のパケタが割と自由な立ち位置をとり、サイドでボールを受けて起点となる。

その際にWGの選手は簡単に足元にボールを要求できるため、両サイドともカットインタイプでチャンスメイク。
中央を対応されれば、IHがナナメに抜けて外からラインを越えていくなど、柔軟な攻撃を展開していた。

互いの狙いが交錯する中、サイドの攻防が試合のカギとなる予想をしていたが、試合は一瞬で決着がついた。

サイドからの楔に狭いスペース、少ない時間で対応を余儀なくされるなか、一瞬の閃きでゴールをこじ開けたリシャルリソンは文句なしのMVP。

先制することで、前に出るしかないセルビアのあざ笑うようにネイマールは立ち位置を変えて存在感を発揮した。

盾と矛の対決となったこのゲームは非常に見応えがあり、またゴールシーンも規格外であるため、グループリーグ第1戦ではベストゲームと考える。


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