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記事一覧
角田光代『人生ベストテン』
40歳間近だが我が人生のベストテンを考えるという自虐的な趣味がやめられない。25年代わり映えのない日々を過ごした鳩子は大きな見栄を背負い中学時代の恋人・岸田に会いに行く…。「いつもと同じ」を変えようとする女性達が登場する5編の短編集。共感ばかりの一冊。
岡尾美代子『Land Land Land 旅するA to Z』
北欧、イギリス、ロシア等、主に北国で出会った風景・建物・雑貨・食べ物・その国の人達をポラロイドカメラにおさめたかわいい旅エッセイ。写真と文章の配置にセンスを感じる。この一冊で北欧おしゃれ旅に出たような気分になれる。
よしもとばなな『スウィート・ヒアアフター』(幻冬舎)
自然豊かな京都の街で、アトリエを構え作品創りに没頭する恋人と支え合って生きていくはずだった…。交通事故で最愛の恋人を亡くしてしまった主人公・小夜の「喪の作業」の物語。無理はしない、でも逃げない。命の強さと喜びを噛み締めた一冊。
藤原美智子『美しい朝で人生を変える』(幻冬舎文庫)
スタイリストとして活躍する著者が40代にして決意した「朝型生活」の効果を語ったエッセイ。朝活をすることで一番感じるのは、朝早く起きて充実した時間を過ごせた!という達成感だと語る。自分をもっと好きになれる朝活のススメに納得の一冊。
吉田修一『パーク・ライフ』(文春文庫)
日比谷公園を真上から見ると、人体解剖図のように見える。人間は汗のように公園の門から流れ出ていく…。営業マンの「ぼく」の視点から「流れ出る」人間の風景が切り取られる物語。「ぼく」の心象風景と実際の風景が融合する場面がすごく好き。芥川賞受賞作。
本谷有希子『異類婚姻譚』
「ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた。」結婚6年目、専業主婦としてゆるやかな日々を過ごす「私」はある日から夫と融合していくような感覚を味わう。同時に夫の顔も人間ではない「異類」に見えてきて…夫婦の結びつきを描く芥川賞受賞作。