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朱書き教科書から学んだ読み聞かせのコツ

こんにちは。4月が終わり、学級が少しずつ落ち着いてきました。特別支援学級教員13年目のMr.チキンです。
雪国の学校では、グラウンドに雪が積もります。そのため、完全に溶けるまではグラウンド遊びができません。グラウンドが開放されて、1~2週間経つと子どもたちが安定してくる感覚があります。身体をいっぱい動かして遊べるということ、遊ぶ場所が分散されて静かな場所ができるということなど、遊び場が増えることの影響は大きいなぁと感じる今日この頃です。
さて、今日は学級内での読み聞かせのコツについてお話をします。

先生用の教科書?

昔々、私がまだ子どもだった頃、こんなうわさが流れました。

先生には先生用の教科書があって、それを見ると答えがすべて載っているから、テストで満点がとれる。

そんな夢のような本があるのか!と子どもの頃はその教科書がほしくてたまりませんでした。
大人になり、教員になって分かったことは2点です。

  1. たしかに先生用の教科書はあった

  2. それを見ても満点はとれない

ということです。
先生用の教科書・・・それを教員の世界では”指導書”と呼んだり”指導用教科書””朱書き教科書”と呼んだりします。

朱書き教科書って何?

では、朱書き教科書とは何でしょうか
まずは実物を見てもらいましょう。下の画像のようなものです。(光文書院から引用)

このように、1時間ごとの押さえるべきポイントが書かれていたり、黒板の書き方が書かれたりしています。
もちろんこの通りに授業をやっても上手くはいきません。子どもたちの実態に応じてかなりアレンジしながら授業を作っていきますが、授業づくりの参考にはなります。

また、学習のつながりについても書かれています。今学習している内容が、次の学年でどのように扱われるのかを知ることは授業づくりで大切だからです。このように、授業のヒントとなるものが書かれているのが指導書・朱書き教科書と呼ばれるものです。
これを見てわかる通り、残念ながら小・中学生がこの朱書き教科書を見ても満点はとれません。読み込めば授業の見通しは分かるかもしれませんが・・・


朱書き教科書から学んだ読み聞かせのコツ

そんな朱書き教科書。特に若い教員にとっては授業の基準となる部分があります。
ある日、若いころの私は、国語の朱書き教科書パラパラと眺めていました
1年生の国語、初めの方に扱う内容の多くは読み聞かせ教材になっています。そこに、こんな一文が書いてありました。

可能な限りゆっくり読み聞かせをする。

他の難しいことはあまり頭に入ってきませんでしたが、これならできそうです。次の日、さっそく子どもたちに読み聞かせをしました。可能な限り、ゆっくりと。すると、いつもの読み聞かせと比べて、子どもたちの反応が段違いに良いことに気付きました。

先生、このページさっき先生が言ってたウサギさんがいるよ!

子どもたちが、自分たちから気付いたことを教えてくれます。これは何でだろう?分析すると、ゆっくり読み聞かせをすることには・・・

  1. 教員の話している内容がゆっくりなので聞き取りやすい

  2. 挿絵をゆっくりと眺めることができるので、子どもたちは安心して思考を働かせることができる

という良さがあるのかもしれません。

子どもたちは絵本をじっくりと味わいたいのだな

ということを改めて実感しました。

これも一つの教師のバトンなのかもしれない

それからというもの、絵本をゆっくり読み聞かせるだけではなく、本当に伝えなくてはいけない情報については、聞き取りやすい声でゆっくりと伝えるように心がけるようになりました。
朱書き教科書に書かれていたことが、今の指導の一つの軸になったのです。
そして、今、教員として少し経験してから考えることは、”朱書き教科書を書いた人の想い”です。若いころの私は、朱書き教科書の

可能な限りゆっくり読み聞かせをする。

という一文に、何か人の熱のような、子どもに接してきた人にしかわからない生きた知恵のようなものを感じたのだと思います。この一文を書いた人は、一年生と向き合い続け、試行錯誤の上、この方法にたどり着いたのかもしれません。だから響いたのでしょう。言い換えると、その朱書き教科書の一文を書いた人の「 #教師のバトン 」を、若いころの私は受け取ったのかもしれません。
もし良ければ、ゆっくりと読み聞かせをすること、明日からの授業に取り入れてみてくださいね。
では、またね~!

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