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【映画評】「クレイマー、クレイマー」を見て考えさせられた

「クレイマー、クレイマー」を配信で鑑賞しました。
で、映画評を書いてみようと思います。
アカデミー賞発表から2週間たちましたが、まだ自分の中では余韻があって、過去の作品賞を観てみようかなと。

はじめに

約40年前の映画なので少し情報を。

1979公開 アメリカ
監督 ロバート・ベントン
出演 ダスティン・ホフマン(父)
   メリル・ストリープ(母)
   ジャスティン・ヘンリー(7歳の男の子)
第52回アカデミー賞 作品・監督・脚色・主演男優・助演女優 受賞

ウイキペディア


父子もののお話

お母さんが自己実現のために家を出てしまったことによる、父子もののお話です。
仕事人間で今まで家事・育児をしてこなかったお父さんが、家事・育児をせざる得なくなり、奮闘する。
そこに自己実現を叶えたお母さんが子どもの親権を欲しいと言ってきて…ってあらすじです。

タイトルの意味は、クレイマー(父)とクレイマー(母)の離婚裁判での対決ということなんだけど、対決の要素はなくはないのだけど、そこまできつくない。
むしろ父・母・子みんながお互いを思いやっていて、優しい。
特に息子役の子が可愛いかった。

ほんとにクレイマー家の3人の話で、それ以外のエピソードはほとんどない。(あとは友達のシングルマザーがちょっと出てくるぐらい)
タイトルにもうひとつ「クレイマー(子どもの分)」を足してもいいくらい。

「クレイマー、クレイマー、クレイマー」。ちょっとくどいか。

潔いといえばそうだけど、家族の話のみで映画ひとつ作るのって実は難しい。
父・母・息子の三者の視点がバランスよく描かれていて、名作だと思います。

微笑ましい映画ではあるけれど…

ただ主としては父親目線の話なので、ややもすると子どもを置いて家を出た母親が悪者になりがちだけど、この映画ではそうは描いていない。
仕事を続けたかったけど自分を犠牲にして家庭に入った母に対して向き合わなかった父のことをきちんと告発している。
また、父子家庭になったことで仕事を制約しなければならなくなった父は職場をクビになる。そういう意味では父もまた犠牲者なんだよな。
加えて、息子は母親が突然いなくなったことで、自分を責める。「自分が悪い子だから、お母さんは出て行ったの」と。このシーンは観ていて本当につらかった。

確かに、父と息子が二人きりの慣れない生活のなかでお互いを認めがら愛情を深めていく様子は微笑ましい。
父親がいかに息子を愛しているか伝わってきてジーンとくるし、息子も父と共に成長していて頼もしい。

ただ一歩引いてみれば、こういう形の映画は撮られない社会になってほしいと思った。
だってさ、この家族は憎くて離れ離れになったわけじゃない。
ラストシーンまでお互いのことを思い合っている。それなのに別れなきゃいけないなんて、ほんとつらいし切ない。
(ラストシーンに関しては、人によってそれぞれ解釈あると思います。自分は母親が身を引いて別で暮らすのではないかと。母親にとってあの家で暮らすのは耐えがたいのでは。それとも時間がたてば解決できるのかなあ。)

もしはじめから父が家事・育児を当たり前にしていたら、こういう結果になっていなかったんじゃないかなあ。
もっと言えば、社会制度や風潮が働く女性や子をもつ親(女も男も)の自己実現を可能にするものだったら、家族みんなで仲良く暮らせたかもしれない。
「あくまで40年前の話であって、今の時代では通用しないよね」っていう社会に現在の日本はなっているんだろうかと考えさせられました。トホホ。

総合評価 ☆☆☆☆

☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆  →まあまあ。
☆☆   →う~ん、ちょっと。。。
☆    →ガーン!

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