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選挙結果振り返り(2023 8.6投票)

 なんと今週は選挙が29件! 6件が無投票になったもののそれでも残り23本。 私の能力は10件程度お伝えするのが限界なので、そこから絞りに絞った11件に、結果を見て紹介しなければならない2本を加えた13本を振り返ります。
 そのため、埼玉県知事選、柏市議選、勝山市議選は他の選挙ウォッチャーさんの取材を参考にしていただきたく。 勝山市議選については既にレポートが出ていますので是非御購読ください。




◎北海道・余市町議会議員選挙(定数16/17人)

 現職12人、新人5人が立候補し、政党別では公明が2人、共産が1人立てた、いわゆる “定数プラス1” の選挙。 前回から定数が2つ減る中、共産が改選前3議席から大胆に1候補に絞り3位当選を果たしました。 他の選挙で候補者を自らで絞れず実質的に “落選” という形で有権者に議席を絞ってもらっていた共産党。 当選候補の票数は、もし2人出した場合1人が最下位落選する可能性も無くは無いなと見えるため、引退議員の後継候補の無駄打ちをせず1人に留めたのは正解だったと言えるでしょう。 この選挙のように2減までする必要が他の選挙で有るかどうかは状況次第ですが、1つ絞るという選択は “勇気ある撤退” として選択肢に入れるべきではないでしょうか。 落選という結果が出て醜態を晒すよりは遥かにダメージが少ないハズです。
 そして、“定数プラス1” という状況が、ネタ作りのために立候補したとしか思えない「ユーチューバー」が当選するという結果を生み出しました。
 きっと、それなりの志は有るでしょう。 町議の給料も安いでしょうからユーチューバーと兼務するコトも否定しません。 結果が町民の民意の表れとするならば、余市町民は今後4年間を以て学ぶしかないかと。 残念ですが。


◎岩手県・大槌町長選挙

 3期目を目指す現職に新人2人が挑む選挙は現職が3選を果たしました。 現職は町の総務課長だった2011年、東日本大震災が発生し津波で亡くなられた当時の町長の代理で一時、町長業を担っていた歴史が有るので支持は厚いのでしょう。
 しかしながら震災からの人口減少率が岩手県内最大で役場内の不祥事も相次いでいる状況が有り、3期目の町政運営次第では次の審判を下さないといけかないかもしれません。 いかなる状況にせよ、4選以上の多選は何かしらの弊害が生まれてしまうものですから。


◎宮城県・加美町長選挙


 町内の更なる風力発電施設建設(実に150基)の是非を問う選挙は、かつて民主党に所属していた元衆院議員で、これ以上の風力発電施設建設は反対とする新人が、更に推進したい4期目を目指す現職を倒し初当選を果たしました。
 ただ、ここには2つ留意する点が有るように見え、まず当選した新人が口にしていた「白紙撤回」が必ずしも中止に繋がるとは限らないという点で、規模や計画が変わった時に賛成に転じる可能性も有るため注意が必要だというコト。
 そして、元民主党衆院議員である新人に “自民党の” 推薦が出ている点。 そもそも風力発電施設建設を自民党が否定していたなんて話は聞いたコトなく、そう簡単に中止するとはどうしても思えません。 ただし現状は、

 この事件が発覚し「風力発電」というジャンルに対し批判的な風潮が有るので、新町長の1期4年間でどう動くのか注目です。


◎山形県・高畠町議会議員選挙(定数15/17人)

 現職9人、元職1人、新人7人が立候補し、政党別では公明と参政が1人ずつ立てた選挙は現職2人が落選し政党公認候補は共に当選しました。 当然ながら参政党候補の当選が最大のトピックなのですが、この件は最後にまとめて触れます。


◎福島県・郡山市議会議員選挙(定数38/47人)

 まず最初に触れなければなりません。 数多くの選挙に出馬経験のある “東のプロ” こと髙橋翔プロが安定の落選。 通算戦績は「0勝11敗」と連敗記録を更に伸ばしたコトを御報告いたします。
 話を本筋に戻すと、現職29人、元職1人、新人17人が立候補し、政党別では自民が3人、公明が4人、立憲が4人、共産が2人、維新、れいわ、参政、社民が1人ずつ立てた選挙は新人8人、元職1人が落選し現職は全員当選。 政党別では立憲、維新、参政、社民が1議席ずつ落選しました。
 何といっても最大のトピックはれいわ候補が2位当選というこれまでにない結果を出したコト。 れいわは東北地方、特に福島では苦戦が続いていましたが、今回は候補者がかなり良い候補だった上に、引退する現職から後継指名を受けたという追い風も加わり当選しました。 引退した議員は前回11位当選だったのに対し今回は2位で且つ前回比約800票積み増し(投票率は前回比約2.3ポイント減)ており相乗効果が出たといえます。 れいわも良い候補者を立てて党からの応援を入れれば(今回は最終日に山本代表が入っていた)東北でも勝てるというコトでしょう。
 対照的に維新は、いくら全国的に勢いが有るといえど、71歳の新人に「みを切る改革」などと言われても響かなかったようで、参政党候補より票が獲れず落選。 維新は地盤が強くない、これから強くなろうとする地区の候補者選びは “早い者勝ち” としているように見え、誰でもイイから候補者を決めて選挙準備期間を少しでも長く取るコトを優先していると思われます。今の維新の勢いが有れば誰でも勝てるというワケでは無さそうです。 党のイメージも有りますから「60代未満」は必須でしょう。
 共産は全員当選となったものの立憲と社民は1人落選。 次点と最下位当選の方がともに立憲候補で、落選した立憲候補は前回社民公認で当選し立憲に合流した方。 そこから社民が議席奪還すべく立てた候補も落選となりました。 ああ無常・・・
 ※参政党については最後に触れます。


◎福島県・大玉村議会議員選挙(定数12/14人)

 現職10人、新人4人立候補し、政党別では共産党が2人立てた選挙は現職新人1人ずつ落選。 共産党候補は3位7位で当選しました。
 前回は無投票だったため8年前のデータになりますが(今回も立候補している)共産党候補は3位5位で当選し、合わせて768票獲得しているのに対し今回(投票率約13ポイント減)は665票。 減少率が投票率減とほぼ同じなので「勢力維持」といって良いのではないでしょうか。


◎茨城県・結城市長選挙

 2期目を目指し自民党支部と公明党が推薦する現職に、共に元市議の2人が挑む選挙は現職が競り勝ちました。
 “2期目を目指す現職” というのは基本的に盤石で、更に自公の推薦がついて、加えて新人候補が割れたとなれば「圧勝」になるハズがここまで接戦となったのは、あまり評判が良くない、もしくは、能力に疑問が有るのではないか? と選挙公報を見て思ったのでした。


◎埼玉県・小川町議会議員選挙(定数16/19人)

 現職14人、新人5人が立候補し政党別では公明が2人、共産が1人立てた選挙は現職2人、新人1人が当選。 政党公認候補は全員当選しました。
 そして昨年の町議補選で当選した「ユーチューバー&ミュージシャン」の候補が正念場となる本選でも4位で当選しました。 今回の選挙公報政見放送(みたいなもの)を見る限り真面目に活動されているようにみえるので、仕事ぶりが評価されたのでしょう。


◎埼玉県・杉戸町議会議員選挙(定数15/18人)

 現職7人、元職2人、新人9人が立候補という改選後に顔ぶれが大きく変わるコトが確実な選挙で、政党別では自民1人、公明2人、共産3人、そして、 幸福実現党が1人ずつ立てた選挙は元職1人、新人2人が落選し政党候補は全員当選しました。
 幸福実現党の候補は経歴を見ると地元で特に活動をしているようには見えませんでしたが9位当選。 正直言って「幸福実現党」という看板がプラスに働くとは思えないので32歳という若さで押し切った感じなのでしょう。
 コレで幸福実現党は記念すべき50人目の地方議員誕生となったようですが、大川隆法氏も亡くなり、及川幸久氏も党幹部から外れ(離党?)た今、少しずつとはいえ勢力を伸ばす意味は一体何なのでしょうか?


◎千葉県・富里市長選挙

 2期目を目指す自公推薦の現職に元千葉県職員の新人が挑む一騎打ちは現職の圧勝。 新人は「無投票を阻止するのが目的のひとつ」と語っていたようで、その意味では目的は達成したのでしょうが、得票率が10%に届かず供託金100万円は没収となったようです。 選挙戦となって市民が民意を示せる場を作ってくれたコトはリスペクトしますが、「100万円かぁ・・・」とビンボーな私は下世話に考えてしまいますゴメンナサイ。


◎兵庫県・市川町議会議員選挙(定数12/14人)

 現職5人、新人が9人とコチラも改選後に顔ぶれが大きく変わる選挙となりまして、政党別では公明、維新、れいわが1人ずつ立てた選挙は新人2人が落選。 政党候補は全員当選しました。
 れいわの候補が9位当選で今週のれいわは3戦3勝! 支持者にとっては久しぶりにキモチ良く眠れる夜になったと思われます。
 そして、無所属議員の中に混ざっていた “隠れ参政党” は2位当選を果たしています。 ではココで、先週の参政党についてまとめてみます。


◆参政党は “実験” をした!?

 市川町議選に出て2位当選した “隠れ参政党” 。 ただポスターもTシャツもチラシも選挙カーもオレンジでしたし、本人も会合で「当選したら参政党議員として頑張りたい」と語っていたとの情報も有り、積極的に隠していたワケでは無く単に公認がついていなかったダケのようです。
 では何故公認がつかなかったのか。 プロレス好きな私がその視点で見立てると、この選挙は「党の公認ナシでどこまで票が獲れるか」という実験をしたのではないか? と思えるのです。 邪推も甚だしく聞こえたとしたら、そう聞こえた貴方が正しいと思います(汗)。 ただ、その視点で他の選挙を見ると今回の候補はそれぞれ「キャラクター」が違っているのに気づくのです。

 高畠町議選は62歳と高齢の新人候補が出て7位当選。 町の整体屋さんである方で地域に一定の知名度がある人なら、定数プラス2の小規模な議員選なら最近多用している “エク〇ルヒューマン式選挙戦略” で当選は可能であるという結果を得られたと言えます。
 対して郡山市議選は43歳と若いが昨年の参院選に新潟から出た新潟出身の落下傘候補。 落下傘でも若さと党の応援(神谷参院議員も郡山入り)が有れば当選できるか試したところ落選。 逃げられた形となった参政党新潟の支持者が郡山入りし街宣中に直接抗議したとの話も有り、参政党の支持者は落下傘候補や各地で転々と立候補する方に対して厳しいというデータが得られました。
 そして11件にセレクトしませんでしたが、福井県勝山市議選(定数14/17人)でも参政党候補が出ていて、その方は38歳の現職で1期目は無所属で当選し今回は参政党公認で出馬しましたが党からの応援も無ければスタッフもオレンジで統一していないなどバラバラで、その結果、票を4割減らして落選しました。 現職から候補者を選ぶと既存の基礎票が有るから有利に働く、とは限らないというコトが示されたかと。
 以上(隠れ候補も合わせて)先週は2勝2敗でした。 自発的か偶然かは分かりませんが参政党にとっては結果以上に候補者選定に関するデータを得られた選挙だったのではないかと、私は見立てているのですが、如何でしょうか。

 では最後に、セレクトしなかったもののお伝えしなければならない選挙を2つ紹介して終わります。


※北海道・上富良野町議会議員選挙(定数14/16人)

 この選挙の有効得票数は5,079票なのですが、ここに出馬した立憲公認候補が僅か70票しか獲れず落選しています。 得票率約1.3%ですよ! この結果は立憲に相当なダメージとなるでしょうし、ここが含まれる衆院選北海道6区は厳しい戦いになるだろうと思われます。


※広島県・大竹市議会議員選挙(定数16/18人)

 16位に入り当選、かと思われた候補が法定得票数に届かず、当選ならず欠員となりました。 法定得票数は地方議会議員選挙の場合、

有効得票総数 ÷ 議員定数 ÷ 4

 となっており、大竹市の有効得票総数は9,545票で定数16なため、法定得票数が149.14票なのに対し16位の方の得票数は、144票。 6票足りませんでした。 このようなケースが発生した場合は次回の本選は定数を1減らすべきでしょう。 私は議員削減論者では決してないですが、この体たらくじゃ、ねぇ・・・


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