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選挙結果振り返り(2023 12.24投票)

 年内最後の選挙。「武蔵野市長選」と「志賀町長選」という二大注目選挙が有りましたが、予想だにしない結果が出て、未だに混乱しています。
 現場で取材していればもっと深く知れたのでしょうが、何故このような結果になったのか。 現在持ち得る情報と知識をフル回転させて書いてみようかと。
 今年最後の「選挙結果振り返り」 皆様が今回の結果を分析するための「足し」になれば幸いです。




◎岩手県・葛巻町議会議員選挙(定数10/13人)

 現職9人、元職1人、新人3人が立候補し、現職3人が落選。 女性候補2人は当選しました。

 2007年以来16年ぶりの町議選。 候補者を年代別で見ると70代が7人、60代が4人と “還暦越え” 候補が殆どでしたが、現職で70代の2人が落選をしたという結果を見るにつけ、有権者は世代交代、顔ぶれの変化を望んだのだと思われます。 また、36歳女性というズバ抜けて若い候補は3位で当選。 その方にとっては “お父さん” 世代と同僚になるという特殊な環境下に置かれるコトになりますが、頑張っていただきたいものです。


◎宮城県・岩沼市議会議員選挙(定数16/17人)

 前回から定数が2議席減る中、現職15人、元職と新人が1人ずつ立候補し、政党別では公明が2人、自民、立憲、維新、共産が1人ずつ立てた “定数プラス1” の選挙は現職1人が落選。 女性候補5人は全員当選しました。

 政党候補は全員当選。 立憲候補が4位、自民候補が5位、公明候補が6位。 共産候補は前回2候補出して1人落選したコトから今回は1候補に絞った結果9位で当選。 当落線上で昨年の補選で無投票当選した2候補が争い、維新候補が当選し無所属現職が落選となりました。 現職といえど無投票当選なら有権者への知名度が上がらず両名とも実質新人のようなのでしょう。
 そして維新候補は当選したものの最下位。 前述の通り知名度の低さが苦戦の原因でしょうが、「維新」という看板が票に繋がらないのも事実。

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 統一地方選後、維新は東北地方で12勝4敗。 大阪万博のズンドコっぷりが露呈し始めた夏場から負けが付き始めましたが、年内最後は勝ちで締めるコトが出来たのでした。

 また、7年前に議会から「不適切発言」を理由に23日間の出席停止処分を科せられたのは不当だとして市を訴え、最高裁まで争った末に今年3月に出席取り消しを勝ち取った現職議員が今回も立候補し、3位当選。 判決が出る途中の2019年には落選したものの昨年の補選で復活。 そして今回の結果と、市民の信任を得た形になったようです。


◎福島県・矢吹町長選挙

 2期目を目指す現職が立候補。 他に候補が出て来ない中、その匂いを嗅ぎつけた “選挙ゴロ” 小西彦治が出て来た選挙。 当然、現職が2選を果たすも、小西は得票率10.26%獲得してしまい、供託金返還&選挙運動費が自治体負担となりました。

 “2期目を目指す現職” というのは基本的に盤石なので小西の得票率10%割れも充分有り得たのですが、僅かに上回る結果に・・・。 あともう一歩で没収できたので小西が「選挙ゴロ」であるコトが少しは伝わっていた、と、思いたいですが、きっとそんなコト無いでしょう。 それよりも投票率が前回から20.96ポイントも下がったコトが何よりの民意の表れかと。 残念ながら。
 コレを以て小西は来年も全国各地の無投票になりそうな選挙をハイエナの如く狙ってくるでしょう。 次は私の、そして貴方の住むトコに現れるかもしれません。 その際は、今度こそ、落としてやりましょう。


◎栃木県・上三川町議会議員選挙(定数14/15人)

 現職10人、元職1人、新人3人が立候補し、政党別では公明が1人立てた “定数プラス1” の選挙は女性新人候補が落選しました。

  落選した候補は60代。 結果、当選候補は70代が4人、60代が6人、50代が3人、40代が1人となり、平均年齢は64.0歳となっております。


◎千葉県・睦沢町議会議員選挙(定数12/14人)

 現職10人、新人4人が立候補し、政党別では共産が1人立てている選挙は現新1人ずつが落選。 女性候補3人は当選しました。

 現職が1人いた公明党は、その方が退任した後継候補を立てられなかったようです。 先週の茂原市議補選も亡くなられた自党の後継を立てておらず、いよいよ公明党も共産党のような「後継者不足」のフェーズに入ってきたのでしょうか。
 そしてその共産も2019年に退任した現職の後継を立てられず議席を失い、今回8年ぶりに候補者を擁立しましたが、なんと2位当選! 選挙戦となった8年前が11位なので大きく順位を上げ(※得票数は約1.5倍)、公明と明暗分かれました。 やはりまずは候補者を出すコト。 出さずに不戦敗は勿体ないですよね。


◎東京都・武蔵野市長選挙

 2期6年務めた市長が来たるべき衆院選に菅直人氏の後継で立候補すると表明し辞職。 その後継を、市政継続を訴え立憲、共産、れいわ、社民党、地域政党の生活者ネットワーク、政治団体の緑の党が支持する元市議と、市政の転換を訴える自公推薦の元市議の二名による一騎打ちは、自公推薦候補が339票差で競り勝ち、初当選しました。

 ・・・正直言って、私は非自民系候補が圧勝するものと見ていました。 パーティ券問題が大逆風となっている中で「自民系が勝てるワケない」と決めつけていたのが甘かった。 やはり地方政治と国政を勝手に紐づけしてはいけませんね。 ちゃんとその選挙区の状況を見ていかなければならないと痛感しました。

 だがしかし、やはりこの状況で非自民系が負けるのは驚きで、その敗因を分析してみますれば、菅直人氏が次期衆院選に不出馬を表明し、その後継を松下前市長が務めるにあたり市長を辞職。 衆院選がいつ有るか分からない中で国政を優先し市政を放り投げた形になったのが市民に支持されなかったように見えます。 しかも松下前市長は2022年に外国人居住者が条件を満たせば参加できるとする「住民投票条例」を出して大きな騒ぎとなったのは記憶に新しいトコロ。 あの時の右派系議員や政治団体、支持者が過剰に騒ぎ、それに対抗すべく左派系支持者がカウンターを当てたあの光景は武蔵野市の光景を一変させました。
 私個人は同条例には基本的に賛成ですし、「外国人に占領されるー!」というデマで騒いでいる右派系には「バカじゃねーの!?」というキモチしかないのですが、条例に対する是非以前に、あの一変した光景に嫌悪感を抱き、しかも言い出しっぺである前市長が投げ出して辞職したコトに納得できない有権者が一定数いても不思議では無いと私は思っています。

 地方には地方の政治が有るというコトを忘れて国政を紐づけたのは他ならぬ立憲(というか、菅直人)側であり、選挙の始まりから当落判明まで、非自民側は市民の側を見ていなかったのではないでしょうか。

 落選の弁で非自民系候補は「この18年間の歩みを止めてしまった」と、リベラル系市政が自民系に奪われたコトを詫びており、その言葉こそが「保守vsリベラル」「右翼vs左翼」という思想対立に捉われていた結果だと言えるのではないでしょうか。 まぁそもそも、自らの陣営が仕掛けた選挙で有るにもかかわらず「準備が出来ていなかった」と言う時点で、この結果は然るべきものだったのかもしれません。

 一方、自公系候補は演説場所によって話す内容を変え、地区地域特有の問題を取り上げ、それに対する政策を語っていたと聞きます。 実は市民の側を向いて選挙をしていたのは自公側だったのかもしれません。
 ただ、今までの見立てをひっくり返すような話になりますが、もし自公側の勝因が、彼らが掲げる、

「左翼政治にピリオドを打つ」

 という言葉が有権者に刺さったのだとしたら、この結果は相当恐ろしいコトになります。 「左翼」の定義をちゃんと示せる人なんて殆どいない21世紀も中盤に差し掛かろうとする中で未だに「右翼」「左翼」の思想で区別しようとする前時代的な政治が地方において影響が出てきているとするならば、もはや候補者が誰であろうと何を語ろうと無意味で、右か左かの2つの選択肢だけで争う、私が言うトコロの “紅白玉入れ合戦” 状態になってしまえば、政治の劣化は更に加速していくでしょう。

 この選挙で改めて学んだ、「国政と地方政治は別物として考える」というコトと「地方政治においては思想を語る前に市民に向き合う」コトを忘れず、今後の選挙を見ていくようにします。

 それと、常々思っているのですが、軽はずみに「右翼」「左翼」と言葉にするの、もうやめませんか? 過去の歴史を見ればそう簡単に口にできないものだと分かるハズですよ・・・


◎東京都・武蔵野市議会議員補欠選挙(定数2/6人)

 市長選に出た2人の後任を決める選挙で、男女3人ずつで争う選挙は、自民系候補と立憲の菅直人Jr.が当選。 女性候補3人は落選しました。

 なんといっても目玉は次期衆院選には出馬しないコトを明言した菅直人氏の息子が立候補しているコト!  あれだけ議員の世襲を批判していた野党の、しかも元総理大臣の息子が立候補してきたコトに驚きましたが、市長選の結果然り、補選も自公系がトップで菅Jr.は2位でなんとか当選したコト然りで、決して市民に支持を受けたとは言い切れないでしょう。
 大体、松下前市長がtwitter-Xで「世襲のようで世襲じゃない」と、食べるラー油みたいなコト言っていましたが、どう考えたって世襲でしょ? しかも菅直人氏が政界引退を表明したとほぼ同時に立候補させるなんて、タイミング最悪でしょ。 立候補させるにもタイミングってのを考えろよな・・・

 なお、松下前市長が応援していた候補は4位で落選。 候補者の質も良くなかったように見えますし女性候補が3人いたコトも影響したとは思いますが、これを見ても松下前市長の支持が落ちているコトが伺えます。 このままでは来たるべき衆院選も、危ないかもしれませんね・・・


◎神奈川県・葉山町長選挙

 4選を目指す現職にITコンサル業の新人が挑む8年ぶりの選挙は、現職が大差で4選を果たしました。

 現職は2012年に34歳という若さで初当選し、3期務め上げ現在46歳。 まだまだバリバリ働いてくれそうな一方、4期目となりいよいよ多選になってきて、今後本人が県議や国会議員などの新たな道に進まない限り、ずっと町長として居座る可能性が出てきました。
 私は多選否定論者で、後継者を作らずトップに居続ける人間はその時点で「無能」と判断するのですが、現職は46歳で4期目に入り、ここから4期務めて9選してもまだ66歳です。 現職が町に居座り、長期政権を築き、独裁化しないコトを願うばかりです。


◎石川県・志賀町長選挙

 4期目の前職が町発注の工事をめぐる贈収賄事件で逮捕、辞職し、次の座を前志賀町議の南候補、元志賀町議の稲岡候補、そして元金沢市議の高岩候補の3人で争う選挙は、稲岡候補が他の2人を引き離して町長初当選しました。

 「今週の選挙」を書いた時点では分からなかったのですが、高岩候補に為書きを出していた自民党国会議員は他の2候補にも為書きを出していたようです。 そのため党派性は高くない選挙だったようですが、

◎石川県議選・羽咋郡北部選挙区(2023 4.9)
[当]石田 章   (52) 自民  現 4,800票 ※南候補を応援
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[落]稲岡 健太郎 (45)  無所属 新 4,067票
[落]高岩 勝人  (55)  無所属 新 3,660票

投票率:76.50%

 ほぼ同じ構図で行われた4月の県議選で、今回南候補を応援している石田氏が当選したコト。 加えて今回、稲岡候補は立憲の国会議員から応援を受け、高岩候補は「龍馬プロジェクト」の古参メンバーで参政党の神谷代表との繋がりが深い人物だと分かり、それに対し南候補は町議の半数にあたる6人が支援に入っていたとの情報を見つけ、南候補が有利だと私は見ていましたが、辞職した前職の流れを汲むのが南候補であったため伸び悩み、元金沢市議で志賀町内の知名度が低い高岩候補が「金権体制・談合政治から志賀町を取り戻す最後の戦い」と最も強い調子で現状打破を訴えたので(参政党の陰があっても)やや票を伸ばしたコトで自民系の票が割れ、稲岡候補が他の2候補とは違う非自民系の応援を受け、46歳という若さが「刷新」のイメージにフィットしたか、他候補を引き離し当選となりました。
 それと、最大のトピックは投票率で、県議選の76.50%には及ばないものの、選挙戦となった前々回(2017年)から16.84ポイントも伸びました。 先週、北陸地方は大雪が降り、更に投票日がクリスマスイブという悪条件が重なりまくった中でこの投票率は驚異的です。 町長が2代に渡って「政治とカネ」のスキャンダルが発生している志賀町で、どうにかしなければならぬという有権者の危機感が投票率に表れたのでしょう。


 

◎石川県・志賀町議会議員補欠選挙(定数1/2人)

 町長選に南候補が出馬したため空いた1議席を巡り、4月の本選にて次点で落選した方と会社役員の方の新人2人で争う選挙は、4月に次点で落選した方がリベンジを果たし当選。 その方が40代に対し相手候補は70代。 町政刷新がテーマとなった今回ではより多く票が入ったようです。



以上となります。
当選した皆様の御活躍をお祈り申し上げます。



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