【#78】山梨県知事選挙レポート(2023 1.22)
山梨の選挙を見る際に注目すべきは、「結果」よりも「過程」。 何故そういう構図になったのかを掘り下げていくと、面白いものが見えてきます。
今回でいうと「何故、保守分裂選挙になったのか」。 そこから歴史を辿るように縦軸で見ていくコトが大事だと、私は思うのです。
もう一度言います。 注目すべきは「結果」よりも「過程」。 山梨県で脈々と続く政治模様を、一緒に読み解いてみませんか?
◆概要
面積:4,464.99㎢(第32位)
人口:801,620人(第41位)※2022年10月1日現在
人口密度:179.52人(第32位)※2022年10月1日現在
最低賃金:898円(第19位)※高い順
選出国会議員は下記の通り(敬称略)
◆立候補者
二期目を目指す自民党系の現職に批判的な自民県議の一部が志村候補を擁立し、旧民主党系の議員も支持しています。 そして、共産系を中心とした野党系が倉嶋候補を推すという構図です。
◆前回(2019年)の選挙結果
前々回(2015年)に与野党相乗りで初当選した後藤候補でしたが、前回は与野党がそれぞれ候補を立て、自公側が立てた元衆院議員の長崎候補が現職に競り勝ち初当選を果たしました。
◆POINT
①長崎知事の1期4年を問う
長崎知事は2005年の衆院選、いわゆる「郵政選挙」で民営化に反対した自民現職の “刺客” として立候補し比例当選し国政デビュー。 2008年の衆院選では自民公認を得られなかったため離党し落選。 その際「今後自民党とは一切かかわらない。 絶縁状だ」と啖呵を切ったものの2017年に、しれっと復党したり、二階俊博前幹事長と関係が深かったりと何かと山梨県政を賑わす人でアンチも多い政治家です。 また、機運が高まっていたヴァンフォーレ甲府のホームグラウンドとなる総合球技場建設を当選後に有耶無耶にして、ヴァンフォーレサポーターから恨まれていたりもします。
一方で2020年からの「コロナ禍」ではPCR検査の範囲を拡大したり休業補償を県独自に継続したり、経済活動との両立を図るため、店舗と利用者双方に明確な基準を設ける「グリーンゾーン」「グリーンパス」制度を実施したりしたコトが「山梨モデル」だと評価され、実際2021年は東京への往来が比較的多いにも関わらず感染者数が隣県に比べて少ないという結果が出ていました。
このように市民によって好き嫌いは有るものの確かな実績がある現職ならば一本化できても何の不思議も無いのですが、今回は「自民分裂選挙」となったのです。
②長崎知事が描く「未来」を問う
富士山への観光客増に伴う環境対策として、山梨県側から5合目までの有料道路「富士スバルライン」の道路上に線路を作り、そこに路面電車(LRT)を通そうという整備費約1,400億円という壮大なプロジェクトが計画されています。
この計画にユネスコの諮問機関は「評価する」としているそうですが、これに対して疑問や批判の声が挙がっています。
この計画が実行されれば、富士スバルラインは緊急車両を除き車両は通行できなくなりますが、現在の通行料金が普通車の往復で2,100円なのが、富士登山鉄道は往復で1万円を想定しているようで、登山客が静岡側の登山口を使うするようになり利用者が減るとの声が有ります。
いくら環境保全のためとはいえ、1,400億円の費用をかける必要性と通行料1万円にして富士山観光の敷居を上げるコトに疑問が生じますが、これには長崎知事が目指す、もうひとつのプロジェクトが有りまして・・・
ここから先は
もし宜しければサポートをいただけると大変嬉しいです! いただいたサポートは今後の取材費として使わせていただきます。