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低予算海賊団は、相田彦一氏を支持する。

格差社会。昨今よく聞かれる響きである。

賃金が上がらず物価だけが上昇し、有り余る時間と消費され続ける食費に圧倒され、人混みを避けるという理由で行楽地には行かず、節約を強いられる季節。なんとか、格差社会の中の下の方に属している事を内緒にしながら過ごす日々。

そう。それが我が家の夏休みである。

「天気がよくないよ」

どこからともなく予定を心配する声が聞こえてきた。そう。市民プールに行けないからだ。

良い天気だとここに向かう。藤沢市のこのプールは、家族4人で1000円だ。流れるプールや、屋内温水プールがあり、我が家レベルだとめっちゃ楽しめる。

大体、平均5時間くらい滞在する。

「流れに身を任す事を学ぶんだ」

そう、我が家の家訓を浮き輪に浮きながら教えている課外授業である。

上手く流れる事を出来た時は、褒めてあげる。

「ナイス。惑わされずそのまま流されろ。今、君達は、自分の意思とは別に大きな流れに身を寄せる事を体感したんだ。それが上手く生きるコツだ」

絶えず声かけが大事なのだ。

今年何回かのプールで私の日焼けは、肩がズルムケクルリンになっている。

膝下は、適度に焼け、毛穴が目立たなくなり、なんとよりツルツルツルリーナが際立ってきている。

あ、脱毛のはなしです。

話を戻そう。天気が良くない。
大問題だ。私の休みを楽しみにしてくれていて、どこかに行けると思っている期待を裏切らず尚且つ、経済的に優しく楽しめる場所。

それを絶えず探しているのが私の日常だ。

「天気が良くない?だからどうしたんだい?世の中には天気が悪くても楽しめる場所があるんだ。私は、むしろ天気が悪いというのをどこか待ち望んでいたよ。君達はどうする?それを知るのが怖いかい?怖くないかい?行くのかい?行かないのかい?どっちなんだい‼️」

※なかやまきんに君風にお読みください。

スラムダンクを読み始めている子供達は、声を揃えこう答えた。

「お父さん。それは要チェックや」

悪くない育ち方をしている。

「オーケー。今日は、プラネタリウムだ」

私は、家族を連れ車で街へ出た。

目的地は、「平塚市博物館」

博物館とプラネタリウムが一緒にあるその施設は、平塚駅からだと、徒歩15分くらいの場所にある。美術館や図書館なども隣接している場所だ。

お目当てのプラネタリウムは、14時からだが定員があるため、整理券を配っている。11時に到着した我々は、受付で整理券をもらい3時間弱どうするかを考え受付の人に尋ねた。

「すみません。博物館てどれくらいの時間で観覧出来ますか?」

「1時間もかからないかなぁ。でも奥で特別展もやってるのでよかったらどうぞ」

優しく教えてくれる彼女に、一番気になる事を聞いた。

「博物館観覧するのにおいくらでしょうか」

彼女は、私達を見てニッコリと語った。

「無料です」

ビックリして何度も聞き直したが、何度聞いても無料だった。

「ちなみにプラネタリウムは?」

彼女は、私達を見てニッコリと語った。

「18歳以上65歳未満の方は200円、18歳未満・65歳以上の方は無料です」

ビックリして何度も聞き直したが、何度聞いても子供は無料だった。

子供達は、このやり取りを聞いていて、私に囁いた。

「お父さん。それは要チェックや」

そして、特別展が「野鳥愛」だった。

これがまた、本当に愛だった。

博物館そのものの展示も、ジオラマや生態系、昔の暮しや、宿場町だった頃や、戦争展示、漁や、化石、岩の事など詳しくわかり観ていて飽きないのだが、この野鳥愛の看板を見て子供が呟いた。

「うちだとこれ、1時間じゃ足りなくない?」

全くその通りだった。剥製や、木彫りの鳥、写真などを眺めるのだが、それより私達を熱狂させたのがクイズだった。

このイラストそのものも可愛い。

このイラスト。鳥を正面から描いたものだが、その鳥を探せというクイズだ。答えは部屋の入り口にあるのだが、これを答え合わせしながら実際に剥製や写真などを見てあーだこーだ言うのがとても楽しかった。

事あるごとに

「要チェックや」の連発で相田彦一家族の誕生だった。もし、今冬のスラムダンクの映画のCMするのなら我が家に出演させていただきたい。

この展示を見ながら、隣接する図書館、美術館と博物館にそれぞれクイズがあり、答えながらラリーに参加すると缶バッジが貰えると書いてあり、皆で回った。

あっという間に三時間経過した。

さらにプラネタリウムでは、観覧後に子供達には缶バッジをくれるというおもてなしだった。プラネタリウムを堪能し、博物館を後にしながら、お腹が空いた私達に子供が教えてくれた。

「お父さん。くら寿司とONE PIECEがコラボしているらしい」

私がONE PIECE好きな事を要チェックしている寿司好きな子供達に促され、

「おいおい。私がONE PIECEを好きだからってそう簡単にはくら寿司へは行かないんだ。ログがたまるのを待て」

 3周ほどくら寿司の前を周回し私は、記録指針(腕時計)がくら寿司を指している事を告げた。

※記録指針(ログポース)とは、ONE PIECEにおける磁気を記録する特殊なコンパス。腕時計のように腕に装着し指針を見ながら船の進路を決めるもの。ONE PIECEの世界では磁気が不安定なため安定するまで島にしばらく滞在し、磁気をためる必要がある。

コニシの海賊解釈

「お父さん、くら寿司にONE PIECEの旗が上がってる。要チェックや」

私のクルーから、ONE PIECEとスラムダンクのハイブリッドが誕生している事を集英社に伝えたい気持ちを押さえた。

「宴の時間だ」

いっぱい流れてくるお寿司にどれを取ろうか迷っている子供達へ教えてあげた。

「そのまま流すな。時には流れに逆らう事も大事なんだ。とにかく枚数稼げ」

なんのはなしですか

ビックラポンもONE PIECE。
2500円に付き一枚ハンドタオル。

 要チェックや

 なんとか格差社会の荒波を航海して生き抜いていって欲しいものである。

これが、低予算海賊団の夏の日の思い出。

中 勘助。平塚に住んでいた作家
読もうと思う。随筆。


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