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スノーボールクッキーイセハラ

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神奈川県伊勢原市。脆い淡い表現出来たらなと思いながら、全然辿り着かないはなし。
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2024年1月の記事一覧

シガーに委ねた深層に開高健との邂逅の真相を辿る《本厚木Sun faceの後編》

シガーに委ねた深層に開高健との邂逅の真相を辿る《本厚木Sun faceの後編》

前編↓↓↓

待ち合わせ場所は本厚木駅の改札前。集合したヨシクラ夫妻とちひろと私の四人は、ヨシクラさんが予約してくれたお店を徒歩で目指す。

年末の暴挙を詫び、楽しみにしていたことを伝えた。最初の一杯を交わすまでに何を話すか逡巡しながら歩いていたが、久しぶりの本厚木の街並みに思考を委ねることにした。

人通りが多く賑やかだった街の通りは、商店や歓楽街が減り、ビルやマンションが建ち並び、街の方向性を

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シガーに委ねた深層に開高健との邂逅の真相を辿る《待ち合わせた前編》

シガーに委ねた深層に開高健との邂逅の真相を辿る《待ち合わせた前編》

釣りの話をするときは両手を縛っておけ

ロシアの諺で、釣り師はよく魚の大きさを両手で誇張する。だから気をつけろという意味だ。開高健の遺した言葉としても有名だ。

「特に好きなことを書くときは誇張するな、見栄を張るな、本当のことを書け」

と私は解釈していて、開高健も使用する度に自分を戒めていたのではないのかと空想したりする。

JR相模線は、茅ヶ崎駅から橋本駅を結ぶ神奈川では珍しい単線の電車だ。私

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四十二歳の戯れ言を、いつか真実にすることが楽しい道。

四十二歳の戯れ言を、いつか真実にすることが楽しい道。

息子が干支にちなんだ龍を、樹脂粘土で作ると言った。

「お父さん。隣で見ていて欲しい。誕生日だからあげるよ」

と言いながら、新聞紙の上に材料を広げている。私は促されるように向かい合う形でテーブルに座り、小さな手で黄色の絵の具を粘土に混ぜ込む姿を、薄ぼんやりと見ながら思量することにした。

息子は自分の軀の中に外見上では全く判断出来ない「あるもの」を抱えている。それを「病」だとか「疾患」と表現した

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