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2022年5月の記事一覧
ミステリー小説ロンドの旅Chap4.ユールマラの事件1.羨望
ある子供は幼い頃からゲームのプログラミングが得意だった。主人公を操作して、仲間を集め敵を倒し装備を充実させ、彼らを成長させながら物語を進めていくロールプレイングゲームというジャンルの作品は特に秀でていた。
やがて、大人になりSNSが流行し始めると自作のゲームを動画で実況配信するようになる。視聴者はこれまでプレイしたことのないゲームの世界観やストーリーに釘付けとなり、瞬く間に各国にファンができ、一
ミステリー小説 ロンドの旅 Chap3.東京の事件 11.代償
朝食もルームサービスで、トースト、目玉焼き、ベーコン、サラダと、父親はホットコーヒー、娘はホットミルクを注文した。水を飲みバターを一塗りドレッシングを一周させたあと、話し始めた。
今回の暗号はどこから手をつければいいのか。それは奥様の「情報は君の手元に揃っている」がヒントになった。そこで先生と会ったあの晩の不自然なやり取りが過ぎった。実は、これを順番に紐解いていくと答えに辿り着くことができるん
ミステリー小説 ロンドの旅 Chap3.東京の事件 10.出立
彼女はその場で"上"の端末を開いたが何をしても画面は真っ暗で、起動すらできなくなっていた。恐らくこれまでの一部始終が伝わったため、"上"が遠隔操作で利用不能にしたのだろう。それを確認すると入口へ向かった。
そこ、退いてくれる?
女性は表情を変えず無言で道を開けた。
一方、彼は部屋を出た途端、次女を降ろし手を繋いでのんびりと歩いていた。きちんとチェックアウトをして、外で待つ車に乗り込んだ。運
ミステリー小説 ロンドの旅 Chap3.東京の事件 9.逃走
少し休んだら良くなったわ。…さすがにパパを騙し続けるのは限界があるわね。でもいつから?
ソナタを探すこの旅を始めた時から、端末のことは気づいていたよ。いくら同じ機種で同じ色のものを使っていても、細かな傷の大きさ、位置、数までまったく同じにすることはできないからね。あと、この国に着いてから、メライは僕の言うとおり素直にGPSを切っただろう?ソウルでは通信を切ったらすぐ"上"にバレてしまうと懸
ミステリー小説 ロンドの旅 Chap3.東京の事件 5.訃報
右手を差し出すと、老人もそれに応じた。お互い力強く握りしめ、軽くハグを交わしたあと、3人で外の通りまで見送った。
先生、何か弱気になったな。少し心配だ。
いつになく真剣な面持ちで小さく呟いた。
それにしても、何なの?あのメッセージは。
"上"に気づかれずに自分の居場所を伝えるための暗号だろう。これを解き明かしたとき、彼女に会いに行くことができるんだと思う。
そんなの分かってるわ