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曽山芽衣さん/雑貨・古道具デネッカ

これは、これからの働き方・暮らし方を考えていく人のためのインタビュー記事です。 「働き方・暮らし方を変えたい」と感じたとき、旅先で出会う案内版のような地図があったらいいな…と思ったことがきっかけで、この記事を書くことにしました。働き方と暮らし方が多様になった今、これからの一歩を踏みだすために、どんな道しるべがあったらよいのでしょうか。 多様な視点を求めて、新しい働き方と暮らし方を実践する10人の方にお話をうかがってきました。 

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匂いとか重みとか質感とかデータには⼊れられないもの取りこぼされるものを表現したいと思っていました。


曽山芽⾐|そやま・めい
 ⻑野県⽣まれ/新潟大学・大学院在学中に「うちのDEアート」※1に参加。卒業後、⾦沢の情報誌制作会社に就職。2016年に新潟に戻り、フリーでデザインの仕事をスタート。同時期に「コメタク」※2の空間デザインを担当。2018年に自⾝の雑貨店「デネッカ」をオープン。 (2019年12月より休業。) 

Her works

デネッカでは、内野町で集めた「古くて良い物」や、芽⾐さん自⾝の作品、彼⼥が知る作家さんの作品を扱っている。彼⼥の作品や雑貨を⾒ていると、幼馴染に再開した時のような懐かしさと、初めて出会う⼈のような新鮮さを感じる。彼⼥が好きだという、吟味された形や渋い⾊合い。コラージュや刺繍といった、⼿触り感のある表現。これらが混ざり合って、デネッカらしい、親しみや意外な新しさを感じるのかもしれない。 

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Her point of view

 県外出⾝の彼⼥に、内野町の印象を聞いてみた。「大学⽣の頃、なんかすごく楽しい町だなと思いました。大学周辺とはちょっとちがう。個⼈商店がたくさんあって非⽇常な感じがするし、ご飯の匂いがしたり、⾳が聞こえたり、⽣活との距離が近い。今も、そういう⼈の⽣活を感じるところが⾯⽩いなと思っています。

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どんな経緯でその仕事をすることになりましたか

大学で美術系の学科に⼊り、「真⾯目で上⼿」だけでは褒めてもらえないと気づきました。「自分の表現って何だろう」と悩む中、うちのDEアートに出会いました。私にとって、作品づくりに町という題材があることがすごくありがたくて。町にある素材を元に、⾊々な表現をすることができました。

 大学院に進学してからは、やっと自分の好きなことに目を向けられるようになって。自分が好きな⼿触り・質感に特徴がある作品をつくりました。時期としてはデジタルブックが出てきた頃で、匂いとか重みとか質感とかデータには⼊れられないもの、取りこぼされるものを表現したいと思っていました。

 卒業後、⾦沢の情報誌制作会社にデザイナーとして就職したのですが。⽣産性が第⼀で⼀定の品質のものを早く作らなきゃいけないとか。お客さんの喜ぶ顔が⾒えないとか。組織の中で美術の仕事をすることに悩みながら勤めていました。 

 体調を崩し退職した後、結婚を期に内野町に戻り、フリーでデザインの仕事を始めました。在学中からのご縁もあり、イベントのチラシや地域マップの作成、コメタクの店舗デザインのお仕事をいただけて。自分のお店、デネッカをやろうと思ったのもコメタクの改装がきっかけでした。内野町で集めた雑貨と、自分の作品、自分が知っている、顔が⾒える⼈の作品。それらを売れる場所を作りたいと思いました。

大切にしたいことは何ですか

 ⼿の届く範囲の⼈の、リアクションを大切にしたいですね。お店に来てくれるお客さんや「⼜蔵ベース」※3に集まる⼈。目の前にいる⼈達が喜んでくれるものを作ったり、売ったりできたら嬉しいです。 

あなたの原点を教えてください

 中学の⽂化祭で、自分が作った作品を通じて⼈と繋がる感覚を持てたことですね。ステージの絵を書かせてもらったら、それが好評で。普段話さないギャルから「すごいね」って話かけられたんですよ!この時の感覚は、お店で売っている作品を「良いね」って⾔われた時と同じ感じでした。

時間の使い方について意識していることを教えてください

試⾏錯誤中ですけど、機嫌良くいられるように時間を使いたいなと思っています。幸せかどうかは自分以外の要素もあると思いますが、機嫌は自分次第でどうにでもなると思うので。「自分の機嫌が良いことを良しとしよう」と意識してます。 

お⾦の使い方について意識していることを教えてください

ネットでいろいろな商品を調べられるけど、直接顔を知っている⼈のおすすめ品や情報は特に大事にしたいです。最近買って良かったのは⻄区の御台所みかこさん※4から紹介された調味料。好きな⼈に教えてもらって買うのは気持ち良いですね。 

働き方・暮らし方を変えようとしている⼈に伝えたいことはどんなことですか

他の⼈とか⼀般的な"普通"や"平均"と⽐べるよりも、ゼロから作っていく感覚のほうが楽かなと思います。それと、好きなことだけでなくネガティブな感情も、自分に合う暮らしを⾒つけるための良いサインかも。何かに対する拒絶感とか、向いてないとか、無理があるみたいな、そういうネガティブな感情自体も⼀つのヒントのような気がします。 

(取材⽇:2018年12⽉2⽇)

 ※1 新潟市⻄区内野町を舞台としたアートプロジェクト。2001年から新潟大学教育 学部の美術科が中⼼となり「アートを通して⼈と⼈が交わること」等を目標に取り組んでいる。
 ※2 「米を炊く」ことで⼈と⼈が繋がることを目的とした活動のこと。朝ごはん会やお米の⾷べ⽐べ会等⾷と暮らしにまつわるイベントを開催してきた。内野町にある米屋、飯塚商店を拠点に活動している。
 ※3 内野町にある、ものづくりをする⼈のためのシェアアトリエ。芽⾐さんや内野町に集まる⼈達がものづくりに利用している拠点。イベント「⼜蔵びらき」や「⼜蔵マルシェ」を開催し、ものづくりをする場、販売の場として活用されている。
 ※4 ⾷事作りの悩みを解決することを目的とした、「料理上⼿お断り」の料理教室を開いている。 

▼さらに詳しく知りたい方へ

雑貨・古道具デネッカ
(https://www.facebook.com/denecca/) 

読んだ方へのお願い

あなたがこの記事を読み、働き方や暮らし方について考えたことは、わたしたちがこれからを考えるための大切な道しるべになります。感想をお送りいただけることを、心からお待ちしています。 感想の送付先は、moshimo.theater.info@gmail.comまでお願いいたします。 

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