見出し画像

豊島淳子さん/Bar Book Box|リトルライトシアター

これは、これからの働き方・暮らし方を考えていく人のためのインタビュー記事です。 「働き方・暮らし方を変えたい」と感じたとき、旅先で出会う案内版のような地図があったらいいな…と思ったことがきっかけで、この記事を書くことにしました。働き方と暮らし方が多様になった今、これからの一歩を踏みだすために、どんな道しるべがあったらよいのでしょうか。 多様な視点を求めて、新しい働き方と暮らし方を実践する10人の方にお話をうかがってきました。 

画像1

⾒たことのない景⾊を⾒てみたいと思っています。いろいろな⼈と⼀緒に、いろいろなものを⾒たいです。


豊島淳⼦|とよしま・じゅんこ
⻑野県⽣まれ/大学卒業後、演劇活動をしながら東京上野でバーテンダーに。2011年より新潟で移動式ブックバー「BarBookBox」をスタート。2017年株式会社リトルライトストア設⽴。実店舗「BarBookBoxSTORE」オープン。2019年新しい拠点「リトルライトシアター」を始動。 

Her works

淳⼦さんのお店・空間では本の世界を感じる。「⼀⾒すると控えめでもの静かだけれどユーモアが忍ばせてある」そんな空間。彼⼥がバーテンダーとしてお酒を学んだ時、お酒と本は似ているとわかったそうだ。「本もお酒も、作者・⽣産者がいてストーリーと特性があって、必要な⼈に飲まれないと本当に意味が無いところが似ています。ちょうどよく届くように調節するのがバーテンダーの仕事で、本を届ける司書さんみたいだなと思いました。」

画像2

Her point of view

 劇団員だった頃、「何もないところから⼈を集め〜アウトプットしておしまい!」を繰り返してきた彼⼥。「あなたと⼀緒に何かをする風景を⾒てみたいから、私と⼀緒にやりませんか?やり方はこれから考えましょう」という⾔葉から、新しい何かが始まっていく。彼⼥は物語を届ける⼈であり、作り⼿でもある。 

画像3

どんな経緯でその仕事をすることになりましたか

幼い頃は⼀⼈っ⼦で周りに大⼈しか居なかったので1番近しい存在は本の世界の⼈たちだったと思います。中学⽣、⾼校⽣くらいから本以外のことにも興味を持つようになって、大学進学時に「東京の方が情報がいっぱいあるから、⾒たいもの⾏きたいところがあるはずだ」と東京に出ました。 

 出版社に⼊ろうと思って、昼間は出版社でアルバイトをして夜は法学部の新聞学科で学びました。出版社でお芝居が好きな⼈から野⽥秀樹※1の舞台のビデオ借り、「半神」※2「パンドラの鐘」※3を⾒て衝撃を受けました。何でこんなにきれいなんだろうって、お芝居の世界にのめり込んで脚本を読んだりインタビューを聞きに⾏ったのですが、それでもわからない。その時に「やればいいのか」と思って演劇サークルに⼊りました。 

 大学卒業後、劇団を⽴ち上げたのですが、自分よりできる⼈達でさえ、⾷っていけてない状況で。やりたいことはやれるけど、⼈の役に⽴っていないと感じました。同時期にバーで働いていたのですが「自分が⼈の役にたって、お⾦がもらえる」ことがわかりました。

お酒は苦⼿だったのですが、飲んでみたら味の違いがわかって、データがだんだん増えていくのが⾯⽩かったんです。「この感じ、私知ってる」と思って本とお酒の共通点に気付きました。「欲しい⼈に届けることができると、機能が上がるところ」が⼀緒で、いけるかなと思ったんです。

大切にしたいことは何ですか

「迷ったらGO!」ですね。ちなみに⽗の⾔葉なんですけど決められるのは自分だけなので「自分で腹を決めてやれ」ということなのでしょう。部下へのはなむけみたいな⾔葉。⽗から⾒た私は息⼦ポジションなのかもしれません(笑)。 

あなたの原点を教えてください

⾒たことのない景⾊を⾒てみたいと思っています。いろいろな⼈と⼀緒に、いろいろなものを⾒たいです。それからイベントや店、いろいろな場所をつくって、自分が役に⽴てるといいなあと思っています。

時間の使い方について意識していることを教えてください

店舗の他に企画があるので、開店までの時間は経理とか他の企画の準備、夜はバーテンダーと区切るようにしています。本を⼀冊だけ読み進めるのではなくて、5冊くらい併読する感じかもしれません。実際やってみてできなかったところをフォローアップしていく中で本当の仕事が始まることもあります。

お⾦の使い方について意識していることを教えてください

お⾦は惚れていることにしか使いませんと⾔うと恰好つけすぎかな。両親が「お⾦を使う=信用と信頼を表明すること」という考え方だったので影響を受けたと思います。どこから仕⼊れるか、誰に仕事を頼むかは考えるようにしてますね。 

働き方・暮らし方を変えようとしている⼈に伝えたいことはどんなことですか

お客さまとお話していて、「やりたくないことや苦⼿なことは、⾔葉にしなくても、⼼の中で明確になっている」方が多いように感じます。本当に何でも良いっていう方はいないと思います。みなさん⼈間くさいので、自分の⼈間くさいところを⾒てみたら良いと思います。

⾏きたいところに⾏って、会いたい⼈に会いに⾏って。その中で「これが良い」はなくても「これじゃない」が⾒つかっていくと「自分の地図」が拡がって、自分の⼈間くさいところがわかってくると思います。 

(取材⽇:2019年1月12日)

 ※1 劇作家・演出家・役者。「劇団 夢の遊眠社」を結成。数々の作品を⽣み出した。1992年劇団解散後ロンドンに留学。帰国後の1993年に演劇企画製作会社「NODA・MAP」を設⽴。国内外を問わず活動を展開している。

 ※2 萩尾望都による短編漫画を原作とした野⽥⽒の作品。1986年初演。

 ※3 1999年に公開された野⽥⽒の書き下ろし作品。 

 ▼さらに詳しく知りたい方へ 

 BarBookBox
https://www.facebook.com/bbb.barbookbox/

『リトルライトシアター』
 自由で、⾯⽩いことを⾊々
そして、barと本
 powerd by BarBookBox
 新潟市中央区東中通1番町86-21トールビル3F
 Instagram @little_light_theater

読んだ方へのお願い

あなたがこの記事を読み、働き方や暮らし方について考えたことは、わたしたちがこれからを考えるための大切な道しるべになります。感想をお送りいただけることを、心からお待ちしています。 感想の送付先は、moshimo.theater.info@gmail.comまでお願いいたします。

関連記事




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?