見出し画像

山本一輝さん/アイディアパートナーズ

これは、これからの働き方・暮らし方を考えていく人のためのインタビュー記事です。 「働き方・暮らし方を変えたい」と感じたとき、旅先で出会う案内版のような地図があったらいいな…と思ったことがきっかけで、この記事を書くことにしました。働き方と暮らし方が多様になった今、これからの一歩を踏みだすために、どんな道しるべがあったらよいのでしょうか。 多様な視点を求めて、新しい働き方と暮らし方を実践する10人の方にお話をうかがってきました。 

画像1

震災で亡くなった人達は、生きたくても生きられなかった。残された自分が考えたのは、何に命の時間を使うべきかでした。

山本⼀輝|やまもと・かずき
新潟市北区⽣まれ/東⽇本大震災を機に飲⾷業界からリクルートへ転職し2016年に独⽴。「⼈のつながりと可能性をデザインする」会社、Idea partners代表として活動を開始。国家資格キャリアコンサルタントを保有。⼈材育成・キャリア・まちづくりの企画、プロジェクト監修を⾏っている。 

His works

独⽴後は教育分野の他、企業・地域・NPOの課題解決を支援する起業家として幅広く活動。コミュニケーション・マーケティング・企画・デザインの⼒を使い課題の核⼼を⾒える化し解決へと導く。熱い⼼と冷静な頭が彼の仕事道具。最近の取組としては「GOSENKNIT FES 2019」ディレクター、「ルーキーズカレッジ」企画監修兼講師、「OMO Niigata」プログラムアドバイザー兼ファシリテーター等があり、複数地域にてマルチに活躍している。

画像2

His point of view

 写真は、⼀輝さんが影響を受けた、山崎亮⽒と⼩山薫堂⽒の本。「山崎さんのように地域を作る仕事を、⼩山さんのようにマルチにやりたいと思います」とのこと。両⽒を知ったのは被災地域で仕事をする中、「⼈間本来の幸福とは何か」を考えていたとき。直接お話を聞く機会があり「これだと腑に落ちた」そうだ。 

画像3

どんな経緯でその仕事をすることになりましたか

大学時代は教育と⼼理学を専攻し教員免許も取りましたが、「今の自分の⼒では⼗分な指導ができない」と考え就職活動をしました。専門学校や学校法⼈を受けましたが、就職難の年※1で上⼿くいかなくて。バイト経験のあった飲⾷業界に就職しました。

飲⾷の仕事は嫌いではなかったですが、忙しすぎて教育への思いが薄れていきました。 その頃震災が起きたんです。僕は仙台店で働いていたのですが、他店のスタッフや知り合いのご家族が亡くなったりして。震災で亡くなった⼈達は、⽣きたくても⽣きられなかったはずで、残された自分が考えたのは、何に命の時間を使うべきかでした。そして、この仕事じゃないなと思いました。 

 自分がやりたかった発達や学校教育に関わり、社会⼈として修⾏ができる場を探しリクルートに出会いました。採用され、配属されたのは、⾼校⽣向けに進路や学校情報を届ける部署。大学や専門学校の営業を担当しました。 また仕事以外でも変化があって。「いい大学・いい会社・いい暮らしではなく、⼈のつながり・絆を軸に自分たちで地域を作りたい」と思うようになり、仕事後や週末に、パラレルキャリア※2という形で被災地域支援や地域をつなげる活動※3に関わっていきました。

独⽴を決めたのは、パラレルキャリアの活動の方が自分らしい仕事ができるし、個⼈として仕事を取っていける実感を持てたからですね。

大切にしたいことは何ですか

自由かな。飲⾷店時代「他⼈に管理されながら裁量権の無い仕事をするのは、自分には合わない」と強く感じていました。その点リクルートでは、何やってもいいから目標を達成してね、という形で。両方経験してみて、僕の場合は自⼰裁量があ ればあるほど⽔を得た魚になれるとわかりました。 

あなたの原点を教えてください

 原点は複合的なものですね。⼩学⽣の時いじめを受け、中学⽣の時不登校を経験したこと。大学の学費を自分で払い「勉強しなければ損」と4年間で200単位取ったこと。リクルートに転職し、山崎亮さんと⼩山薫堂さんがいらっしゃった大学を担当したこと。自分を⾒つめ直すきっかけを、都度都度与えられてきたと思っています。 

時間の使い方について意識していることを教えてください

寝てる以外の時間※4は、自分がやりたいこと・好きなこと・興味があること・特定の誰かのために「投資する」ことに使いたいと思っています。 

お⾦の使い方について意識していることを教えてください

お⾦の使い方も投資っていう考え方が強いですね。僕の支出の大部分は書籍代と交際費なんです。最近買って良かったのは「敵とのコラボレーション」という本です。 

働き方・暮らし方を変えようとしている⼈に伝えたいことはどんなことですか

「思考に気をつけなさい。思考は⾔葉になるから。」で始まる格⾔※5があります。全てのことは自分の⼈⽣につながっていくから、自分が思い描く形に⾏動を変えていくことが必要です。

でも考えてから⾏動するのには限界があるから、まずは何かをやってみることから始めれば良いと思います。キャリア理論の世界で「計画的偶発性」※6という考え方がありますが普段と違う⾏動をすることで⾒えるものが広がっていくはずです。

 (取材⽇:2018年11⽉25⽇)

 ※1 2008年に起きたリーマンショックの影響で就職難となった時期。 
※2 P.F.ドラッカー⽒が提唱した働くことに関する考え方。⼀⾔で⾔うと「本業を持ちながら、第⼆の活動をすること」。
 ※3 2013年山形⻘年会議所主催で開校された「山形まちづくり塾」の塾⽣を中⼼とした活動。
 ※4 落合陽⼀⽒が提唱する「ワークアズライフ」という考え方。睡眠以外は全部1つの時間と考え、「ワークライフバランス」のように仕事と⽣活を切り分けない。
 ※5 マザーテレサが⾔ったとされる。「思考・⾔葉・⾏動・習慣・性格の5つに気をつけなさい」というもの。
 ※6 スタンフォード大学クランボルツ博⼠が提唱した理論。キャリアの8割が予期しない出来事や偶然の出会いにより決定されるという考え方。 

▼さらに詳しく知りたい方へ

アイディアパートナーズ
(https://www.idea-ps.com/) 

読んだ方へのお願い

 あなたがこの記事を読み、働き方や暮らし方について考えたことは、わたしたちがこれからを考えるための大切な道しるべになります。感想をお送りいただけることを、心からお待ちしています。 感想の送付先は、moshimo.theater.info@gmail.comまでお願いいたします。 

関連記事




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?