女と男 最新科学が解き明かす「性」の謎/NHKスペシャル取材班

読了日2019/10/10
私は基本的に順番がどうでもいいタイプの人間である。
ここでいう順番とは、行列を指しているわけではない。順番がどうでもいいからといって行列を抜かされたら烈火のごとくキレる。

言葉の順番である。
白と黒
黒と白
太陽と月
月と太陽
上と下
下と上

そして男と女(と酒と泪)

最近興味も相まってジェンダー関係の本を多めに読んでいた。
すると不思議なことにタイトルは
女と男
になるのである。

女と男のジェンダー学入門
女と男の見た目格差社会
女と男 〜最新科学が解き明かす「性」の謎〜(本作)

それから読み終わって感想を書くためにまとめられるのを待っているのが
残念な「オス」という生き物
なのだが、この本はタイトルを変えて発売されている。
前のタイトルというのが
女はバカ、男はもっとバカ
ど直球である。

女を先に書くとやれフェミニズムだとか罵倒されるらしい。
本作の後書きにも(この本はNHKスペシャル取材班の作。番組として2009年に放送されている)、NHKはフェミニズムに屈したのかと謎の解釈をされた投稿があったようである。

ただの順番じゃないかと私は思うのだが、何をそんなに気にするのだろう。

たしかに1位は大事である。
みんな日本一高い山は知っているが、日本で二番目に高い山は知らないでしょう? とこの手合いの話では定番の話題まである(チコちゃんが言っていたが、二番目は北岳という山らしい)。

だが、だからなんだと言うのだ。


どっち先でも良くない?

しいて言うのなら五十音順でいくと
両方とも先に「お」がつくのだから、その次の文字である「と」と「ん」の順番上、男を先に表記すべし、とかいう言い分ならまだわかってやろうとは思う。

まあその理屈でいくと、
男女(だんじょ)は、
タ行よりサ行の方が先なのだから、
女男(じょだん)にすべきだよね。

ところで受精卵の時点では、我々はみな女であるらしい。
そこにSRY遺伝子というものが作用することによって、男性化が開始する。

つまり誰もが、母親の腹の中にいた時点では女なのである。

にもかかわらず、世間では今日もまた上から目線の男が女に講釈を語っているのかと思うと吐き気がする。

上から目線になってしまうのは背の高さの問題だろうと?

人間という生物は、現状、かなり多い割合の地域で一夫一婦制が採用されている。
だが生物学上、真に一夫一婦制が採用されている生物というのは、雌雄で大夏草がまったくないのである。

雄の体格が大きいのはハーレム系、つまり一夫多妻制の生物に多いのだ。

喜べ男性たちよ!
やったね!

喜べない事実も本書にはつづられている。
驚くなかれ。
男は絶滅する。

厳密にいうと、Y染色体が消えつつある。
さらに生物学上では、メスの単為生殖、つまりメス単体での出産が報告されているのである。

オス、ヤバイ。

X染色体とY染色体のサイズは、元来では同じだったのだ。
それが長年の子孫繁栄を経て、Y染色体は、ようは経年劣化によって遺伝子が徐々減ってきた。遠い未来だが、Y染色体はなくなる可能性がある、という説である。
なんなら日本の沖縄諸島に生息するネズミなんかは、もうY染色体がない。
ところがオスはいるという。

もう一度言う(書く)。

Y染色体がなくても、オスはいる。

前述のSRY遺伝子も、そのネズミは持っていない。

だがオスはいる。

WHY?

そんなネズミの進化が私たち人間に当てはまるかどうかは不明である。
だがY染色体がなくなるよりも先に現実的な脅威として存在するのが、精子の劣化である。
世界的に若い男性の精子には、どうにも活力がないと報告されているらしい。
不妊治療の増加は晩婚化だけではないのだ。男性側にも責任の一端があるのである。

ではどうすべきか。

2004年。
日本の研究グループが、ネズミにメスだけで子どもを作らせる実験に成功している。

Oh!

どうする男性?

このままでいいのか?

女たちを見下してきたバツと思うか?
それともどうせそんな未来、自分は死んでるから関係ねえよと笑うか?

笑われてもいいけれど、あと今さら都合のいいことを言う(書く)けれど、

私は世の中には男性にもいてもらいたい。

女性の胎盤を作るPEG10遺伝子は男性の染色体でのみ働いて、女性に良い胎盤を作らせるから。という視点ではない。

なんだかんだで、私たちはもう「女」と「男」という存在がいる世界に慣れすぎてしまっている。
過去の文学作品にも、必ず男女のスレ違いの苦悩は描かれているし、胸を打つ展開にしてくれる大事な要素になっている。
私は別に「男」と「女」以外の性が増えたらいけない、と言っているわけでもない。

ただ、いてくれたら楽しい人たちが消えてしまうのは嫌だな、という※個人の感想、なのである。

目の保養は欲しい(本音)。

消えるなよ、男たちよ

消えてほしいのは、あなたたちの過剰なジェンダーバイアスだけなのだ。

人として、お互いに生きていこうよ。

ところでなんで雌雄はメスが先なんだろうか?(新たな火種をぶっこんだところで終わる)

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