SaaS企業で働く元日本語教師のひとりごと🍺
こんにちは!
EventHubでカスタマーサポートとBiz Opsをしている諸岡です🐥
これはEventHub Advent Calendar 2022 の2日目の記事です🎉
アドベントカレンダーとは毎日一人ずつ社員がブログを書いていくというものなのですが、ずっと2日目が空いていて、誰も私のバトンを受け取ってくれそうになかったので自分が受け取ることにしました…🫠笑。
1日目の記事は「カスタマーサポート × Biz Ops 珍しい組み合わせの兼務で掛け算されたこと」というテーマで記事を書きました!ぜひご覧ください💁♀️
(明日はバトン受け取ってくれる🥺)
今日は私がIT企業に転職するまで約6年ほど携わっていた日本語教師、日本語教育についてお話ししようと思います。
私は2018年まで日本語学校に勤めながら日本語教育に携わってきました。日本語教師からIT業界へキャリアチェンジをし、現在はカスタマーサポートとBiz Ops業務をしています。
いくつかカスタマーサポートやBiz OpsについてのNoteを書いてきたので、今日は気分を変えたテーマです。最後の方はただのエモいひとりごと with 酒 なのですが、興味がある方は是非ご一読ください🎈
どうやったら日本語教師になれるの?
まず、どのように日本語教師になれるのかということをご紹介します。
日本語教師は英語の教師などと違って、教員免許は必要ありません。国家資格にしようという動きはあるものの、現時点では国家資格ではありません。
ただし、日本語学校で先生として働くには3つのいずれかの条件をクリアしている必要があります。
その条件はこちら!
①「日本語教育能力検定試験」に合格する(1年に1回の試験)
② 文化庁認定の「日本語教師養成講座(420時間)」を修了する
③ 大学または大学院で日本語教育に関する主専攻プログラムか副専攻プログラムのいずれかを修了する
私の場合は、①の試験に合格し ②420時間の講座を修了しました。学習内容は①=②=③というイメージです。
①の試験の合格率は17%~26%と推移しており、ここ数年では28%と上昇傾向にあります。日本語を学ぶ留学生が増えて来たために、教師を増やしたいのではないかと巷では言われています。 試験の範囲が非常に広いので、②の講座を受けた後に自己学習をして①を受験する人が多いイメージです。
この本は、日本語教育に携わる人が必ず読むであろう試験のための分厚い教科書です。全ての文字を蛍光ペンで塗りつぶし、全てのページに付箋を付けるという典型的な勉強ができない人のような勉強法で試験に挑んだのは良い思い出です。
日本語教育能力検定試験って…なに?
試験はⅠ.Ⅱ.Ⅲと分かれていて、朝9:00から夕方17:00頃までお昼を挟んで丸一日拘束されます。3つの範囲で試験が分かれており、試験Ⅲは長いのなんの…..
私が受験した時は試験会場が東大でした。我が人生で立ち入ることのない東大にわっくわっくしながらお昼も食べずに大学を散策して、ここが日本の天才/秀才が集まる場所か….と銀杏並木を眺めていたのを今でも覚えています。ただ、集中力が切れかけた最後に重い記述問題が襲ってくるので散策はほどほどにしてください。
面白いのは試験内容です。
ひとまず、どんな内容が試験に出るのか全部ここに羅列してみますね。
いいですか?解説なしで羅列しますよ?
いきますよ?
うん。長いからそりゃスクロールするよね。わかる。
とりあえず学ぶ内容をざっくりと要約してみると、
日本が外国と触れ合って多文化共生社会になった歴史
日本語が社会でどのように使われるようになったのかという歴史
日本人が学校で教わる国語の歴史
敬語について
言語と言語を使わない(表情、声のトーンとかジェスチャー)コミュニケーション方法について
外国の文化や外国語について
人間が言語(母国語)を習得するメカニズム
人間が外国語(第二言語)を習得するメカニズム
言語と心理の関係
異文化を人間はどう受容するのか
授業やテストの作り方と学習者の評価方法
文化が違う人とどうコミュニケーションを取るべきか
日本語と外国語を比較して日本語はどういう言語なのか
日本語の文法構造や単語について
日本語の文章作成、読解力について
日本語の発音について
ひらがな、カタカナ、漢字(表記)について
言語を使ったコミニュケーション能力について
という感じです。
(あれ、まさかこれもスクロールしてないよね?)
とりあえずこれで理解したと思い話を進めますが、日本とは別の文化を持った方とコミュニケーションを取る職業なので、日本語学や教育学だけでなく異文化コミュニケーションに関することなど、日本語 / 教育 / 文化に関することを360°から学ぶというイメージです。
皆さんは義務教育で国語を勉強してきたかと思いますが、国語とは日本人が使う言語を意味するので、古典なども勉強してきたかと思います。
日本語教育とは日本語を母国語としない方に日本語を教えるものなので、皆さんが学んできた国語とは少し視点が異なります。
私が特に大好きだった分野はこれらです。
- 人間が言語を習得する時の過程(言語習得理論)
- なぜその言語(語彙、文法、表現)を使うのかという心理について(心理言語学)
- 人間が言語から何をどう推測 / 認知するのかについて(認知言語学)
- 文法
- 異文化コミュニケーション
…いや、あげてはみたものの、もう全部好きなんですよ。言語に関することが。
日本語教師になる方の中で、「なぜ日本語教師になろうと思ったのか?」と質問するとこのような回答が返って来ます。
- 海外の文化に興味があるから
- 日本語学、言語学が好きだから
- 教育が好きだから
私は「言語学が好きだから」という理由で教師になりました。
"こせんだ式日本語教室"というYouTuberがいるのですが、お酒を飲みながらこの動画を見るのがとっても好きです🍺おすすめです。
日本語教師には定年がない!?
日本語教師には定年がなく、何歳からでも始められる上に、何歳まででもできる職業です。
私が日本語教師をしていた頃、あまりにも私が輝いて見えたのでしょうか。私の父(70)は、65歳の定年退職と共に日本語教師の資格を取り、ミャンマーで教師をした後、現在は東京の日本語学校で教師をしています。
私が教師時代にハロウィンで被った馬のかぶりものを、今では父がハロウィンで被っています。ジャケットの色も馬色に合わせる辺りが1本取られました。面白くて悔しいです。
「今日授業でバカ受けだった!」とLINEで報告してきた父(70)を見て、心の底から尊敬しました。
このように、先生として働いている方のご年齢や、これまでされてきたご職業は様々です。私の父のように定年退職された方もいれば、専業主婦をされている方、大学で研究されている方や、日本語教師一本でやって来ている方、元ギャル(私)….。いくつかの学校で働く経験をしましたが、周りの先生方は非常に教育熱心で心の温かい方ばかりでした。
私を一人前の教師に育てあげてくださった先生方は、諦めずにいつも優しく指導してくださいました。日々の業務に追われてしまうこともありますが、教育熱心だった先生方の背中を今でも思い出しながら仕事をしています。
日本語教師のすてきなところ。
日本語教師の素敵なところをあげ始めると、10,000文字では足りない上に思い出に浸りお酒と共に泣き始めるので3つに絞ります。
1. 毎日が冒険!勉強!
日本語教師という職業は、同じような日々が2度と来ません。
受け持つクラスは初級・中級・上級と様々で、学ぶ目的が違う学生に様々な手段で日本語を教えていきます。日本の大学や大学院に進学する学生には「論文の書き方」などのようにアカデミックな日本語を教え、日本で働きたい学生には「STP分析から学ぶ日本語」のようなビジネス日本語、日本に観光しに来る学生には「ジャニーズから学ぶ日本語」のように楽しく文化を学べるような授業を準備します。
「人に教える」ということは、100%以上自分で理解していないとOutPutができないので、毎日行う授業の準備や事前学習は地獄のような日々でした。毎日違う授業を提供するので、常に「Outputの枯渇」状態でOutputしてきました。ただ、教壇に立って生き生きとした目をする学生を目の前にすると、明日も頑張ろう!という気持ちにさせてくれましたし、夢を持って日本に来ている方の力になりたいと思って頑張れることができました。
2. 国籍の違う人の考えを知ることができる!
授業の中に、作文の授業やスピーチの授業があります。初級・中級・上級とレベルに合わせてテーマを与え、テーマに沿って作文やスピーチをしてもらうといった授業です。
書いてもらった作文は、電車の中や休日カフェにこもって添削をします。この添削作業は非常に大変な仕事の一つなのですが、面白い。なぜなら、様々な国籍の人の考えを知ることができるからです。
例えば、「愛・お金どちらが大切か」というテーマに沿って作文を書いてもらうと、国によって思想が異なることが分かりますし、日本人では通常思いつかないような考えを書く人もいます。スピーチの授業では教室で涙したこともありました。日本で生まれ育った私にとって、「日本の常識は世界の非常識」ということが学べましたし、多角的に物事を考える大切さを教えてくれた機会でもありました。
3. 言語が通じなくてもコミュニケーションが取れるようになる!
私はこれまで約45カ国の国籍の学生に日本語を教えて来ました。
日本語を学ぶ学生の母国語は、英語 / 中国語 / 韓国語 / ベトナム語 / イタリア語 / フランス語 / モンゴル語 / ロシア語 / タイ語…………….と様々で、年齢も様々です。日本語が話せないというだけで、中身は成熟しています。
私はカナダに2年いたのですが、英語が話せず自分の気持ちが伝えられないもどかしさを経験しているがゆえに、学生の気持ちは痛いほど理解できます。
そんな学生とコミュニケーションを取るために、言語が通じなくても気持ちを最大限伝える術を身につけて来ました。
ボディーランゲージ、筆談、絵を描く、表情、リアクション…などなど。色々な術を使ってコミュニケーションを取った結果、世界で共通してHappyになれるのはやっぱり「笑顔」でした。
ちなみに、日本語教師をしてる!と言うと、「じゃあ英語話せるの?」と言われます。日本語を学ぶ学生の母国語は様々で、英語が話せない学生もいます。どんなに日本語が話せない学生でも日本語でコミュニケーションを取らなければいけません。
そのため、私のボディーランゲージ力は最強になりました。私と旅行に行く人はそのボディーランゲージ力に驚くことでしょう。
今ここまで読んでいる方はきっと日本語教師って面白そうかも…?と思ったのではありませんか?
そんな方は、この記事の頭から読み直してください。どうしたら日本語教師になれるかが書いてありますから。
(え、怖)
日本語教師をしていたことで今の仕事に役立っていることも多くあります。どんな経験も、一生懸命熱意を持って取り組んだことというのは、人生のどこかで役立つものなのですね。
現在私はIT企業で働いていますが、日本語教師は定年がない職業なので、いつか必ずまた日本語教師になると決めて、輝いた思い出をそっと胸にしまっています。
おしまい。
Twitterやってるので是非フォローしてください😊
忘れてはいけません。これはEventHubのアドベントカレンダーです。
しゃしゃり出て1日目と2日目を書いてしまいましたが、さすがに3日目の記事はIS/Mktgの中井たまきさんです!お楽しみに🎉
EventHub Advent Calendar 2022
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