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花に出会う前のことと、自分の軸を見つけること

花に出会う前のこと

わたしがパリの花に出会ったのは、2011年の秋、25歳の頃。

それよりもずっと前、中学生の頃に出会ったのが、

フランス映画でした。

当時、映画はオンラインでダウンロードするものではなく、レンタルショップにDVDを借りにいくもの。

「ヌーヴェル・ヴァーグ特集」コーナーで偶然手にとったのが、

フランス映画の巨匠・ゴダールの映画"alphaville"でした。

1965年に製作されたというこの映画の圧倒的な世界観に引き込まれ、ただただ魅了され、

それ以来、数多のフランス映画を貪るように観ました。

もともと読書好きだったこともあって、次第に、ゴダール映画のセリフとして引用されるフランス文学の美しさにも惹かれ、

フランス文学を専攻できる大学に進学しました。

その後、10年近く経ってから、今度はフランスの花に魅了されて渡仏したのは

まったくの不思議な縁ではありますが、振り返ってみれば、

わたしがフランスの花に惹かれる理由は、映画や文学に惹かれた理由と同じだとおもっています。

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光と影、無垢と倦怠、儚さと曖昧さ、多面性、そして不条理もすべて受け容れて、そこに美しさを見出し、愛すること。

なにか辛いこと、やりきれないことが起きたら

“C'est la vie.  (それが人生というものさ。)”と肩をすくめて見せ

それでも

”La vie est belle. (人生は美しい。)”と言い切る彼らの精神性に

昔から惹かれ続けています。

その精神性は、

花に対しても、蕾から花ひらき、咲ききって朽ちてゆくまでを愛でる感性であったり

女性に対しても、若さ(幼さ)ではなく、人として成熟した魅力を認めるところであったり

いろいろな面にあらわれています。


自分の軸を見つけること

「今の仕事は自分の本当にやりたいことではない気がする」
「好きなことを仕事にしたい」

けれども、そもそも、

「好きなことがわからない」「やりたいことがわからない」

そんな方から相談を受けることが、ままあります。

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わたしは「花」という「好きなこと」に出会って、今、花を「仕事」にしています。

もちろん花が好きですし、今も日々、その美しさに心動かされるのですが

花そのものだけでなく、

花を美しいと感じる、人の感性だったり、

花のある暮らしが人生にもたらす詩情というものに、尽きない興味があります。

それは、映画や文学にも通じることで、同じように、人生において大切なものだと考えています。

余談ですが、長年やってきた競技ダンス(わかりやすく言えば社交ダンス)も、

自分の感性と感覚を頼りに、主観的なものである「美しさ」を追求する、

客観的な正解というものが存在しないにもかかわらず最終的に順位がつく、

そういう、きわめて曖昧で不条理で、詩的なスポーツでした。


自分の中にないまったく新しい「何か」を見つけようとおもうと、

途方に暮れてしまうかもしれませんが

それは必ずしも、わかりやすい「もの」や「こと」でなくてもよくて、

大切なのは、自分がなんとなく惹かれる感覚の部分、「世界観」だったり「感性」、「価値観」ではないでしょうか。

遠回りに見えるかもしれませんが、自分の感性に向き合うこと。

(ここで、感性を磨くこと、というと、

もしかしたら真面目な方は「感性を磨かなくちゃ!」という焦りが出てきて、

自分が本来もつ意思や感覚から離れてしまうような気がします。)

たとえ言葉で説明しにくくても、その感性が自分の軸となって、

その感性に正直でいれば、自ずと「好きなこと」「やりたいこと」にも、

いずれ出会うべくして出会うものなのかもしれないとおもいます。

今まで人生に散らばっていた小さなかけらたちの一つ一つが、

もしかしたら、あとで振り返ってみたら、繋がっているものなのかもしれません。


守屋百合香

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もともと花の知識も花屋経験もゼロのところから、パリの花に出会い、修業とパリ花留学を経て、フリーランスとして独立した経験から、キャリアチェンジを考えている方、フリーランスで花仕事をしたい方、パリ留学を考えている方や、二拠点生活に興味がある方などに少しでも役立つ内容をお伝えしてゆければとおもいます。

パリと東京の二拠点で、フリーランスのフラワースタイリストとして花仕事をしています。 このマガジンでは、元秘書で競技ダンサーだった私が花の…

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