人生、転職、やり直しゲーム 第1章

【パワハラパレスの社長】

そもそも、こんなノルマを押し付ける社長が悪い。
ノルマ地獄で営業マンを使い捨てにしやがって。

俺は過去に
だんだん顔色が悪くなってきて、
ある日、急に会社に来なくなり
辞めていった営業マン達の顔を思い浮かべた。

携帯で社長について調べると、簡単にわかった。
現在は会長になっていた。

「日本の豪邸」というサイトで、
住んでいる住所や家の写真まで公開されていた。
俺みたいな奴に狙われないんだろうか…
警備会社と契約はしているだろうが、
通報されても、
警備員が到着するまでに殺せばいい事だ。

社長がどんな奴かについては、
「ジャーナリスト吹育(ふえいく)の震災の爪痕と日本企業の闇」というサイトが
1番詳しかった。

「戦後、
日本軍にいた兵士達は、
それぞれ家に戻り、
普通の仕事をするようになったのだが、
かつて受けた軍隊式教育の影響は、
自覚のないまま、会社運営に多かれ少なかれ反映された。

モーレツ社員なんてかつて流行った言葉は知っているだろうか?
個人の権利より、
組織のコマとしてキツい仕事にも忠実に働くサラリーマンだ。

パワハラパレスの初代社長は
戦後に不動産会社の営業マンとして鍛えられ、
後に独立、パワハラパレスを立ち上げた。

東証一部上場まで上り詰め、
社長が会長となった現在でも、
会長の役員報酬は年間1億円と言われる。

バブルが弾けた後でも、
ずっと変わらず、華々しい会長の収入である。
経済が右肩上がりの時代は、
当然の収入だったかもしれない。
しかし、
少子高齢化、不況下の日本で、
投資目的で銀行に借金してアパートを建てるのは高リスクで、
バブル期のように簡単に売れる時代では無い。

現在、パワハラパレスの現場の末端の営業マンは
ノルマ地獄である。
パワハラパレス会長の利益のために身を粉にして働いている。
精神的、肉体的に追い詰められた営業マンが沢山いる。

私が取材した中でも最悪のケースでは、
自殺者がいた。

客の損失補填の賠償を、会社が負担せずに
担当営業マンのミスとして、
個人に会社が自腹で請求したために、
営業マンはサラ金や闇金で借りて補填。
それでも足りなく、
生命保険金で払うから、
家族に請求しないでくれと遺書を残して自殺した。

現在のパワハラパレスの営業マンは
まるで神風攻撃隊のようだ。
勝てる見込みのない戦い(地方でアパートは現在過剰供給である)を強いられ、
自らの命(精神と健康)を国のために(会社のために)散らせる。

戦後70年も経っているのに、
パワハラパレスでは、
目の前の無理な戦局を、
マンパワーで解決しようとして、
現場の弱い立場の人間を追い詰める。
先のことを考えない日本軍の体質そのものの会社である」

…就職活動中にこのブログを読みたかったな。

しかし、もう遅い。
俺は、血だらけのワイシャツを脱いで、
顔の返り血を拭い、
ダンプに積んであった警官の制服に着替えてから、
腰の拳銃をホルスターから取り出し、
手にとった。
サバゲーの武器じゃない。重い。本物だ。

俺は思わず射精したくなったが、
これから大仕事がある。
ダンプに乗り込み、
ネットで見た会長の自宅の住所に向かって
ダンプを走らせた。

しかし、誰かが通報したのだろう。
県境を超えたところで、検問に引っかかり、
俺はあっけなく本物の警官に捕まった。

BADEND 【検問】

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