人生、転職、やり直しゲーム 第1章

【出る】

「おう、課長か?」

「すいません、
そちらの営業マンが、
しょっちゅう、私の家に、
アパートを買わないかと営業に来ます。
迷惑なので、もう来ないでほしいのですが」

「営業マンの名刺はお手元にございますか?
その者の名前を教えていただけますか?」

「課長の唖唖家葉(ああいえば)さんです」
課長だ!

ぷるるるるる…

営業課の別の電話が鳴った。

「大変失礼致しました。
ただ今、お調べしまして、
折り返しこちらから、お電話させて頂きます。
お客様の住所お名前と電話番号を教えて貰えますでしょうか?
個人情報は外部に漏らしたりしませんので」
会社内で勝手に営業リストに載せるけどな。

「鳥羽知里(とばちり)です。
電話番号は…」

俺は電話番号を控え、
菅四輝にピストルの銃口を向けながら、
しつこく鳴っているもう1つの電話に出た。


「もしもし」

「無能君、唖唖家葉(ああいえば)だ。
菅四君を解放してくれ」

「イメクラ変態課長か。
お客様から、課長に電話がきていた。
俺が電話の横でサポートしてやるから、
早く、営業課に帰ってこい。
ここで、折り返しお客様に電話をかけろ」

「無能、ピストルを持っているんだな?
出てこい。
警察が会社を取り囲んでいる。
逃げられないぞ。
菅を解放して、自首しろ。
お母さんとお父さんが悲しむぞ」

「能書きより、とっとと客に電話しろ。
今はパワハラパレス情弱店の前で、
警官から指示を受けて電話しているんだな?
3分で営業課に入ってこい。
課長が来なかったり、
警官が中に入ってきたら、
菅にもう1発ピストルの玉を食らって貰う。
今、出血しているのに、
更に出血する事になるなぁ」

「じゃあ、私が中に入ったら、
代わりに
菅君を解放してくれ。
手当をしたい」

「課長の態度次第だ。
会社の中に警官を入れるような真似をしくさったら、
菅は、
課長の小細工のせいで
命を落とすことになると思え」

「菅くんの安全を保証してくれないと、
俺は中に入らない」

「課長は、俺と交渉出来る立場だと、
勘違いしているようだな。
ちょっと待ってろ」

俺は電話を切り、
優順さんの家から持ってきた袋から
ノミと、血のついたハンマーを取り出した。

気絶した菅の左手の小指の先っぽをにノミを当て、
上から、ハンマーを振り下ろした。
ザクっと骨が当たる感触がして、
菅の左手と小指が泣き別れした。

「ギャアァァアァァァァ!」

菅四輝は再び痙攣しながら騒ぎ出した。
俺は小指をつまみ上げ、
パワハラパレスの名前が書いてある封筒に入れ、
封をしたあと、
窓に近寄った。
機動隊が会社を囲んでいる。
俺は、漫画の真似をして、
体を窓の下に潜め、
右手を高く伸ばし、
窓を開け、
封筒を窓の外に落とし、
窓を閉めた。

再び電話が鳴った。

「無能君!
あれは、菅くんの指か?」

「そうだ。
まさか、部下を見捨てたりしないよな?
警官を連れてこないで、
1人で来い。
警官を連れてきたら、
菅を撃ち殺すぞ。
今から3分後にもう一度指を飛ばす。
3分以内に課長1人でここまで来たら勘弁してやる
営業課まで走ってこい」

俺は電話を切り、
携帯電話のタイマーをセットした。

営業課のドアが開き、
課長がハアハア息を切らせながら入ってきた。

「うっ、菅…」

床に血を流し、
口から泡を噴いて痙攣している菅を見て、
課長の顔は青ざめた。

「お前らは同期じゃないか、
どうしてこんな酷いことを…」

「営業マンはライバル同士だって課長が言ったんだろう?
警察は一緒に来てないよなぁ?」

俺は課長にピストルの銃口を向けた。
携帯電話のタイマーが、鳴った。

「3分だろ。
や、約束は守った。菅くんの手当をしたいんだ…」

「それは、お客様に電話を入れてからだ」

課長は、救急箱を持参していた。
そんなものでどうにもならないのに。

「て、手当を…」
コイツ、警察と手を組んで妙な真似をしないだろうか?

【救急箱を調べる】に進む

【警官が付いてきていないか、廊下を確認する】に進む

【このゲームの取り扱い説明書を見る】
(始めに戻ってやり直す)

投げ銭大歓迎です。