【人生、転職やり直しゲーム 第二章 転職と地獄の研修の巻】

【嫌いな食べ物】

住職が言った。
「ここまでやってみて、どうでしたか?」

研修で落ちると、就職できない。
何か意見を言って、積極性をアピールしなくては。
皆が意見を出した。

「露天風呂が良かった」
「遠いから疲れた」
「ゴルフ場の年寄りにムカついた」
他愛のない意見が出揃った。

「それでは、嫌いな食べ物がありますか?」
また、住職が聞いた。

俺は、答えた。
「俺は、納豆が嫌いです。」

俺の隣の女の子、猫田さんも答えた。
「イナゴの佃煮です」
他の皆も、嫌いなものを口々に答えた。

「それは、嫌いなものですか?」
「嫌いです」
「苦手ですね」
「絶対食べられないです」

文句が出尽くしたところで、
住職が言った。
「それでは、今から持ってきましょう」
スラッ、大広間の襖が開き、
奥さんと、
忍さんが大広間に入ってきた。
お盆を持っていたが、
そこにはみんなが述べた嫌いな食べ物が皿の上にのっていた。
そして、2人は、食べ物を
嫌いと言った人間の前に正確に置いた。
パック入りの納豆は、しっかり俺の前に置かれた。
奥さんと忍さんは無言で部屋から出ていった。

「納豆は、食べ物ですか?」
住職は怖い口調で俺に聞いた。
「はい」
「納豆は食べられますか?」
「無理ですよ。目の前にあるのも嫌だ」
「納豆は食べられますか?」
「臭いです。下げてください」
「納豆は食べられますか?」
「だから、無理です」
「納豆は食べられますか」
「しつこい!」
俺はイライラした声で抗議した。
いくら入社試験だからって、
これは単なる嫌がらせじゃないか。

住職はターゲットを切り替えた。
「じゃあ、隣の、猫田さん。あなたの嫌いなものは何ですか?」
「…イナゴの佃煮」
「イナゴの佃煮は、食べ物ですか?」
「はい」
「食べられますか?」
「無理です」
「食べられますか?」
「見た目がグロくて、無理です」
「食べられますか?」
「無理」
「食べられますか?」
「食べられません」
「食べられますか?」
「しつこい」
「食べられますか?」
「嫌い」
「食べられますか?」
「しつこいなぁ、頭、大丈夫?」
「食べられますか?」
「同じ事繰り返さないで!ロボットみたい」
「食べられますか?」
猫田さんもしつこく聞かれてイライラした。


住職は、
こんな調子で研修生全員に嫌いな理由をしつこく聞いた。
皆、研修だし、入社試験に合格したいから
始めは真面目に答えるが、
しつこすぎて答えが出なくなる。
なんで同じことを何度も聞くのだろう。
俺の回答は正解なのか?
こんな回答で合格できるのだろうか?


寺に来た時、時計を没収されたので、時間の感覚が無い。
俺は聞いていて、だんだん具合が悪くなってきた。
何度も自分を否定されているようで、
つらい。
帰りたい。
…しかし、マイクロバスは行ってしまった。
今、帰るとしたら、山道を歩くか
ここまでタクシーを呼ぶのかな?
お金かかるなぁ。
携帯も取り上げられたし、
参ったなぁ。
疲れてきた。
座布団に長く座ったので足がしびれた。
早く正解を見つけて楽になりたい。

どうする?

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