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森てく
2022年6月28日 09:16
「この前崇さんと3人で釣りに行ったでしょ」 私はうんと相槌を打ちつつ、マカロンの上蓋を取ろうとする。 何度も挑戦しているが、うまく剥がせたためしがない。接着剤でも塗っているのではないだろうか。 かえでは続ける。「あのとき、すれ違った男の人がいたじゃない。赤と青のチェックの長靴をはいた」「知らないわね」「赤いパジャマみたいな服を着て」「それがどうしたっていうの?」「ううん。い
2022年6月27日 01:04
朝、ベッドの中でメールを見ていると、崇の母から電話が来た。 今うちに向かっているらしい。というかもう着くのだそうだ。 いつでも来てくださいと言ったのは私だが、これは急というかもはや抜き打ちだ。 電話で義母は、たか子さん(私だ)の手料理をぜひとも食べてみたいと言った。 でも私は料理ができない。 したことがない。 高校まで、食べ物というのは手を叩くか、その辺の誰かに命じれば出て