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みちづれの猫

唯川恵さんの猫と7つのお話

程よくネタバレ気にせずに記しているので、ネタバレに関してはご自身の判断でお願いいたします

ミャアの通り道

ずっと帰っていなかった実家
小さい頃に拾った猫ミャアの最期
すごく短い物語なのに、無邪気な子どもから、色々と抱えてしまった大人になった心情抱えつつ、ミャアの最期
気付いたら涙が出てた

運河沿いの使わしめ

茶太郎はいまもどこかにいるのでは、と思ってしまう
動物の人の心を感じとる不思議な力
それを茶太郎は色々な名前と首輪をもらって、その人が"大丈夫"になったら、また次の人の元へ…

ひだまりの中

息子の急死から訪ねてきた女性の妊娠発覚
迎え入れる母と対抗する娘たち
信じていたのに裏切られた
いつも来る番いの猫
綺麗な牝猫のヒメが食べるまで待っていて、貧相なブチネ猫から守るブサイクな雄猫のボス
でもヒメから産まれてきたのはブチ猫
裏切られていたけれど、それでも信じたい優しさに触れたひだまりの中

祭りの夜に

認知症になったお祖母ちゃんはお祖父ちゃんの事も忘れて子どもの心になっちゃった
孫の事もお友だちと思って、初恋の信太郎くんに想いを寄せている
それがお祖父ちゃんのウソがキッカケだとしても
そして自分を忘れて、信太郎くんだけに想いを寄せるお祖母ちゃんに優しいウソを付き続けるお祖父ちゃん
切ないけれど優しい想いになれる

最期の伝言

父親が別の女性のところに行き、大人になり父の死期が近いことを知る
最後の会話も父を許せない、憎んでいる反発した想いをぶつけるだけだった
本当は母親が前妻から父を奪って自分が産まれた
そしてまた元の鞘に戻った
それを知り、さらに父からのごめん
最期の最後までごめんと謝った父への蟠りが少しずつほどけていく

残秋に満ちゆく

人生に一区切りついていた女性が突然、昔焦がれる程に愛した男性との再会
区切りになった過去を想い出しつつ、男性との想い出にまた苦しくなる
そして今の現実
老いに抗いながらも受け入れつつの、大人の恋愛、そして迎え入れる猫

約束の橋

一人の女性の生涯
そこには必ず猫がいた
そして自分が進んでいる場所に気づいた時、今までの猫がお迎えに来てくれた
最期の最後に温かい気持ちで読み終わった

読み終えて

すべてに猫を通してのお話
やはり唯川恵作品としては残秋に満ちゆくが好きだった

誰もが経験した一生で1番愛した忘れられない狂おしい想い
この切なくて苦しいのに後悔はない想いが、ナゼか心地よく感じるんだよね

総じてどの作品も読んだ後に儚くも優しいふんわりした気持ちに包まれる

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