見出し画像

夫とホッピー通りと

夫の、目が好き。
マツパをしているくらいに、くるりんと上向きなまつ毛。
大きくはないけれど、くりっとしていてかわいい。

夫の、笑いのセンスが好き。
独自の替え歌が、ほんとうにクセになる。

夫の、肩から首までのゴツさが好き。
ぎゅっとしたときに、腕が回りきらない感じがたまらない。

夫の、真面目なところが好き。
仕事と資格試験の勉強の両立、毎日ほんとうにお疲れさまです。

夫の、ワイルドなひげが好き。
在宅勤務になってから伸ばしているひげ。
ずっとこのままでいてほしい。

夫の、においが好き。
一番落ち着いて、心の安定剤。
なんだろう、例えるなら、ミルクとミントみたいな香りかしら。

他にも、好きなところは、たくさんある。
というよりも、夫のすべてが好き。
でも書ききれないから、この辺でストップ。

この夫の存在が、わたしのモチベーションになっている。

夫が、毎日朝早くから夜遅くまで仕事を頑張っているから、わたしも家事や育児、執筆や勉強を頑張ろうと思える。

そして、一番はここ。
女性らしさをいつまでも大切にしようと思えるのは、夫のおかげ!

実際にかわいいかどうかは別として、夫はいつも、わたしのことを「かわいい」と言ってくれる。
わたし的に、この世で言われて嬉しい言葉ランキングでダントツの1位。
おそらく一生嬉しいと思う。

夫にかわいいと思ってほしくて、毎日朝から丁寧なスキンケア、ヨガだけは、同棲してから今日までしっかり続けている。

死ぬ間際まで、かわいいって思ってもらえたら嬉しいな。


こんなにも心から大切に思える人に出会ったのは、約7年前だった。

出会った当時のわたしは、23歳で、社会人一年目。

それまで、いわゆる毒親のもとで育ってきていたわたしは、自分というものをまったく知らず、適切な身の置き場もわかっていなかった。

囲われた狭い世界の中で、ただ親に怒られないように、親の機嫌を損ねないように、毎日生きる。

ただなんとなく、親の敷いたレールに沿って生きていたわたしは、大学選びも、就活も、無難な道を選ぶことしか考えていなかった。

こんな自分のことが、心底嫌いだった。
何か新しいことに挑戦してみたくても、親の顔色ばかりが気になり、行動に移せない。
自分が情けなく、やるせなかった。

自宅にいても心が休まらず、ほんとうに心を落ち着けることができるのは、外にでているときだけだった。

特に落ち着いたのは、浅草のホッピー通りに1人でお酒を飲みに行っていたとき。
飲みにいくときは1人だけれど、最終的に、お店で居合わせたたくさんの人たちと一緒に飲む。
自分の知らない世界を知ることができる、最高の時間だった。

世界でも名の知れている大企業の取締役のおじいさんや、シンガポールから旅行に来ていた男性カップル、卒業旅行で東京に来ていた大学院生の女の子たち……。

いろいろな人と、いろいろな話をした。
みんなそれぞれ、なにかしらの問題を抱えて、乗り越えようとしている。
わたしが今いる世界は、こんなにもちっぽけだったのかと、自分を知ることができた。

そんな中、夫に出会った。

夫は、当時のわたしが抱えていたすべてのモヤモヤを、消し去ってくれた。

そして夫は、わたしが欲しかったもののすべてを持っていた。
自分への、揺るぎない自信。
すべてを受け入れる、寛容さ。
相手を引き込む、トーク力。

一緒にいるだけで、こちらの自己肯定感まで上がってしまうような、不思議な力を持っていた。

そして、夫がわたしに与えてくれたものが、もうひとつある。
それは、居場所だ。
こんな自分でも、存在している意味があるんだと、思わせてくれた。

そこからの自分は、少しずつだけれど、明るくなっていった。
周囲の人たちからも「変わったよね」と声をかけてもらえるほどに、変わっていたらしい。
特に、「目が優しくなったよね」と言われた時は、驚いたと同時に嬉しかった。

心も容姿も変えてくえた、わたしの最愛の夫。

こんなにも広い世界の中で、わたしというちっぽけな人間を見つけてくれて、ほんとうにありがとう。

毎日惜しみない愛情を注いでくれて、ありがとう。

この先もずーっと、あなたの隣で、あなたと一緒に、たくさん笑いたいです。
美味しいお酒も飲みたいし、美しいものも見たいです。

でもわたしにも、少しでもあなたの力になる機会をください。

もっと弱音を吐いて、情けない姿を見させてください。

どんなあなたも、わたしの一番の宝物です。

これからも、毎日の晩酌や、週末の家族みんなでのお散歩のような、ささやかな時間を大切に、生きていこうね。

そしていつか必ず、海外に住んで、のんびりゆったり暮らそうね。


さぁ、そろそろ今晩の晩酌の支度をしようかな。
今晩のつまみは、夫の大好きなお野菜たっぷりユッケにしようっと。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?