マガジンのカバー画像

ひとり手帖

50
日々の思考の断片です。
運営しているクリエイター

2023年10月の記事一覧

蟻と葡萄と10月某日

蟻と葡萄と10月某日

休日。夏のあいだに読めなかった本を読む。好きな作家さんの小説、コピーライターの本。溜めていたドラマを1話だけ観る。好きな俳優さんが出ているやつ。

風がつめたいことに気づく。ヒートテックを引っ張り出す。それでも日が差すとすこし暑く、カフェラテはアイスで飲んでしまう。たぶん一瞬で終わってしまう季節。はかない。

シャインマスカットを買おうとして、逡巡してやめる。代わりに想像する。薄い皮がはじける瞬間

もっとみる
書くこと秋めくこと

書くこと秋めくこと

書きたくて書きたくて仕方がないくせに、書くことは業が深いことだと思っていて、誰にどう届くのか、周りにどんな影響があるかをぐるぐる考えてしまうせいで、ぶわーっと書いたものを人知れず墓地送りにしてしまうことがよく、ある。書き溜めた小説や詩や短歌、ボツにしたコピーやステートメント、誰かに見てほしい気もするし、大切に私のなかだけに留めておきたい気もするし、で、気づけば容量を圧迫して、慌てふためいたりする。

もっとみる
9月のかけらたち

9月のかけらたち

長編1本、短編2本、詩1本。
9月末に脱稿した。

この1か月間、ほんとうにずっと書いていた。小説の執筆はいつもいのちがけだけど、今回は人生で一番いのちがけだった。

*

6万字弱の長編を書くには、自分の記憶や傷や熱とひたすらに向き合わなければならなかった。
全時間軸の自分と話をした。いつの自分も、どの世界線を選んだ自分も、ちゃんと救われてほしかった。どうか届いてほしいと祈った。あのときの自分に

もっとみる