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「旅そば」万歳! 七枚目 天ざる桜そば


 無類のそば好きを自認するH助が、旅先で出会ったそばについて書き綴るのがこの連載です。ただし、当方、ウンチクの多いそば好きではなく、ただ単にそばを食べるのが好きという輩。偶然出会ったその地方ならではのそば(=旅そば)を、のどごし良く紹介していきます。


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ほんのり春が香る
期間限定そば

 今年の春、仕事で北関東に数日間滞在した。
 緑豊かで空気がきれいで、地元の人々も優しく、言うことなし。
 と言いたいところだったのだが、こと食事に関してはかなりしんどかった。

 というのも、どの店に行っても味が濃いのだ。そして揚げ物を出す店がとても多い。なかでも、トンカツ屋さんの比率がとても高く、最初は「たまには味の濃いガッツリ系もいいね」なんて言っていたが、次第にうんざり。さっぱり系のメニューを探すのにずいぶんと苦労した。
 ただのカツ丼ではなく、ソースカツ丼が多いのも特徴で、北関東出身の方がソースを好む理由が少々わかったような気がした(偏見でしたらスミマセン)。

 そんな中、群馬県の、温泉と冬はスキー場で有名なみなかみにある「すえひろ食堂」という店で見つけたのが「桜そば」である。そばならなんでもいいと思っていたのだが、お店の入り口に『天ざる桜そば』という手書きの立て看板?がデーンと飾ってあった。
(ほほぉう、桜そばとは風流な。今日のお昼はこれにしよう)


かんばん


 店に入ろうとしたらすでに満席。お昼どきだったので、常連の方が多いのかもしれない。待つこと10分ほど。中は思ったより広くなく、まだ多くのお客さんで席は埋まっていた。着席し、迷わず注文。
「天ざる桜そば、ひとつ!」


すでに満席


 どうやら、天ざる桜そばは期間限定メニューで、この店特製のそばのようだ。しかも、春だけではなく、夏・秋は「青シソそば」、秋・冬は「柚子そば」を期間限定で出している。なかなかがんばってる(誰目線?)。メニューの説明書きによれば、桜そばとは「伊豆産のさくらを練り込んだ香り豊かなそば」らしい。


メニュー


「は〜い、お待ちどうさまです。こちらが、天ざる桜そばで〜す。」
 店員さんが運んできてくれたお盆の上には、天ぷらと桜そばが鎮座していた。
見たところ、天ぷらそのものは特別なものではないようだ。


鎮座した天ざる

[天ざる桜そば 1,200円]


 では、さっそく、そばをすすってみる。
 ???!!!
 たしかにそばの香りのほかに、ほんのりと桜の香りが鼻をくすぐる。
 かすかな酸味が微妙なアクセントとなり、不思議な後味を残してくれる。
 これはなかなか味わえぬそばかもしれぬ。そんな満足感を覚えながら、そばはあっという間に喉の奥に滑り込んでいった。


そば_アップ


 う〜ん、桜そばか。こうなったら、夏の「青シソそば」、冬の「柚子そば」も食べてみたい!と思うのは必然の流れであった。


店舗

すえひろ食堂
群馬県利根郡みなかみ町布施84−1
0278-64-0831