大掃除や買い出し、保育以外は親が担当!今フランスで注目を浴びる、親が運営する保育園 crèche parentale n°2
前回書いた、フランスの保育園、crèche parentaleについてのnoteの続きです。crèche parentaleとは、子どもを通わせている親たちの集まった非営利団体(アソシエーション)が管理運営している保育園のことです。まだ読んでない方はぜひ一読していただけると、分かりやすいと思います。↓
今回は、前回書ききれなかった、保育当番や委員会などの親の役割を詳しく書いていきます。
親の保育当番
親の非営利団体で運営されていることから、親のボランティアなくしては、保育園は成り立たない。
特に重要なのが、毎週半日4時間の保育当番。子ども一人につき、一回。どちらかの親が当番に行く。兄弟や双子で通っている場合はまるまる1日保育園の当番で埋まってしまうので大変。
保育当番でやることは、
シーツや布巾、お食事エプロンなどの洗濯、その後取り入れて片付け
おもちゃの洗浄
お出かけがあるときは、付き添い
午前の当番では、子どもたちにも食べさせながら、お昼ご飯を一緒に食べる
お昼ご飯の片付け
ゴミ捨て、ゴミ袋取り替え
部屋の片付けと掃除 午前はお昼寝のとき、午後は1日の終わりに
手が空いているときは子どもたちと遊ぶ!これもとっても重要な親の役割
見てわかるように、保育士さんは、保育だけに専念できるように、それ以外のこと全ては当番の親がサポートしているよ!保育士さんに休憩時間もしっかりとってもらえる。
子どもたちのオムツやトイレ以外のお世話はしてもよくて、泣いていれば抱き上げてあやしたり、けんかしてれば止めに入り、危険なことや叩いたりしたら叱ったり、自分の子どもと同じように、園の子どもたちと接している。
委員会
前回書いた執行部以外にも委員会がたくさんある。どの委員会も保育園の運営に欠かせなく、重要な役割があり、会員の親は全員どこかに所属している。アソシエーションによって委員会も様々だと思うけど、つーちゃんの通う保育園にはこんなのがある。
食材の買い出し 毎週月曜日に、調理師さんから頼まれた食材を、保育園の近くのビオスーパーに買い出しに行く。
食材以外の買い物 オムツやゴミ袋など、食材以外に保育園で必要なものを、主にネット通販で購入する。
保育当番調整 毎週、保育当番の調整をする。
園の修繕 bricolage(日曜大工)が大好きなフランスの人たち。ドアの建て付けや、棚、椅子などの修理も親の仕事。お人形や本など、おもちゃの手入れも。水道管や電気関係など、専門家が必要なとき以外は全て親の修繕係がやってしまう。
大掃除 毎年2回、週末を利用して、どちらかの親が全員参加で大掃除をする。その時の監督、日程調整。
お出かけ企画 子ども向け施設への予約や交渉、日程調整など。
イベント企画 私は正直なところ、イベント多すぎるって思うくらい、パーティー三昧な保育園。準備から飾り付け、すべて親の係が担当。保育士さんは、当日園児たちと一緒に参加するだけ。
自治体の保育園ではほとんど行われていない、課外活動のお出かけについてもう少し詳しく。
比較的子どもの多い地域にあり、保育園の近く(子どもたちは二人乗りベビーカーに乗せて、大人が徒歩で行ける範囲)に子ども向けの施設が充実している。例えば、
子どもカフェの音楽ワークショップ 毎週
児童館二ヶ所 月2回
ふれあい牧場 年数回
劇場 年一回
公園 天気がいい日毎日
これらも、毎月の総会で子どもを連れていきたいところを提案することができる。ただ大人1人に対して子ども2人が限界なので、連れて行ける人数は限られる。ここで親の保育当番の出番!保育当番なしには、お出かけも成り立たない。
イベントは、イースターやクリスマスなどのフランスのお祭以外にも、カーニバルや旧正月など、世界中のお祝いもしている。イベント係は園の飾り付けや、全員分の衣装まで手作りしてくれる。とても貴重な体験させてもらって、感謝しかないよ。
イベント後には夕方6時から親も参加のパーティーが待っている。子どもたちは夕食も保育園で食べて、大人たちは軽食、おつまみやお酒を持ち込み、飲んで食べて、踊って、語って、存分に楽しんでいる。兄弟も参加できるので、保育園の中は大賑わい!夜の9時すぎても終わらず、子どもたち寝かせる時間なんてお構いなしでわいわいがやがや。それが年に一回ではなく、2ヶ月に一回はやっている!?
保育料は?
国の定める保育園の規則に従い、届出を出して認められると、補助金が支給される。そうすることによって、自治体の保育園と同じの保育料で通わせることができる!
フランスの保育園は、インターみたいな特別なところを除いては、どんな保育園でも保育料に差がないのはありがたいなと思う。
自治体の保育園では体験できなかったこと
WhatsApp(フランスではLINEではなくてWhatsAppが主流のSNS連絡アプリ)のグループチャットでは毎日のように、保育士さんや保育当番の親が、たくさんの写真を共有してくれる!!こんなことは、自治体の保育園ではなかった。このグループチャットで保育園のお休みや、お迎えの時間を連絡し合うのはもちろんのこと、お医者さんや美容院の紹介、週末のお誘い、役者さんは自分の舞台の宣伝、病気になったときや育児の相談など、なんでも飛び交ってる。
保育士さんや親同士も敬語も使わずお互いファーストネームで呼び合い、子どもの成長を一緒に喜んでくれる。そして子どもたちも、全員の親の名前を覚えてくれていて、保育園の外で会っても大声で名前を呼んでくれるから本当にかわいい。
仕事より大変な保育園へ入れてしまったかもしれない!?と少し後悔した時期も確かにある。親の負担はかなり大きくのしかかる。でも、そんなこと言ってられないほど、他にはない素敵な環境でかけがえのない経験をさせてもらって、今ではこういう保育園がもっと増えていけばいいなと思うくらい。
親以外のたくさんの大人たちに育てられていた一昔前の子どもたちみたいに、安心して楽しく過ごせるよう、保育士さんだけでなく、園に関わる全ての大人たちに見守られている。つーちゃんは保育園に二年間通って、単純に計算しても、60人の親+10人の保育士さんに出会い、育ててもらっていることになるよ!
すごいことだよね。
私自身もこれまで外国人として引け目を感じてすごく苦手だった親同士の付き合いに、容赦無く放り込まれた心地で、こういうところで揉まれるのもいい鍛錬させてもらってるよ。
それに核家族化や地域のつながりが減少してきたことから、育児不安や児童虐待が増えている今の現状に、このcrèche parentaleの活動がもしかしたら解決のヒントを与えてくれるかもしれない。
このcrèche parentaleについての日本語の記事を見かけたことがないので、できるだけ多くの、今子育て中のママさんパパさん、そして保育関係の人たちに届けば嬉しいな。
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