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# 023 【後編】人は質問に答えているのではない。インタビュー経験で悟った文脈の力②

私は「人事」と呼ばれる業界で、長らく仕事をしてきました。
いまはHRtechと呼ばれる領域で仕事をしているので、もう一段上の力を手に入れたくて、社内IT部門での兼務もはじめました。昨年の夏のこと。

身近で仕事をさせてもらうようになると、彼らの強さを感じるばかり。
それを見える化したくて、一人ひとりにインタビューをして周る企画を実施しました。

今日は、そのお話の第二回。

インタビュー企画『First Take』

社内IT部門のみんなは、全社が顧客。少数精鋭での対応体制なので、本当に忙しい。
だから、事前準備や後作業の時間を奪いたくなくて、ぶっつけ本番でのインタビューを実施しました。
ってことで『First Take』というお名前を借りて、15分のインタビューを実施し、その動画を部内に配信する。
企画の概要は次のようなものでした。

  • 実施頻度: 月に2回

  • 所要時間: 30分(はじめ5分で趣旨説明。その後の15分間は私の質問に答えてもらう時間。最後は2人で感想戦)

  • 配信方法: インタビューの15分間だけzoomの録画を実施し、出来上がった動画をSlackの部門チャンネルにポストする

  • 質問内容: その人の強みに関する2つの質問。答えていただいたことにも、深堀りする質問を投げる

  • 締の一言: 最後に、部門のみんなに対してメッセージを話してもらう

 インタビューをしてわかったこと

身内のこととはいえ、ぶっつけのインタビューなんて皆さん緊張して話しにくいかな?って思ったのですけど、そこはご自身の仕事に関することですからね、杞憂でした。
もちろん、アイスブレイクとか気は使ったけれど、真剣に仕事に取り組んで際立ったその人の強さに対して、こちらが誠実に問いを投げれば、説得力に満ち溢れたお話を返してくれました。

強みの裏にはバックグラウンドがある

皆さんそれぞれの強みについて訊いていくのだけれど、

  • 「どうしてそんなことできるんですか?」

  • 「いつからですか?それとも、生まれたときから?」

  • 「逆に、この観点で苦労したこととかありますか?」

そういう質問を投げると、皆さん、その強みを得た経験・エピソードを必ず持っていた。

詳細は、当然、社外秘の話も交じるし、匿名とは言えnoteという公の場に書くことは控えたいのですが、
でもやっぱり、その人が懸命に歩んできた経験を垣間見れることは、とても贅沢なことだと思いました。
現職の一部門でのことだけど、きっと他の部署、他の会社でも同じじゃないかな。

インタビュワーとしての学び、気をつけたこと

ここで、個人的なふりかえりも。
できるだけ有意義なインタビューにするには、次のことが大切だと思いました。

  • 事前の準備。取材

  • 改めて、相手へのリスペクト

  • 目的の共有と空気づくり

事前の準備。仲間の強みワークショップ

社内IT部門に加わってすぐのことだったので、全員の強さを理解していたわけではありませんでした。
幸い、メンターとして、毎週お話をさせてもらえた方がいたので、そこは、その人の力を借りつつ。

30分間の1on1で、ただひたすらに、同僚の強み・良さを語っていただきました。

改めて、相手へのリスペクト

当たり前のマナーだと思うのですが、

  • 忙しい中で時間を割いてくれている

  • 人によってはやりたがらない「自分語り」を強要している

だからこそ、相手への敬意は、正しく伝わるように表現する努力をしました。

目的の共有と空気づくり

また、施策の目的「皆の強さを見える化して、強みの化学変化を起こす」ということは、丁寧にご説明し理解を得てから、インタビューに入りました。

あと、緊張は解きほぐしたかったので

  • 「上手に訊き出すのは私の責任なので、大船に乗ったつもりでいてください」

  • 「ただ、冒頭ひとボケ入れるのでw よかったらご協力くださいww」

そんな話をしてからインタビューに入りました。
(これも詳細は割愛しますが、冒頭のツカミ芸、みんなすごかったなww)

本題「人は質問に答えるのではなく、文脈に従い話している」

最後になっちゃったけど、タイトルにも書いた、この話の本題です。
これは予め狙ってやってたことじゃないけど、「やっぱり良い話を引き出したい」って想いが前に出て、質問にも力が入ったんですよね。

「〇〇さんの仕事を見てると『そんなのできません』って言えばいいところ、『要望自体は応えられないんだけど、きっと□□で困ってるんだよね。それは解決してあげたいなぁ』っていう言葉が出てきたり。ドライでいるようで、優しさがにじみ出てるっていうか。そういう対立する考え方の両立ってなんでできるんですか?」

みたいに、質問がすごく長くなってしまう。

改めて思い返しても、イケてない質問だと思うけどw
でも、正しく文脈が伝われば、ちゃんと訊ねたかったお話をしてもらえるんですよね。

「好きな食べ物はなんですか?」

例えば、僕が同僚の女性に「好きな食べ物はなんですか?」と訊いたとします。
「えっ、私、結婚してるんで」って答えが返ってきたら、変だと思いますよね。

でも、そうじゃない場合もある。

私、カルテットというドラマが好きでした。男女4人を主人公にした群像劇。

その中で、主人公の一人(男性)が、別の主人公(女性)に「好きな食べ物はなんですか?」と訊ねるシーンがあるのですけど。
他の2人が、「あ、それって、好きな異性をデートに誘う前にする質問ですよ」って冷やかすんですね。

この話をしていた直後に、「好きな食べ物はなんですか?」って、私が既婚の女性に訊いていたら、「えっ、私、結婚してるんで」って返って来ても不自然さはないですよね。

人は質問に答えているようでいて、実は、その時々の帯びる文脈に従い話している。
逆に言うと、質問に答えてもらう前に、丁寧に文脈を作ることができれば、質問が下手っぴでも良い話をしてもらえるのだと、このインタビュー体験で学びました。

「片思いは夢の話。両思いが現実なの」

カルテットのもう一つ私の好きなセリフ。

ダイエットしてるとね、好きな食べ物も控えたほうが良いかなとか思うんですよね。
もう、君とは片思いだから。夢の話にします。

今日の体重

81.5kg

これが多いと受け取るか、少ないと受け取るか、それもきっと前後の文脈しだいです()

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