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自分の能力を低く見積もるクセへの特効薬

4月だからだろうか。最近、「んぬトーク」でお仕事の相談をしてくださる人が増えた。

皆さん、話し始めは結構暗い。自分は仕事ができない、できることはあるけど少ない、レベルが低い、どうせ誰にでもできる、だから価値がない、自分なんかにできることは大したことないに違いない。そう話す。

でも、よくよく話を聞いていくと全くそんなことはなく、着実に努力を積み上げた痕跡がありありと見えてくる。迷いながら、悩みながら、一生懸命考えて向き合ってきたんだろうと思う。あるいは、心を決める前にことが進んでしまって、流れに倒されないように必死だったこともあっただろう。

だからといって、「えー!自分のできることに自信なさすぎだよ!自信持ちなよ!」とこちらから伝えたところであまり意味がないことは、私が身をもって知っている。ので言わない。

自信なんか、持てと言われて持てるようなら誰も苦労しないんだから。

ではそんな時私はどうするかというと、全く同じ気持ちだとは言わないが、私も近しいかもしれないと話すことがある。

実際、私は「自分はどうせ無能であり、自分ごときにできることは人類皆できて当然で、いつ私が消えても誰も何も困らない。せめて人に迷惑をかけないように、願わくばこれまで迷惑をかけてきた分少しでも返済してから死なないと」といった具合の、泥茶色の自己認識だった。

せめてと自分の欠点・汚点を埋めるために努力すればするほど、一方で肩書きは思った以上にご立派になっていった。

今でも、肩書きと実態のギャップに自分でげんなりすることがある。
御三家と呼ばれる名門女子校を卒業し、一応名の知れた国立大に通い、修士号をとり、外資系の大企業に就職し、セールス賞なるものも2回ほどいただき、プライベートで始めたSNSが多少伸びてたまにインフルエンサーと言われたりもして、スタートアップに転職して起業も…と、側から見たらなんだか凄そうな鎧を持っている。(詳しいキャリアはこのnoteにまとめています↓)

でも、私が一番、私がいかにポンコツで不完全で穴だらけかを知っている。自分だから、全部見えてしまっているから、誰よりも自分のダメさを認識している。目を背けたくても背けられないし、見なかったことにもできない。

そんなわけで、外界に評価されればされるほど、自分が詐欺師のように思えた。世を騙している罪悪感でいっぱいになった。

(読んでいるだけで気分が悪くなる方もいらっしゃるでしょうが、私の自己認識は上記の通りかなり長い間低空飛行だったんです。)

自分にできることを卑下しがちな私の転機は、後輩ができたことだった。

頑張り屋さんの後輩が、「これこれができるようになりました!」と嬉々として報告してくれた中身は、いつかの私が苦労してできるようになったことであり、今では当然のようにこなしていることだった。

「その程度のこと」と鼻で笑う気には一切ならなかった。

「よく頑張った!!!」と心から思ったし、私も嬉しかった。

その時、「あぁ私は自分ができるようになったことを過小評価する癖があるんだな」と気づいたし、「この先、何か自分にできることを卑下しそうになったら、この可愛い後輩ができたと報告してくれた時に果たして鼻で笑うのだろうかと考えるようにしよう」と決めた。

自分のことになると異常なまでに厳しくなってしまう自分を認識したので、手放すことを決意できたわけだ。

セッション時、クライアントに必要に応じてこの後輩の話をすることがある。大体、皆さんハッとして顔がほぐれる。



コーチング含め、この半年余りで200人近い人の様々な話を聞いてきて思うが、何かしら悩んだ時、落ち込んだ時、それが大切な人だったら何て声をかけるのか?と一度(大切な)他人を挟むことで解決するケースのなんと多いことか。

自分が自分であるせいで、「客」ではないので客観視が難しく、そのせいで苦しい。もはやそれは仕方のないことだと思う。

でもできたらそんな人に試してほしいのが、生きやすくなるための特効薬「一旦大切な他人に置き換える」。


先日のセッションでは、自分にできることは大したことないので人の役に立っている実感がなくてつらいと話していたクライアントが、後輩に置き換えたら「よくやってるなぁ!すげぇよ!」と言いたくなりますね、と笑っていて、聞いている私はちょっと泣きそうだった。いい笑顔だった。

こういう瞬間があるので、コーチング含め「んぬトーク」は私にとっても大事な時間になっている。

コーチングに関してはもっともっと上手くなりたいな。


つらつらとふと感じたことを書いてみました。やっぱり文章を書くのが好きなので、これからは短くても頻繁に書いていこうと思います。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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