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なんかある・なんかない・なんかあるまえに

交番に行った。
朝からちょっと不審な人が近所を何時間もうろうろしていると近隣の年寄りたちが騒いでいて、
「どうなん」と思いながらもとりあえず伝えにいこうかといや行かされた。何日も前の話。

不在だったので備え付けの電話をかけると
「今巡回中なので戻り次第……」あ、戻るまで待てと?
「お電話をさしあげますので名前と電話番号を」なんや大ごとみたいやな嫌やな。
「では戻りましたらその番号にお電話します」はいはい。
15分後くらいにかかってきた。「戻りましたので今から交番までお越し頂けますか」
え、そっち? もっかい行けと? 電話で伝えるんとちゃうん?
「どれくらいお時間かかりますか」いや、今すぐ参ります。参りますけど。
「お待ちしております」
なんか色々めんどくさっ。
 
出向くと若い女性の警官が居た。「あ~、さっきの電話の~。なんですか~」軽いな。
詳しく話す。
数時間このあたりを徘徊し、じっと立ち止まったりしていること。(わたしも見た)
間違いとか警戒のしすぎかもしれないけど、と付け加え、
年寄りたちが不安がっていて、ということも言い添えた。
わるいひととかでなくても、もしかしたら、うろうろしてしまっているひとかもしれないし(だいぶ年齢も年齢そうだったし)、どちらの可能性もあるかもしれないし、念のため、と。
「う~ん。でもなんかあったとかじゃないんですよね」いや、ないけど。
中年の男性警官が奥から出てきた。
「危害を加えられた~とかじゃないんよね? 徘徊してるだけやんね?」うん、そうやけど。
「どんな人やった~?」更に詳しく話す。
「あ〜、僕も見たわ。さっき。小学校とか覗き込んでたわ」
「あーー、私も見たかも、その自転車にゴミとかいろいろ積み込んでうろうろしてる人ですよね」「見た見たー」「あー」
若いひとは「あー」を繰り返し、中年のほうはなぜかずっとタメ口。てか見たんや巡回中に。
「でも何もされてへんのやんね? された人がいるとかじゃないねんやろ?」されてないです。「あ~」「あー」あー?
「うん、じゃあ、こうしよ。何かされたり、されてるんを見たりしたら、また来て。もうちょっと見てよ。で、なんかあったらまた来てよ教えてよ。うん、それでいこ。うん。はーい」
切られた。釈然としないまま帰ることになった。うん。はーい?
 
何も起こらなかったから、よかった。何も起こらないのは、よかった。その後も、起こらなかった(と、思う)
だから、わたしや近隣の勘違いや勝手な決めつけ思い込みだったのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
だったらごめんね、ほんまにごめん、そのひと。むしろ、大丈夫だった?
と、ここで謝ったり、気にかけてみたりして、いや、届かないけれども。
 
でも考えたりする。
 
なんかあったらあかんからなんかある前に来た。
なんかないとなんも出来ひんかもしれへんそりゃ。
けどなんかあってからでは遅いんやないんか。
なんかある前になんかもうちょっと出来るなんかを考えたり考えようとしたりもしてくれてもあかんことはないんやないか。
それは仕事なんとちゃうか。
判断は、とても、難しいけれど。
少なくとも「あー」と軽いタメ口はどうなんかなあ。
ってこれはわたしが二度も来て電話も受けての色々面倒くさいのを経てのこの対応でと思ってしもてるからかな。やな。それはある。でもそれだけやない気もする。
 
なんもないならなんもないがそれが何よりいいねん。
なんもないようにせんとあかんねんで。
出来んでも、出来るように、考えたり、うごいたり。
なんもないために。
 
っていうことは今回のことだけじゃなく、
おおきなことちいさなこと、
物理的なこと心理的なこと、
誰かのこと皆のこと、
いろいろなことに、考えたりもして、
ちょっとあたまに置いておきたかったり。

なかなかに、なかなかやけれどもね。


ちなみにこの2人の警官はこのときと同じ2人だったっ。


これは似たような、真逆なような、でもたぶん同じ(ような)話。


◆◆◆
以下は、すこしだけ自己紹介 。
よろしければお付き合い下さい。

構成作家/ライター/コラム・エッセイスト
中村桃子(桃花舞台)と申します。
大衆芸能、
旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。

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