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レーザービームと究極の美学/旅芝居の舞台から

先日ふらりと観に行った劇団がギラギラだった。
口上挨拶の際からプチ覚悟はしていた。
「舞踊ショーではレーザービームを使いますからね。
目に悪いので直接見たりはしないで下さい」
踊っている最中もギラギラちかちかやかましいのだが、
出番と出番のあいだの「つなぎ」、
踊り終わった役者がハケて、次の役者が出てくるまでの間、
これでもかこれでもかとギラギラぴかぴか。
ここまでのギラギラちかちかは初めて観たかも?!

近年の旅芝居・大衆演劇では、この劇団のように、ギラギラちかちかに力を入れている劇団が多い気がする。
舞踊ショーにおけるこういった「オカズ」に全力をそそいでいる劇団がとてもとても増えた。
研究しているのだろうなあ、と思う。
かつては劇団☆新感線、近年ではEXILEや韓流アイドルのコンサートのDVD?!

いや、あかんとかじゃないねんけど、
私も、劇場と舞台の内容と演者と照明や雰囲気が全部ぴったりバチッと決まったとき・瞬間は(は!)めっちゃ好きでめっちゃ嬉しくて、
だから照明って大事やなっていつも思ってるんやけど。けど。

あと、幕もだよね。
舞台幕。背景幕。あれは10数年前から出回りだした。
劇団名と座長の顔がどーーん。当時の私たちには衝撃だった。
写真を撮りたい友人は「……」となっていた。
が、もう定番化した、あの品のない、もとい、劇団と名前をPRする幕。
(着物に名前が書いてあるのとかと同じく)
と、思ったら、なんだ、ツッコみどころの多いものも増えたなあ。
古典文学幕、ヤンキーの特攻服のような詩が書いてある幕(そもそも旅芝居=ヤンキー説(いい意味)は永遠に健在)。
誕生日や記念の会に役者同志であの幕、斬新な幕を寄贈し合うのも定番化したりしていて。

かくして私たちは舞踊ショーに行くと照明だの幕だのを観ることとなる。

いや、いいんですよ。
違う、それくらい苦しい時代やねん。
劇団数も増える、客の取り合いになっている、
ひとりでも多くのお客さんに名前を覚えて帰ってもらいrepeatしてもらわなくてはならない。
舞踊ショー中の自分たちのテンションをあげたい。
毎日毎日毎日ある舞踊ショーをCoolにやりたい。
でも、私は観終わって、頭の中に舞踊の内容が一切残っていなかった。
帰路、脳裏によぎるのはあのちかちかギラギラのみ。
友人に笑いながらLineをしたら返事がきた。「レーザー観に来た?」 「それや!」

照明だけ派手すぎる照明。主張しすぎる幕。派手な衣裳。装置。演出。華やかさは旅芝居の華。スーパー旅芝居。
否定はしない、全くしない、そこが(そこだけが?!)売りの劇団もあるし。
他劇団との差別化や、個性を出すには、大事だし、華やかだと楽しい。
物配ったり、舞台以外のことをやるよりもいいのかも?!

でも私は、私個人としては、芸が観たい、その人を見たい。
そういう劇団がお客さんを呼び、そういう劇団がばかを見ない世界であってほしい、厳しいのはよくよく知っている。
でも役者やん。舞台をする人やん。見せる人やん。そうあって欲しい、これも客の理想で業やなあ。

みんなしんどい。劇団も役者も、ムムムな興行師(?!)も、更に、おべっかよいしょする関係者や会社も、皆、しんどい、皆、本気やし、皆必死や今。
そんな中、あの華やかなライトは、デカデカと名をアピールする幕は、
生きるための必死さとそれでも「熱と汗」で日々の舞台をみせる旅役者たち、
今を生きる旅役者たちの、滑稽かもしれないが、本気、熱の、生きるさまのそのものなのかも。ぎらぎら、ぴかぴか。ちかちか、ぎらぎら。

今も昔も旅芝居界で最もお客を集める座長(現役)が若い頃語っていたらしい。
「立ち(男姿)の踊りで着流し一枚、役者の芸が見せられるのはこれだと思う。まだまだだけれどいつかこの境地にいけたら……」
今もそう思っておられるかな。
でもこれ、だからこれ、やっぱ、究極の美学やなあ。ストロングスタイルやな。
あ、これ、舞台も、人間も。
舞台や役者の話やこの人どうこうやなく、だけやなく、
人間のあり方?あろうとし方?みたいなこととしても。
ああ、私もまだまだ、まだまだです!

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大阪の物書き、
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/
大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中。
演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化も好きです。
現在、女2人の酒場巡りを連載中。
現在第10回(New!!) 

そして、あたらしい連載「Home」。皆の大事な場所についての文章です。こちらもぼちぼち進めます。

ふだんはラジオ番組の構成などに関わっています。
現在の主なものは、AMの懐メロリクエスト番組。(昭和1桁〜50年代歌謡)

旅芝居・大衆演劇関係では、各種ライティング業。
文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、
各種文、台本、役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。あ、小道具の文とかも(笑)。
担当していたDVD付マガジンは休刊中。
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