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旅芝居・一番綺麗な私を

『一番綺麗な私を』という歌、御存じでしょうか。
調べてみたらリリースは2010。でも未だに旅芝居で踊られている。
 
旅芝居・大衆演劇と中島美嘉の関係は結構密接。
四季が織り込まれている歌があるのも(例えば衣裳的にも)おいしいのかも。
 
今シーズンで言うと、『雪の華』。徳永英明のカバーバージョンも流行ったなあ。
 
オルゴールのイントロが流れ、本編に入るあのタイミングが、
ショーの登場の際のアナウンスがされ、
役者が出てくるのにぴったりの尺(長さ)なのかもなと思います。
 
なにより、歌詞も盛り上がり方もエモい。

リズム的には一切、
いっっさい、
日舞っていうか
舞踊で踊れるリズムじゃないのに、
でも「キメっ」「俺かっこいいやろ?」にぴったり。
 
盛り上がって盛り上がったところで「ただ君を愛してる」やもん。泣くよね客席。
 
『雪の華』って、
いまだに「冬に聴きたい名曲」として
レミオロメンの『粉雪』と並んで人気の1曲でもあるのだそうで、へえー。

 流行った頃から声を大にして言っているのですが、
『粉雪』って演歌やん? 違うけど。
イントロからサビまで盛り上がってゆく流れと絶唱、
まさに『津軽恋女』の兄弟レベル。
某名門と言われる座長が旅芝居でお馴染み謎のフード付衣装で
『粉雪』を踊ると客席が涙ぐむという現象があった。
もう若くない今は踊っているのかどうかは知らないけれど、
あの頃客席の片隅で私はずっと「それ、役者の力ちゃうで、曲の力やで」って思ってた(笑)

『一番綺麗な私を』のサビの盛り上がりへ行く感じとタイミングは『粉雪』同様かそれ以上に劇的。
本舞台から花道へ行くのが見えるよう。
女形であざとすぎる切ない表情を客席に向けるのが目に見えるかのよう。
 
なにより歌詞。春夏秋冬、夢芝居。
 
聴けば聴くほど旅芝居にぴったりだなあ、そりゃあ使われるわなあ。
 
ドラマの挿入歌であったからか
最終回ではまさかの歌舞伎の中村七之助が旅役者の女形に扮したせいもあるからか、でも、今でも踊られているのは、うん、納得。
 
私的には、
昭和平成の旅芝居をメジャーにしたスターであるド派手座長のものが忘れ難い。
早乙女太一よりずっと以前の時代の寵児、まだ現役。電飾衣裳の先駆者。
でも電飾を着ようと衣裳より本人のオーラと目力が勝つからすごい。
彼のこの歌での舞踊は色気とかエロとか切なさとかを逆にもう越えていた。

そんな色々漲っている大スターなのに客の情を引き寄せるのも巧くって。

舞台で毎年のように言う。
「もう体がぼろぼろなんですよー」
「もうこの大きな劇場に乗るは今年で最後にしようかと思っていてねえ」
きっと全部本気の本音。
つい「無理せんとって下さいよー!」って声かけてしもたら
「いやー、もぉー、限界やわー。ありがとうなー!」ってめっちゃ笑顔で。

ちょっと痩せながらも、今も舞台でぎらぎらしてる。

この人は同じ時期に立ち(男姿)で長渕剛の『蝉』っていうのを踊っていたりして、だから印象深かったのもある。

蝉、そう、蝉。ストイックでムキムキになった長渕の『蝉』(2009)。
これも当時から今まで旅芝居の「テッパン」なんです。

嗚呼、武士道、ストイック、長渕、陶酔、色気。
長渕と旅芝居の関係は本当に興味深いテーマ(過去記事)で
劇場で流れると私はいつも笑うのだけど、
この歌『蝉』は特に笑う。とんぼちゃうで蝉やからな。

あ、今日は長渕じゃなく中島美嘉の話?
 
〝一番綺麗な私を抱いたのはあなたでしょう〟

この業界で使われてるの、笑えなくない?
 
いや、直接的な意味じゃない。それもあるかもしれないがそれは知らない。
 
一番綺麗な私って? 何? いつ?

毎日毎日毎日「きれい」「かっこいい」「イケメン」「推す」とか言ったり言われたり。

毎日毎日毎日が舞台でたくさんの人が入り乱れて。

寄ってきたり、去っていったり。

そりゃ信じられなくのもあるよなあ、お互いに。
 
でも生きていかなくてはの幕が開く。
 
舞台に立つこと、見せることで、生きていく。
 
同時に、お客さんにも自分の生活や人生がある。
 
一番綺麗な私、は、誰だ。いつだ。なんなんだ。
 
みんな、うぬぼれ? いや、やっぱ、蝉なのかもしれません。

ちなみに蝉は、ショッキングピンクならぬショッキンググリーン、
緑色の鬘で踊っていた。漲ってた。滾ってた!
 


似たようなことを以前にも書いたなーと思ったら「酒」話でした。


なぜ今日この話が出てきたのか。
特に理由やきっかけはないが昨夜書いたまま放っていたのでアップ。
実は『うぬぼれ刑事』は観ていない。観よう。

絢香、HY、中島美嘉……
旅芝居舞踊エモいシリーズになってきましたが、
一番エモいのはやっぱ長渕(笑)
ある役者が
「『遊侠三代』のラストに『しょっぱい三日月の夜』を流してたんや」
と話してくれたのも笑った。
エモいシリーズ、次は誰だ。平井堅かな、これもめっちゃ語れます(笑)




以下は、ちょろっとですがいつもの自己紹介 。
と、苦手なりにもSNSあれこれ紹介、連載などなどの紹介!!も。
よろしければお付き合い下さい🍑✨
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大阪の物書き、中村桃子と申します。 
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
普段はラジオ番組の構成や資料やCM書きや、各種文章やキャッチコピーやら雑文業やらやってます。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中です。
舞台、演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。酒場好き。いや、劇場が好き。人間に興味が尽きません。

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と、あたらしい連載「Home」。
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2023、復活。先日、新作が出ました🆕

以下は、過去のものから、お気に入りを2つ。

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役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。
あ、小道具の文とかも(笑)やってました。

担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、
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(貴重映像ばかりです。私は今回のアップにはかかわってないけど)


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