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ろくなもんじゃねえ/旅芝居と長渕剛

先日、思い出して長渕剛を色々聞いていた。
日曜のNHKのど自慢で『俺らの家まで』を歌う人を観たからかもしれない。
旅芝居の舞踊ショーを長年観ているとかなりの確率で聴くことになる。
五木、石川、そして長渕。
全国各地でいろんな場所いろんな劇団で毎日何曲使われているんだろう。
中でも長渕はかの業界にはぴったりで、もはや古典落語の演目並みに「テッパン」だ。
旅芝居との親和性を考えるに興味深いthemeだとも思っている。
「成り上がり」「男らしさ・マッチョさ」「かっこいい俺」「俺が俺に気持ちよくなれる歌詞とメロディー」
「死にたいくらいに憧れた花の都“大東京”」「蝉が泣くチキショウと」、ああ一匹の侍菊一輪の骨お釈迦様、遥か長い道程を歩き始めた俺に幸せあれ。
気持ちよく踊る役者とうっとりな客席に遭遇するたびに、
ゾワゾワッとした寒気のようなものを感じ、笑いながらも、感心してしまう。
で、私的には、好きではないけれど、秘かに注目をしていたりもする。

『俺らの家まで』は初期の作品だ。
ムキムキマッチョな三島もどきの長渕ismは影も形もなかった頃の。
ちょっとフォークやカントリー調の明るい曲で、若さが光る明るく眩しいノリ。
でも歌詞を聞くとサイテー。
浮気をした主人公(長渕自身?)が彼女に謝りながらも、でも「来いよ来いよ🏠♪」。
何の解決にもなっていないし言い訳ばっかりだし
家に来いということは反省もなく結局そういうことだろう、最悪すぎる。
でも、いつぞやの桜島ライブだったかの映像で、
客席が一体となって全員でサビ前からサビを歌うさまを観てなんだか笑ってしまった。
めっちゃ楽しそうなのだ、サビを皆で一緒になって歌うさまが。
こんなサイテーな歌詞を明るく、めっちゃ一体感、あかんねんけど、熱くて、よかった。

長渕と旅芝居の舞踊といえば忘れられない役者が居る。
関東の劇団の役者だ。
その頃関東劇団は今のように関西をあまり回っていなかったので、
私が目に出来たのは数回しかない、でも、印象深かった。
センターのポジションではない、脇の、脇に居る巧い役者として、
若くもベテランでもなくキャーキャー言われる感じでもなくやっていた。
でも、芝居にも、舞踊の選曲にもこだわる人だった。
時折Blogも覗いていた。
日常と舞台へのこだわり、好きなスワローズの話と飲酒の記録。
投げやりノーフューチャーに本音と愚痴が並んでいた。
でもね、だからだろうか。妙な色気が漂っていた。
センターでうぇいうぇいやってる座長や若い役者よりも、だ。
そのさまを〝お疲れセクシィ〟と例えたら、
長年関東で旅芝居を観続けているお客さんが非常に納得してくれたりもしたのだけれど。
彼が踊っていた長渕が忘れられない。
イケイケ・男らしさ・マッチョな長渕songじゃなかった。
初期の、幻のデビュー作と言われた『雨の嵐山』で、
赤い着物にコートを着て、遠くを見つめていた。目が、きらりと光ったのが、いろっぽいな、とちょっと思った。
今、彼はもう旅芝居の世界に居ない。どこに居るかもわからない。
劇団のお金に手をつけて、なんていう噂も聞いた。
噂は噂。でも「そうかも」と思わせられるなにかもあった。とても。

今日も全国の芝居小屋で温泉センターでうぉううぉうと叫ぶ長渕の音楽で
格好良く決めた役者たちが踊っている、客席は見とれている。
ともすれば芝居のBGMにも度々されていて
超気持ちよくヤマをあげてウォウと台詞を言う役者のバックで長渕がウォウウォウ言っていて、客席は泣いている。ろくなもんじゃねえ、全く,。



明日はちょっと大事なお知らせというかご縁あるお誘いをいただき、某芝居小屋へ。
歴史と想いとガチンコを観てまいります。予定です。

10月、なんか色々ばたばた動く予定多々で今からもうビビってる。

秋。皆さんもお体お気をつけて!


■omake①■
過去にもなんぼも書いてた。毒されている(いた)のかもしれませんね。

(↑ この後、倒れられ、リハビリをされ、今は舞台に復帰。新しい劇場も建てられた。やはりレジェンド)

■omake②■
初期の長渕songといえば、
「俺らの~」と同時期の歌『春待気流』を踊っていた役者の舞台も忘れ難い。
こちらも今の長渕とは違って明るいフォーク調で、
前向きで、きらきらした若い一途な想いを歌っている曲。
おば、失礼、謎の女優が踊っていた。人気座長の大盛り上がりの誕生日公演の最後の「つなぎ時間」に。ノリノリでツイストみたいにステップを踏んで。
これも忘れられない舞台のひとつです。
謎の女優さん、一時消えたか、どこに行ったのかなって思っていたら、また舞台に立っているみたい。謎の女優さんが、ノリノリで、ステップを。色々な旅芝居の世界で、こういうの、見られると、私は、うれしい。

そして、文中の役者は、このひとです。


◆◆◆
以下は、ちょろっとですがいつもの自己紹介 。
と、苦手なりにもSNSあれこれ紹介、連載などなどの紹介!!も。
よろしければお付き合い下さい🍑✨
ご縁がつながったりしたらとても嬉しい。

大阪の物書き、中村桃子と申します。 
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
普段はラジオ番組の構成や資料やCM書きや、各種文章やキャッチコピーやら雑文業やらやってます。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中です。
舞台、演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。酒場好き。いや、劇場が好き。人間に興味が尽きません。


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秋。体も気持ちもしんどくなりがちやけど。皆、無理せず、どうぞどうぞ、元気で。


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