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フォロワーさんのアイデアをくるんで葛まんじゅうをつくったはなし。

 はじまりはフレンチトーストでした。

 笑わせるセールスマンさんがGW中にコーンスターチを使用したお菓子の記事をいくつか投稿されました。その中のフレンチトーストの記事にコメントしたところ、こんな返信が。

記事のコメント欄

――「これはアリだな」と思いました。

 笑わせるセールスマンさんの記事はこちら↓


「和洋水菓子」をどう実現するか

今回の菓子の定義

 まず「和洋水菓子」の完成形を考えます。

 笑わせるセールスマンさんの製菓投稿と「葛切りでコーティング」という記述から、生地は「過熱したデンプン質」と判断。

 また、実際の葛切りのレシピを見る限り、葛切りの中に何かを挟むのは困難です。
 「コーティング」から想像される状態と合致する水まんじゅうであれば実現可能でしょう。

 カスタードクリームの入った葛切りにカラメルシロップかけて食べると凄く美味しそう、って思うんですが。
 葛切りにカスタード別添えでもいけますかね?

 また、一般的に「カスタードケーキ」と呼ばれるものは「スポンジ生地の中にカスタードクリームを詰めたお菓子」です。

 個人的にはつるんとした水まんじゅうの食感とスポンジ生地は相性が悪そうだと思うので、カスタードクリームのみがいいでしょう。

 よって、今回つくるのは「あんこの代わりにカスタードクリームを包んだ水まんじゅう」とします。

 笑わせるセールスマンさんのイメージは下記リンク先をご覧下さい。ミルクレープもいいなぁ。

事前調査と材料調達

 つくる前に調べるべきは下記2点です。

  1. 水まんじゅうのレシピ

  2. あんこの代用ができるほど固いカスタードクリームのレシピ

 1. は製菓材料専門店の富澤商店のキットを買ってあんこだけ別のモノに転用すればいいですが、2.はちゃんと意識して調べないとスキマからクリームが流れ出るシロモノになりかねません。

 そこで見つけたのがこちらのレシピ。

 フルーツタルトの土台に使えるということはかなりしっかりしたクリームです。分量に書いてある「クリームパン10個分」というのもフィリング詰め物性能が高そうで期待が持てます。

 卵白が2つ余りますが、別のお菓子を作ればいいでしょう。

 カスタードクリームは家にあるもので作れるので、富澤商店に水まんじゅうのキットを買いに行ったのですが――

 あれ? 普通の葛粉めっちゃお安くない?

 この瞬間、作るのは水まんじゅうではなく葛まんじゅうになりました。

 水まんじゅうは葛粉とわらび粉両方が必要なのです。葛まんじゅうの方が材料的に葛切りに近いんだからオッケーオッケー(後付け)。

 葛粉と銘打ってはいますが、さつまいもデンプン100パーセントの商品です。今回は実験的な側面もあるので本葛や本わらび粉を使うことは最初から考えていませんでした。


カスタードクリームづくり

カスタードクリームの材料
葛まんじゅう用なのでバニラオイルは抜いた

 まずは冷やし固める必要があるカスタードクリームから作ります。

牛乳以外の材料を混ぜる

 ボウルにグラニュー糖をはかり入れ、卵黄2つを加えます。

白身は一個分ずつ分けた

 白身は考えあって1つずつ別の容器に分けて冷蔵庫にしまいました。

砂糖と卵黄を混ぜ合わせる
めんどうなので全部キッチン秤に載せた

 ジャリ感が無くなるまで砂糖と卵黄を混ぜ合わせたら薄力粉を追加します。

 薄力粉はふるいにかける必要があるのですが、私は卵液のボウルを秤に載せて小さなザルで小麦粉を少しずつふるい入れ、規程の重量になったところで止めました。

 粉ふるいそのものがめんどうな人は上のような薄力粉を使えばいいと思います。

泡立て器を立ててボウルの底をこするように動かす

 薄力粉の混ぜ合わせかたは書いてなかったのですが、一般的な泡立てではないだろうと判断し、空気を含ませないように混ぜました。

温めた牛乳を加える

牛乳を火に掛ける
この状態になったら火を止める

 続いて牛乳を鍋で温めます。鍋の縁に小さな泡が「ポツポツ」ではなく「連続して」発生するようになったら火を止めます。これ以上は沸騰させてはダメです。

卵液に温めた牛乳を加える

 この牛乳を2回に分けて卵液のボウルにそそぐのですが、初回は半分より少なめにして泡立て器でよく混ぜてから残りの牛乳を入れました。

 粉類に液体を加える場合の「少しずつ入れる」と同じくダマの発生防止が狙いです。ボウル側がなめらかな液状になったら残りの液体を一気に入れます。

火に掛けて混ぜる

卵液と牛乳が完全に混ざった状態

 これでカスタードクリームの素ができましたので、鍋に戻して中火に掛けます。

濾しながら鍋に戻す

 鍋にカスタードクリームの素を戻す際にす必要があるのですが、やっぱりめんどうなので良く洗った足付きの小ザルを鍋に置き、その上にボウルの中身を注ぎました。

火に掛けているあいだはずっと混ぜ続ける

 いったんコンロを点火したら、カスタードクリームの完成まで決して手を止めてはいけません。

 なので写真撮影はすごく難しかったです。

混ぜると鍋の底が見えるようになったら弱火にする

 しばらくするとシリコンベラを動かすたびに鍋の底が見えるようになるので、弱火にして更に混ぜ続けます。

完成したカスタードクリーム

 全体が滑らかになり、シリコンベラを動かすとタプタプ音がするようになったら火を止めます。

カスタードクリームを冷やす

クリームをバットなどに広げてラップできっちり覆う

 できたクリームをバットに流し入れて広げます。うちには適切なサイズのバットが無かったので、野田琺瑯のレクタングル浅型Lで代用します。

 痛み防止のためにクリーム全体にラップを掛けます。見ての通りお世辞にも平らな表面ではなく、凹みのところに湯気が溜まるのでそれを追い出しながらラップとクリームを密着させました。

でかい保冷剤を載せて粗熱を取る

 粗熱を取ったら冷蔵庫に入れて冷やし固めます。この間に洗い物を済ませておくと効率的です。

冷やしたカスタードクリーム

 よく冷えたら葛まんじゅうに使うぶんを切り出します。野田琺瑯をまな板の上で逆さにしたらラップごとペロンと剥がれました。

プルプルしているが切りやすい

 冷えたカスタードクリームはプルプルでコンビニの焼きプリンぐらいしっかりした固さがあり、切るのも簡単。これなら葛まんじゅう生地で包んでも作業中にクリームがはみ出る心配は無いでしょう。


葛まんじゅうづくり

材料はこれだけ

 中身が完成したのでガワのほうを作ります。最終的に参考元に選んだのは下記レシピです。

 レシピには白砂糖を使うとありますが、現在うちには料理用のきび砂糖と製菓用のグラニュー糖しかないのでグラニュー糖で代用します。

材料全てを火に掛ける

材料全てを鍋に入れた状態

 葛まんじゅうの作り方は非常にシンプルで、材料全てを鍋に入れて火に掛け、ひたすら混ぜ続けるだけです。

火を点けた直後の状態

 カスタードクリームと同じく、火を点けたら完成までずっと混ぜ続けます。

 鍋はテフロンなど貼り付きにくい加工がされたものを強くお勧めします。

だんだん透明な部分が増えてくる

 火の通り具合はカスタードクリームより判りやすい。

完成した葛まんじゅうの皮(でいいのか?)

 全体が透けてひとかたまりになったら完成です。

 包むのに時間が掛かって葛が冷えるのが怖かったので、とろ火用のコンロで保温することにしました。

――が、火が強すぎました。火力最小にしておけば……。

これはこれでモチモチとパリパリが同居してて美味しかった。

葛でカスタードクリームを包む

広げたラップに霧吹きで水を掛ける
ラップに葛を置いて広げる

 葛で中身を包むにはラップを使用します。ラップに霧吹きで水を掛けるかどうかで扱いやすさが段違いだったので、レシピ考案者さまには足を向けて寝られません。

包みきれなかったカスタードクリーム

 葛まんじゅうの生地は濡らしたシリコンベラでも相当に伸ばしづらいため、当初想定していたカスタードクリームの量では葛で包みきれませんでした。

半分に減らした量のカスタードクリームを葛に置く

 そこで、クリームを半分に減らしてみたところ、良い感じに包むことができました。

カスタードクリームをすっぽり包んだ葛まんじゅう

 ラップで包むだけではカスタードクリームをうまく覆えない場合、ラップを絞る直前の状態で、濡らした指で葛を引き上げましょう。
 最初の1個はクリーム量がそれ以前の問題でしたが。

葛まんじゅうを氷水で冷やす

 ラップで包んだあとは氷水で冷やします。葛まんじゅうは冷蔵庫で長時間保存すると皮が白くボロボロ状態になるので、作る数は一度に食べきれるぶんだけにしましょう。

 参考レシピでは失敗ぶん含めて5個できました。

 葛まんじゅうを冷やしている間に洗い物を済ませておきます(デジャヴ)。

鍋にお湯を張って火に掛け、貼りついて取れない葛を溶かす

完成したもの

カスタード葛まんじゅう

 冷えたらラップを剥がし、お皿に載せて「カスタード葛まんじゅう」の完成です!

菓子切りで割ってみたところ

 口に入れると、ツルンとした食感と葛部分の甘さが先にきて、あとからカスタードクリームの風味が追いかけてきます。

 これは 大 成 功 !

 両親にも出してみたところ好評で、笑わせるセールスマンさんの仰ったとおり幅広い世代にウケそうです。

 簡単かつとても美味しいので、皆様もぜひ夏場に作ってみてください!


今後の改善点

 私は葛部分の甘さを強く感じたので、「次に作るならカスタードクリームの味を際立たせる為に葛まんじゅうのレシピから砂糖を減らすかな」と思ったのですが、母はカスタードクリームの方が甘さが強いと感じたようです。

 葛まんじゅうの皮に使う砂糖によって全体の味が変わると思われるので、本来の白砂糖をはじめ色の付いていない砂糖を色々試したいところ。

 きび砂糖や黒糖だと中のカスタードが見えなくなりそうなんですよね。

上から見たカスタード葛まんじゅう

 また、中のカスタードクリームのカタチが結構はっきり見えるので、カスタードクリームを冷やす段階で丸く整形したほうが見栄えが良くなるでしょう。

 あん玉ならぬカスタード玉、パフェとかにも使えそうです。

追記

 今回の結果を鑑みるに、当初予定のカスタード水まんじゅうも美味しく作れそうです。

 ごく薄く焼いたクレープ生地をクリームをしぼる口金で型抜きしてミルクレープを作り、カスタードクリームでコーティングしてから水まんじゅう生地の入ったカップに埋め込めば、より笑わせるセールスマンさんのイメージに近いものが作れるでしょう。

 ある意味続編な記事です。


スペシャルサンクス

 相互フォローさせていただいてる笑わせるセールスマンさん。記事の内容もさることながら、AI画像へのツッコミも面白い方です。


ご紹介ありがとうございます!


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