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今世紀最大のスーパーSF 劉慈欣『三体』シリーズ完結! 誰も予想できない驚愕の世界 これ読まなきゃもったいない!

はーい、みなさんもう読みました?

全世界3000万部とか売れている超スーパー中華SF小説
『三体』シリーズ三部作。

劉慈欣(りゅうじきん)の『三体』『三体Ⅱ黒暗森林』上下『三体Ⅲ死神永世』上下


なんと単行本5冊分、総ページ数1963ページという超大作なので、ひるむ方も多いと思います。
SFというジャンルを普段読まない方たちは、まぁなかなか手が出ない規模の本になっちゃうのかもしれない。
でもそれハッキリ言ってもったいないです!わたしもSFあんまり読まないし、超大作っていったらひるんじゃう方ですが、読んでみるとこれが面白すぎて時のたつのも忘れるほど。
1冊読めば次も読みたくなることは間違いないので、思い切って全部買って夏休みに読み耽ってしまいましょう!


全部買っても1万円!!


それでこれだけ楽しめるのならデ○ズニーランドに行くより安い(あそこに行けばなんだかんだチケット代だけじゃすまないし)。

という下世話な勧め方をしても何がなんでも読んで欲しいと思えるほど、ほんとに凄かった。
読み終わっても頭が猛スピードでフル回転してるのを止められなくて、オーバーヒートしそうでした。

これから読む人に向けて、なるべくネタバレはしないように気をつけつつ個人的な感想を書いてみたいと思います。

まぁでも多少のあらすじは書いてもいいかな。
それも知りたくないよって方はもうこのまま本屋さんへGO
今すぐ読もう。絶対絶対絶対絶対面白いから。


まずは早川書房ホームページより抜粋

尊敬する物理学者の父・哲泰を文化大革命で亡くし、人類に絶望した中国人エリート女性科学者・葉文潔。彼女が宇宙に向けて秘密裏に発信した電波は惑星〈三体〉の異星人に届き、驚くべき結果をもたらす。現代中国最大のヒット小説にして《三体》三部作の第一作

こちらが『三体』第一作目の概要。

まだ誰も宇宙に知的生命体がいることを知らない時代。
文革で父を亡くした文潔(ウェンジェ)がある確信を持って発信した電波を〈三体〉という惑星の住人がキャッチし……いろいろありまして(あまり詳しくは書けない)

要するに人類は異星人との果てしなく長い戦いに巻き込まれていきます。戦いと言っても、直接的な戦いというのはものすごく一部に限られていて、それまでの長い長い期間、人類はどうすればこの危機を回避できるのかという超頭脳戦を強いられるわけです。

そこがまたとんでもなく面白い。
実際に三体人(宇宙人)が地球に到着するのは4世紀後と言われていて、はっきりいってその時生きている人はもう関係ないわけです。
でも科学の進歩により人類も冬眠ということが可能になり、一部の人たちは冬眠を繰り返しながら様々な作戦を練りつつその時を待ちます。

もちろん4世紀あれば技術の進歩にも期待ができるわけで、技術的に三体人に追いつくことができれば、勝機もあるということになるのですがそうそううまくいくはずもなく。
まぁものすごく完璧に阻んでくるんですよ三体人が。
ちょっと考えつかないようなやり方だと思います。
この "ちょっと考えつかないような" ということがシリーズ三部作の間に何度起こるでしょうか。
ちょっと考えつかないくらい起こるんですよ。冗談じゃなく。

細かい部分を書き出すとキリがなくて、物語中それこそ果てしない時間が流れるんですが、その間に起こる様々な出来事を現代科学、物理学を駆使してものすごく緻密なところまで書き込んでいるんですね。だからありえない!!と思うんだけど説得力ができてしまう。
で、わたしのような文系人間はそんな理系の最先端のようなこと書かれてもわかるわけない!と思うんですが、題材が宇宙人との戦いというものすごくB級要素の強いわかりやすいものなので、その手の分野に明るくない人間もめちゃくちゃ楽しめちゃうのがまたすごいところ。

そしてもう一つ、わたしは実はここが1番すごいと思っているのですが、登場人物がやっぱりどうしても多いんですよ。
登場人物表に出てくるだけで総勢37名。
まぁ覚えられません(でも早川書房さんは冒頭の登場人物表の他に別紙でつけてくれています。つまり、読みながら誰だっけって戻らなくていい。別紙を挟み込んでおけば常にてらしあわせながら読めるわけです。これって地味にすごいありがたいよね)。

ところがその全てがそれぞれ息を吹き込まれているかのように、しっかり書き分けられていて一辺倒でもないし、ともすればあっさり感情移入して一緒になってワクワクハラハラしてしまうほど。しかもこの登場人物表に載っていない人たちもたくさん出てきますが、割とどのキャラクターも魅力的なのです。

これって物凄いことじゃないでしょうか。

特に前半出てくる刑事、史強(シー・チアン/しきょう)はおそらくわたしのように昭和生まれの人たちはみんなグッと心をつかまれるんじゃないでしょうか。
群れず、飄々と動き、頭が切れて、人情に厚い。
きっとみんな大史!(ダーシー、”アニキ”のような親しみを込めた呼び方)と呼び掛けたくなるでしょう。

それからⅢでの主人公である程心(チェン・シン/ていしん)もつい応援したくなるタイプの人物です。
地球の運命を肩にかけられる重要なポジションにつく人ですが、どこまでも優しい。優しいが故に迷い、悩み、後悔して進むその様は現代人と何も変わりません。

こういうところがこの壮大すぎる物語を、すぐとなりに落とし込んできてくれ、より一層のめり込みながら楽しめるポイントじゃないでしょうか。

みんな読むと必ずわたしはこの人が好きという ”推し” ができちゃうのも愛されるところじゃないかなぁ。


そしてまたまたもう一つすごいのはそれと同時に、バリバリのSF好きや理系さんたちもおそらく楽しめちゃうところ。

「三体」とはそもそもどういう意味なのかというと、三体問題という未解決問題がありまして、ざっくりいうと互いに重力が相互作用する天体の運動がどのようなものになるのかを問うている問題らしいのですが。

つまり、地球に太陽が三つあった場合、一体どのような法則で昼や夜が来るのかが全く解けない謎としてあるのだそうです。
(たぶん……理解してなかったらほんとすいません)
もしちゃんと詳しく知りたい方がいたらぜひ講談社ブルーバックスから出ている『三体問題』をお買い求めください。

それが一つのキーとなってくるというだけでも十分面白いじゃないですか。

詳しくはわたしもよくわかってないし書けないのですが、他にもおそらく最新なのではないかと思われる、技術や思考のオンパレードなので、きっとお詳しい方も十分楽しめる内容なんじゃないかと思います。


いつの時にも、いくつになっても、壮大な宇宙と果てしない未来を前に繰り広げられる人類の生死をかけた戦いというものはかっこいいし、胸が高鳴ります。

物語がどれほど大きく、重厚で、派手であっても、そこに出てくる人間が生身のようであればあるほど、わたしたちをすぐさまその世界へ引き込み、捕えて離しません。

その体験は何よりも特別で

そして最高に楽しい時間になるということは保証いたします。

読み終えて2週間近く経ちますがいまだに、劉慈欣の頭の中って一体どんなになっているんだろうとぐるぐる考えたりしています。
そんなこと考えても意味ないんですが……
それくらい同じ人間の頭の中とは思えなかったので。


あ、劉慈欣が三体人なのかな。
そうか、そうに違いない(納得)。



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