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九月の俳句など


ラーメン店入らずんば年忘れ得ず

着丼にうつむきたるや洗ひ髪

またしても浅蜊に蟹や憚らず

叉焼の掛かるどんぶり涅槃西風

替玉の尽きたるころか長き夜

退店の名残の空を帰りなむ

竹輪とはグリンピースを受けとめる

豌豆の黄衣まとうて立派かな

ふりしきる胡蝶の裡を日射病

荘周の夢から醒めて霍乱す

霍乱の変はらずだらしなき様子

黒葡萄ちぎれた肉の盛り上がり

葡萄より少なき家族

マスカツト似合うよ姉さん

巨峰この弟といふろくでなし

胡沙荒るる裡をカランコエの子らよ

比良坂を紅葉かつ散るチルアウト

月下巫女の点てたるお茶をいただきぬ

手を引かれ月見団子を遠ざかる

月に手の巫女どちどつと話しだす

月宮殿跳ねるものみなわらべ巫女

十五夜の酢豚に厚きパイナツプル

橋渡るものに名月いにしへびと

名月も見やる住吉踊かな

反橋に舞へるわらべら月祭る

名月を獲つてやらむとわらべ巫女

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