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第9地区(2009年:監督:ニール・ブロムカンプ)【当社の映画紹介を読むと、快適な生活を保障するプランについて簡単に学ぶことができます。え、退職? いやだなあ。それは皆さんが読んだ後ですよ。ええ、それはもう】

これ紹介したっけ?
してなかったような気がする。
もし紹介してたら、2度目になっちゃうけど。

場所は南アフリカ。
宇宙からエビ型の宇宙人が大量に亡命してきた。
なんでも奴隷にされてたのを、逃げ出してきたというのだ。

巨大な浮かぶ円盤を見上げて、
とりあえず、受けいれた人類だが、
彼らは高度な技術を持ってはいるものの、奴隷だったせいでいまいち、整備くらいまでしかよく理解してない。

それで結局、スラム街に住んでいる。
「エビ」というのは、そのまんま彼らへの人類側の蔑称である。

さて、とある南ア白人の主人公は、
「エビ」たちを新しい居住地へ移住させるための手続きをしていた。
彼らの同意を得なければいけない。
まあ、彼は「エビ」たちの気持ちなんてわからんよ。

一方的に役人的にサインを迫るだけだ。
相手の気持ちなんか考えたこともなく、自分のことしか考えていない。

しかし謎の液体を浴びた主人公は、
だんだんと肉体が「エビ」に変化していってしまう。
途端に非人間的な扱いを受けだす主人公。
武装軍事組織に、人体実験の材料にされかかる。

加害者から被害者への転落だ。
そして逃げ出して、スラムに潜む主人公。

そうしたら、先ほど同意書を書かせようとした相手がかばってくれるではないか。
旅は道連れ昨日のエビは今日の友。
(彼の名前はクリストファーだ・・・?)
と思ったら、
「宇宙船を動かして仲間を故郷に連れて帰る」
というモーゼのエクソダス的な計画を語りだす。

元に戻してもらえる約束と共に、協力する主人公だが、
あんなこんなで、
「仲間を助けるため3年待ってほしい」とか言われる。

「ふざけんな。約束と違うだろ。いますぐ何とかしろよ」
とかブチ切れるが、
武装軍事組織が襲ってくる中、もはや選択の余地もなく、
「3年だからな。3年たったら必ず俺を助けろよ!」

という叫び声をあげて、専用機動メカに乗り込んで、
武装軍事組織と捨て鉢な戦いをやる!

この機動メカ、「エビ」の遺伝子がないと動かせないのだが、
もちろん主人公は半分ほど人間では無くなっているから。

戦えるのだ!

そして機動メカのパワーで軍事組織と、
壮絶な無手勝流の戦いをやっているうちに、
宇宙船は・・・・・・。

***

言わずもがな、これは南アフリカでのアパルトヘイトを、ユーモアコメディでやじり返した物語である。

宇宙人「エビ」たちが黒人で、
しかし白人のはずの主人公がなぜか黒人になってしまい、
理不尽な目にあい、そこでまあ、改心するかどうかはともかく、
まあ「仲間」と共に、未来を切り開こうとするお話。

実際に、その立場になったら、考えることも変わるだろ?

というテーマがさりげなく含まれているわけで。
なんともわかりやすく、
それでいて、笑いの混ざる展開に仕上がており、
押しつけがましさが割とない。
説教臭くないエンタメだ。

他にも武装軍事組織のリーダーが、バトルジャンキーの危ない奴だったり、

あとは「エビ」の肉体を食料として高値で販売しているギャング集団とか、

もはやわけがわからない、
元ネタがあるので決して笑ってはいけないが、
笑うしかないという愛すべき悪役たちがたくさん出てくる。

ビートたけしの映画じゃないけど、
善人がさっぱり出てこない。

しいていえば「エビ」側の代表であるクリストファーが、
(英語名を名乗らないと話が通じないという差別社会あるある)
「エビ」民族のモーゼ役を目指さんとしているが、
まあ、彼も聖人と言えるかどうか、何とも言えない。

聖人すぎて、少し気が狂っているのではないか、と思う。

まあだとしても、
まともな人間(?)なのは、クリストファーと彼の息子くらい。
後は我欲や煩悩丸出しなのである。
絶望的に救いがないくらい自分のことしか考えてない(笑)

そんな感じで。
鋭い社会批判をかましながらも、
(まあ、といっても少し前の社会への批判なんだけど)
SFコメディであることを忘れない本作は、
クリーンヒットした映画なのだ。

楽しい!
深刻なテーマを、笑いに昇華して、
なおかつバトルシーンにも気合いが入っているという、
お得な作品だったと思うのだ。
どうじゃろうか?

もはや旧作名作。

↑ そうそう、この類型だよね。

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