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もしも月がなかったら ありえたかもしれない地球への10の旅(著:ニール・F・カミンズ)【読書紹介がなかったら月がないことに気がつかなった気がするん】

90年代の結構な古い本ですが、
SFあるある設定の地球とは違う惑星を考えた場合、
科学考証をきちんとやると、どんな惑星になるのか?
という科学解説本です。

具体的には、
もしも月がなかったら? 
  惑星ソロン
もしも月がもっと地球に近かったら?
  惑星ルンホルム
もしも地球の質量がもっと小さかったら?
  惑星ペティエル
もしも地軸が天王星のように傾いていたら?
  惑星ウラニア
もしも太陽の質量がもっと大きかったら?
  惑星グランスター
もしも地球の近くで恒星が爆発したら?
  恒星アンタール
もしも恒星が太陽のそばを通過したら?
  恒星ケルベロン
もしもブラックホールが地球を通り抜けたら?
  ブラックホール・ディアブロ
もしも可視光線以外が視えたら?
  別の地球?
もしもオゾン層が破壊されたら?
  90年代の地球

というサブタイトルになっております。
これらのタイトル設定を考えて、
その地球がどんなふうになっているかを考えてみた、という本。

続編に
「もしも月が2つあったなら」
があること、先に述べておきます。

こっちの方が刺激的かもしれない。

***

では各話を簡単にご紹介。

例えば、月のない惑星ソロンは月の潮汐作用がないので、生命が誕生して進化するのが遅いはず。また暦を作るのが大変。夜はまっくらです。

逆に月が近いルンホルムは、月の潮汐作用が強すぎるので、進化の速度は速いけど、沿岸部に都市を作るのはムリ。日食や月食は日常茶飯事です。

質量の小さいペティエルは、重力が弱いので大気が薄くて呼吸するのが大変。ただし重力が薄いのでその意味では飛びやすい。
(火星みたいに核の熱が低くなりすぎて死の星にならなければですけど)

地軸が90度傾いている惑星ウラニア(文字どおり天王星がモデル)は、
極端な冬と夏がやってくる。
なんといっても、夏になると3か月間、日が沈まない白夜、
冬は3か月も日が昇らない極夜がやってくる。
気温の落差は極端すぎるほど極端だ。
冬は南極大陸のように夏はデスバレーのようになる。
かろうじて赤道付近が温暖な気候。

これ面白そうだな。

太陽の質量が強い惑星グランスターは、強烈な光を放つ太陽のため、
小惑星帯ぐらいの軌道を取るように設定してある。
なのでグランスターの1年は5地球年となる。
ちなみに冬もその半分くらいなので、この星の生物は、長い冬をどうにか耐える必要がある。ただ夏も長いので、その期間に成長する機会はある。
また紫外線が強すぎるのでその対策をどうにかやらないといけない。
青白い太陽の寿命はぎりぎりで46億年に設定されている。
なのでこの星の人類は、そろそろ他の星に移住しなければならないということに気がつき焦っているはず。

これも面白いな。

この辺にしておきましょう。
ある程度の設定を説明してあるけど、
その星で物語を書くようなところまではいきません。
それは作家の仕事です。
皆さんにお任せしますということです。

ただ科学が苦手な人は、
こういう既存の思考実験を読んでおくと、
自作のSFを書くときに、
具体例を考えやすくなるかもしれません。

(ただペティエルは実際に火星がそうなのですが、星の熱がなくなって死の星化してしまうと思うのですが、まあ放射性元素が多いので帳尻が合うとか、迂回ルートを考える必要があるかと思います)

最後のオゾン層の話だけは、90年代のリアル地球がモデルです。
幸いなことにオゾン層破壊の話は、良い方向に転換したみたいですが、
その替わりに温暖化問題が発生していますね。
もちろんこれは昔の本なので、最新科学の知見だとこうはならない、というのもあるかもしれませんけど。
思考実験、面白いです。
もしかしたら小説よりもこういう設定の話の方が面白いかも。

とりあえず、この中のどれかを舞台に、実際にお話を書いてみたいですね。

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