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太陽の中の太陽(気球世界ヴァーガ)【読書紹介も冒険をした。その頃は宇宙を飛行機で飛べた。私たちは、いま】

今日は絶版もの宇宙SFです。
舞台設定が秀逸で、ここの太陽はまず、白熱電球みたいな人工太陽です。(メンテナンス時には明かりが落ちて真っ暗になる)

しかもこの太陽系に限り、宇宙が真空ではなく、呼吸ができます。
大気があるんですね。
なので、宇宙空間を帆船のように、割と低テクノロジーで、宇宙航海に乗り出せるんですね。
人口の太陽系なのです。

中心部の太陽以外にも、小さな太陽がランプのようにその国を照らしています。

その中で、楕円軌道を取るとある国は、移動帝国をやっております。
軌道上に入って来る別の国を征服し、通り過ぎるまで支配するという、国土そのものが移動するタイプの都市国家なんですね。
この発想、秀逸。
その帝国の名はスリップストリーム。

かつて帝国に併合された小国家、エアリーのレジスタンス夫婦の息子。
主人公は、母が死んだ戦いに参戦した後、復讐のために身分をいつわって帝都に住みます。
そこで提督夫人に機転を気に入られて、空中バイクの運転手に起用されますが。

両親の仇である提督は、次にスリップストリームが通過する予定の国との戦争準備をしています。
ただし夫人が(個人的情報部を率いている)もたらした情報によると、
黒幕となる別の国がいて、正面相手の戦争に戦力を投入した瞬間、背後を狙う作戦のようです。
ここで提督はこの気球世界の秘密を知る外世界人の協力のもと、あるものを探しに行きますが・・・

さて、この世界の設定は非常に魅力的でして。
人口太陽系に中にある大気のある空間。
中心太陽から遠くなればなるほど、氷と闇に支配された空間が増えてくる。
スリップストリームとかはこの辺境空域を飛んでいる国ですね。

豊かな国は小さな人口太陽を入手し、それで農業生産をして生計を立てている。

一方で中心太陽の近くには古くからの文明圏があります。

外世界は超越的な科学力によって宇宙そのものが変質されてしまい、いわゆる物理学が通用するのは気球世界のみです。

暖かい空間との境目に存在する生態系。

最外延部の氷山地域での戦闘。
とある人口太陽を巡る戦闘。

外世界人の美女。
提督と、陰謀家である夫人の秘密。
大胆で予測不可能なストーリー展開。

これは秀逸です!!
世界観、ストーリー展開、どれをとってもワクワクさせられました。
終盤に入るまでは。

そう、このお話には終盤に難があって、バッドエンド風です。
オープンエンドですらなく、なんとなく海洋冒険小説で大人な展開にしようとしたのか、それが災いして、だいぶ面白さがダウンしている気がします。
まあ、ハッピーエンドなら良いわけでもないでしょうけど。

まあ、昔はそういう実話が多かったので、ノーチラス号(原作の方)も最後は沈んじゃうわけですし、古風な時代には許されていたような感じではありますが。
現在の読者様方は目が肥えてしまったので、どうなんでしょうか?

ただ続編がたくさんあるようです。
果たして翻訳してもらえるかどうか?
ちょっと期待が持てない感じもしますが、まあこの本にしてからが絶版。
海外SFはみな絶版を避けられぬ。
とりあえず、あまりにも世界観が秀逸なので、紹介せずにはいられない作品です。
アイデア至上主義なSFです。

短くてすまそ。もし古書店などで見かけることがあれば・・・

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