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機動警察パトレイバー(マンガ版:著。ゆうきまさみ)【俺は偶然もふたつまで許すことにしてるんだ。しかし偶然が3つならそれは偶然じゃない。マンガ紹介だ】

ゆうきまさみ先生の初期の超代表作。

この辺からこの人は、社会派に転じましたね。
時代は80年代。バブル時代。
古いマンガです。

今から読むと、少し時代感を感じるかもしれませんし、
結局、未来史にレイバーロボットは出現しなかったし。


でも架空の歴史として、
SFとして、
そして社会派ドラマとして、
かなりの影響を与えた作品なのではないでしょうか。

主人公サイドは、
巨大ロボを扱う警察部隊。
といっても精鋭部隊ではなく、
落ちこぼれを集めた凸凹部隊でして、
だから個性が強く、
物語としてはまずそこが非常に面白い。

基本は街のお巡りさんの物語を、ロボSFにしたものです。
が、

さらに光るのは、
悪役サイドですね。
悪役側があんなに人気が出たのは、
稀に見るのではないか?

内海課長率いる悪の犯罪集団が、
元は企業内組織として、新型機開発のためのテストデータを採るべく、
勝手にテロ支援を行ってしまいます。
もちろん企業としてはそんな不祥事をもみ消そうとするのですが。

内海は劇場型の人物。
手段と目的をわざと転倒してしまうことが、
組織の活動に必要だと割り切ってしまうんですね。

だから次第に新型レイバーで大暴れして、世間の耳目を集めるというのが目標になってしまいます。しかも確信犯的にこれをやってる。

まあ、ただの愉快犯なんですけど。

これはでも、割と組織論として狂気に見えて、意外と正当なんじゃないかと思います。
成功する活動というのは、それ自体が自己目的化した本末転倒なものですからね。
そうじゃないと成功はおぼつきません。

皮肉な話ですが。
分かってて、あえての暴走。

***

対して主人公サイドには、後藤警部補という、

隠れた名上司みたいな人がいる。
昔は上司の理想形と言われてたみたいなんですが。
(まあ、あの時代はね)

日常は昼行燈で、やる気があるのかないのかわからないけど、
修羅場では俄然としてハイパフォーマンスリーダーとしての能力を発揮する。

落ちこぼれメンバーたちも、そんな指導力に、割と素直に従います。
それで落ちこぼれ部隊だったはずなのに、精鋭部隊にもできないような作戦を成功させてしまうという、物語オモシロ要素をコンプです。

これはふたりの上司対決でもあるんですね。
内海課長と後藤隊長、ふたりのリーダーシップのどちらが勝つか。

まあ、もちろん正義の味方が勝つという終わり方なんですけど。

***

また内海課長だけでなく、
謎の怪物とそれを作ってしまったバイオ研究所なんてのも出てきます。

押井守の映画版で出てきた悪役たちも・・・
おっと、こちらはマンガ版では出てこないですね。
せいぜいカメオ出演くらい。

それにしても。この先生は、
人間関係や社会を描くのが匠すぎる。

まるで昭和のサラリーマンに転生して、
人生一本分の体験をしてきたように感じます。
それも島耕作レベルで。

ほとんど社会勉強ですよ。
もはや教養でした。過去形です。

今とは時代背景が違いますけど、
まあ歴史枠というのは時代背景が違うのが前提であるし、
今になって読んでもやはり面白い話なんだと思うのですが、
どうでしょうか?

それとも私の青春時代が美化されすぎていますでしょうか?


↑ アニメ版はマンガ版とは、少し違う感じ。
基本設定は同じ。

さて、いまさらこーゆーのを紹介してもいいのだろうか?

↓ 以前に紹介したゆうきまさみ作品。

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