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エクソダス症候群(著:宮内悠介)【どんとこい読書紹介!】(SF)

まずは精神科医の皆さんごめんなさい。
以下はちょっと精神科の悪口があります。

精神医学って医学カテゴリの中でも、ぶっちぎりで遅れているような気がします。
ただ精神科に行っても「じゃあうつ病の薬を出してみましょうか」とかとりあえず適当に出しているような気が否めない。
統合失調症みたいに明白に治療プロトコルが決まっているカテゴリもありますが、ほとんどはまだ闇の中で、行き当たりばったり方式で、たまたまこの薬がなぜか効く、という雰囲気のもとに治療が実施されているような。
なんか「とりあえず瀉血しましょうね」と言われている感じがする。

まあ、それだけ脳がフロンティアすぎるということなのでしょうか。

さて本作はSF。(ミステリ?)
文字通り「火星の精神科医」が火星の僻地の精神科病院に勤務する話です。
その土地に特有の精神病というのがあり、火星には「エクソダス症候群」という文化依存型精神病がある、という設定です。

ただ精神医学の話はパズルのピースがすべてはまる感に乏しいからなのか、
この小説はどことなくクライマックスの盛り上がりには欠けているような印象を受けました。
起こる事件が、それほどというか。
「エクソダス症候群」の病理が何か劇的に解明されるというわけでもありません。
治療はできるようになっているのですが。
とはいえ謎はあるし、それが解かれもする。
クライマックスの盛り上がりが欠けているのも、逆に全体のバランスを抑えめにした、ウェットな雰囲気の醸成に貢献しています。

精神医学をSFの道具立てにすること自体が、もしかしたらまだ厳しいのかもしれません。

もちろん私の評価が間違っている可能性もあります。
皆さんの感想は皆さん自信で確かめてください。

うーん、こんな読書紹介でいいのかなあ?
バランスのいい作品ではあるんですがね。
こういうのは旅行先で読むといいのかもしれない。
あんまり出先で興奮する本を読むと事故りますからね。

今回は原作者のトークイベントにもリンクしてみました。

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