見出し画像

コールドアンドファイヤー 凍土を覆う戦火(2018年)【映画紹介は、はじめてデンマークの地に渡った。そして】

デンマークとプロイセンの間で戦われた、
1864年の普丁戦争が舞台です。

世界史を勉強すると、
プロイセンによるドイツ統一の最初の戦争であり、
ここから宰相ビスマルクの外交と、
参謀長モルトケのコンビにより、
プロイセンが次から次へと格上を倒していく。

という歴史の話がありまして、

まあ当時のデンマークは決して強くはないですが、
ロシアやイギリスのバックアップを受けて、
プロイセンの攻撃を過去に撃退したことがあります。
(1848年革命と同時期)

その時、ビスマルクは、
「小国の悲哀さを思い知らされた」と述べたそうですが、
まあプロイセンは軍隊がまんま国家になったような軍国なので、
小国という感じはあまりしません。

ともあれ、プロイセンは落ち着いたころに、
再戦を仕掛けてきます。
この映画はその時のお話。

明治日本がお手本にしようと思い至った国でもあります。
日本が軍国だったのは、お手本がプロイセンだったからですね。

さて。
今回は、基本的には純然たる戦争映画です。
なんですが、舞台がね。
19世紀中ごろという。
ちょうと南北戦争が同時期に発生していた時代。
日本だと戊辰戦争。
つまり、

前から弾丸を込めるタイプのマスケット銃で、
30秒くらいかけて弾をつめて、
棒でついて、
相手の戦列まで接近して撃つ。

という、今の戦争からすると、
著しく異なったスタイルの戦争をしていた時代です。

接近するときにお互いの射撃戦を行い、
隣の兵士がボーリングのピンみたいに倒れていくという。

宇宙戦艦でよければ、日本アニメでもニュアンスの似ている作品があります。
ざらっと並んで正面から撃ちあい。確率的にやられていく。
隠れるという概念がありません。

またこの時代は、ぎりぎり観光客が戦争を見物に来れた時代です。

要するに遠くから見ている分には安全だという。
今からすると信じられない戦いのスタイルだったのです。

また軍服が華美です。
この時代は見つかりにくいことよりも、
見方が判別できない方が恐ろしかったので、
皆さんド派手な軍服を着こんでいます。

特にプロイセン近衛軽騎兵の黒い軍服は、
以降、ドイツ戦車兵やナチス親衛隊の時代にも引き継がれたエリートのシンボルらしいです。美麗です。

本場の時代考証でチェックされていますので、
かなりリアルなんじゃないかと思います。

日本では、この辺りの時代の戦争映画ってのは、
基本的にないです。
鳥羽伏見の戦いくらいですが、あれは会戦といった雰囲気の戦いではないので。
田原坂の戦いは、あんまり映像化されてない気がする。

まあ本作映画のディッペル要塞攻防戦も会戦ではないですけど。

南北戦争映画も日本では基本的に放映されません。
南北戦争ネタはアメリカの地産地消映画です。
アメリカ以外で観るのは難しいのです。

当時の時代考証を行う際に、
百聞は一見に如かずとということを加味すると、
これは貴重な資料映画と言えます。

マンガだったら、軍靴のバルツァーがストライクでこの時代なんですけどね。


あ、主人公はデンマーク兵です。
なのでデンマーク視点ですね。
それ最初に言うの忘れてた。



#映画感想文 #プロイセンデンマーク戦争 #1864年  
#軍服が派手 #戦列歩兵 #マスケット銃 #史実 #歴史  
#世界史 #戦争 #戦争映画 #衣装 #肋骨服  
#シュレスヴィヒホルシュタイン戦争 #ドイツ統一  
#デンマーク映画 #珍しい舞台  

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集