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「僕と彼らの裏話」

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長編小説。「僕と先生の話」シリーズ3作目。(全51話・完結)
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#働く人のメンタルヘルス

小説 「僕と彼らの裏話」 1

1.同窓会をしよう 先生の ご厚意に甘え、僕はマッサンの居る温泉地での湯治の後、実質的な「…

坂元 稔
3年前
16

小説 「僕と彼らの裏話」 6

6.「臆病風邪」 復職の日取りについて、先生から了承が得られた。主治医に相談する気は、初め…

坂元 稔
3年前
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小説 「僕と彼らの裏話」 7

7.受け入れ準備 内地の小汚いアパートに戻り、一日だけ身体を休めた。  故郷には まだ雪が残…

坂元 稔
3年前
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小説 「僕と彼らの裏話」 8

8.激震 復職から約2週間。特に何もトラブルは起きなかった。僕の体調も、特に問題ない。  強…

坂元 稔
3年前
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小説 「僕と彼らの裏話」 9

9.真の友 藤森さんには、先生が「警察に捕まった」ではなく「入院した」と偽ることになった。…

坂元 稔
3年前
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小説 「僕と彼らの裏話」 11

11.彼女の秘密 その日、僕は藤森さんから依頼を受けて、彼女の家で本棚の組み立てを手伝って…

坂元 稔
3年前
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小説 「僕と彼らの裏話」 12

12.「おかえりなさい」 先生が再び【自由】になる日。僕は運転手を願い出た。  アトリエに半日篭っても「記憶が吹っ飛ぶ」ような先生は、留置場に20日間以上も居れば、もはや「別人」だった。  若い頃の軟禁当時の記憶による症状が強く出ているようで、僕や悠介さんのことも、まったく思い出せないようだった。それでも、悠介さんは「自分の家に帰れば、そのうち思い出すと思う」として、比較的冷静だった。  彼も、僕も、先生に「誰だ貴様!?」と言われることには慣れている。それが、一過性のものであ

小説 「僕と彼らの裏話」 13

13.喜捨 取調べの結果、先生は【不起訴】になった。詳しい経緯は、聴かされていない。  こち…

坂元 稔
3年前
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小説 「僕と彼らの裏話」 14

14.隠れ家 先生宅から車が無くなり、1ヵ月近く経った。  ある時「吉岡先生には、ご内密に」…

坂元 稔
3年前
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小説 「僕と彼らの裏話」 15

15.師範 翌朝。僕は先に起き出して朝食を済ませ、哲朗さんの身に異変が起きないか気にしつつ…

坂元 稔
3年前
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小説 「僕と彼らの裏話」 17

17.技を磨く その日の夕食は、僕と先生と倉本くんの3人で食べた。先生は、素早く食べ終わると…

坂元 稔
3年前
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小説 「僕と彼らの裏話」 18

18.先生の「愛弟子」 先生宅の浴室から、バリカンの音が響いている。先生が、倉本くんの髪を…

坂元 稔
3年前
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小説 「僕と彼らの裏話」 19

19.来客 先生宅のリビングで、夕食に向けて倉本くんと2人で餃子の具を包んでいると、インター…

坂元 稔
3年前
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小説 「僕と彼らの裏話」 20

20.密やかな門出 またしても先生宅に来客があった。悠介さんの勤務先の、社長である。僕は、この日 初めて彼女と対面した。(事務所や現場で忙しそうにしている姿を見かけたことは何度もあったけれど、言葉を交わしたのは初めてだ。)  38歳と聴いているけれど、もっと若く見える。職人というより「アスリート」を思わせる体型と筋肉量で、それは彼女が いかに長い時間 現場に出ているかを物語る。  社長を応接室にお通しして、お茶を出す。  用が済んだら、部外者の僕は速やかに退室する。  基